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営為


扉を開ける。


「ただ今戻りました」

「オカエリ」


瞬間的にわかる、ただならぬ雰囲気。

神妙な空気感。

何がそうさせているのかは分からないが、

とりあえず買ってきた弓を作業台の端に置く。


『おう』

「桃子猫さん、水です」


水筒ごと買ってきた。


「エ、ア、アリガト」


ゆっくりと飲み始めた。


『で、これで材料は揃った。

もう協力してもらうことは無い』

「では、あとは完成を待つだけですか?」

『ああそうだ』

「加工で手伝えることは…」

『無い』

「あ、はい」


工房を神殿とする職人に、借りを作る隙は無い。


「それで、お値段の方は…」

『いや、いらない』

「いいんですか?」

『ああ、個人の依頼じゃなくて

業務提携先の依頼だからな。普段の分配で事足りてる』

「それはよかった」


正直もう財布の底が着きそうだった。


『そこの嬢ちゃんと散歩でもすることだ』

「そうさせてもらいます」


手を繋ぐ。


「ア…」

「では」


工房の扉を閉める。


「さて…どこへ行きましょ」

「エト…ント…」


何やら桃子猫がモジモジしている。


「どうしたんです?お腹でも空きました?」

「それはチガウ」

「あ、はい」


取り敢えず歩き出す。

だが桃子猫は、一向にこちらを向いてくれない。

何か癇に障っただろうか。

ここでとぼけて原因を聞き出すのは、

桃子猫に対しては愚策だろう。

かといって自然鎮火を待つのも、

それはそれで部が悪くなるだろう。

…なぜ私はこんなに、

人の感情に労を費やしているのだろう。

以前はそうではなかったはず。

いや、

自分から人との関わりを絶っていたんだっけか。

体質を理解した上でまた関わり出したなら、

それは成長と言えるのだろうか。

いや、成長なんて関係ない。

関係を壊したくないという気持ちは、確かにある。

今はそれに従って行動したい。


「よっこい…しょ!」

「え!?」


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