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腹話術

冒険者ギルド前。

薬草クエスト含む全てのクエストの達成報告をし、

懐を潤わせながら外に出る。


「稼ぎましたね」

「ウン」


商業区で減った分は取り戻せたはず。


「ランさん」

「はい」

「行きたいトコロある」

「どこです?」

「このリボン買ったトコロ」


ピンクのリボンが揺れる。

これを買ったところといえば、

大通りにあったファンシーなアクセサリー屋。

ここで何を買うのか聞くのは無粋か。


「行きましょうか」

「アリガト」



「アララ」


以前来たアクセサリーショップに来た…はず。

予想していた位置は、人で埋まっていた。


「前に来た時はこんなに人居なかったでしたよね」

「ネ」


商業区にもアクセサリーショップはある。

何故ここに人が集まるのだろう。


『あ!』


集団から一人の女獣人が振り返った。


『見てこの子よ!』


桃子猫を指さす。


「ホントだ可愛い!!」


二言三言を境に、集団が桃子猫に移り始めた。


『名前教えて!?』

『そのリボンやっぱりこの店で買ったの!?』

『服もここで!?』

「アノ…えーと…」


流石の桃子猫も狼狽している。

見たところ、囲んでいるプレイヤーのほとんどは女。

ビジュアルを追求した桃子猫のアバターに、

惹かれているのだろう。

可愛い可愛いと言われて、

桃子猫は愛想笑いをしている。

腹の中で何かが渦巻く。


「怯えているのでやめてくださーい」


桃子猫を持ち上げて抱き抱える。


『あー!』

「私も抱っこす…」


全員が私と桃子猫の腕章を見る。


「あー…」

『お幸せにー…』


ピンクの腕章をつけている女プレイヤー二人。

何を察したかは、察するに難くない。

集団が二つに割れる。


「いいんですか?」

『まあ、お詫びです』

「アリガトー」


元からカタコトの桃子猫とあいまり、

腹話術師のようになってしまう。

割れた道から、店内に入る。

店の中央に立て看板。


『店内のお客様は三名様まで』


書いてあることは普通だが、文字がいつもと違う。

今まで見てきたゲーム内の文字などは、

ほとんどが手書きのような文字だった。

この看板の文字は、木材の表面で荒れてはいるが、

システムメッセージのようなフォントだ。

前に来た時こんな看板は無かった。

急に売上が伸びて、急いで設置した?。

ともなればこんな凝った店でも、

機械翻訳ができる店売りの看板を置くわけだ。


『お久しぶりです』


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