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おそろい


「それにしても、

数日でお客さんたくさん増えましたね」

『ええ、ありがたい話です。

いくら品物を揃えても、

見てくれるお客様が居なければ

ただのオブジェですから』


店主が改めて向き直る。


「?」

『勝手な推測ですが、

集客にはあなた方が関わっていると考えています』

「そうなんですか?」


あまり身に覚えがない。


『事実、

初めてのお客様であるあなた方が来店して以降、

増え始めましたから』

「私たちが初めてだったんですか」


まあ実際、

私一人ならこんなファンシーな店には

入り難かっただろう。


『おそらく入手の難しい色で、

ここでしか売っていない構造のリボンを、

額にお付けになさっておられるので、

その宣伝効果かと』

「はえー」


確かに額の毛をピンで挟んだが、

そんなに特殊な代物だったとは。


「そんな物をタダで頂いてしまって…」

『いいんです、

その時は感無量で声も出ませんでしたから』

「それならいいんですが…」

『ええ、お構いなく』


三人で吟味している桃子猫を見つめる。


「ウーン」


よく悩み、触っては口惜しそうに離す。

確かにこれを見れば、

何かあげたくなる気持ちも分かる。


「コレ!」


今回はすぐ決まったらしい。

額のものと同じ三つのリボンを掲げてやって来た。

果たして本当に慧眼なのだろうか。


「会計を」

『銀貨三十枚です』


やはり買えばいい値段になるようだ。

とはいえ致命的な出費でもないので、素直に出す。


『お買い上げありがとうございます』

『ありがとうございます』

「どういたしまして」

『どうぞこれを』


店主に木片を渡される。


『大通りの門から街に入ってすぐ左に真っ直ぐ行けば、

友人のドワーフに会えます。

その時にこれを見せてください』

「わかりました」


足を出口に向けた時、

商品棚にピンク色の綿を見つける。


「これは何ですか?」

『耳栓ですね、それは獣人用です』

「ならこれも下さい」

『ありがとうございます、銀貨十二枚になります』


会計を済まし、出口へ向かう。


『ありがとうございました』

『次のお客様、お入りください』


次の客とすれ違いながら、集団を抜ける。


「ハイ」


桃子猫にリボンを手渡される。

どこにつければいいかと訊く前に、

腕章と左胸に付け始めた。

私は篭手なので、ローブの左胸につける。


「オソロイ」

「ですね」


手を繋いで歩く。


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