驚嘆
「…ア?」
衝撃的過ぎて少し発音に母国語が出てしまっている。
無理もない話か。
「…何シタノ?」
「えと…これを…こう…」
口での説明が難しいので、実演する。
矢がもったいないので、放つフリをして。
「アー…へー…」
多分、半分も頭に入っていないと思う。
『じゅ〜』
「あ、桃子猫さん、肉肉!」
「アワワワ…」
危うく焦げてしまうところだった。
改めて、今の火球矢の考察をする。
まず一つに、威力が上がっている。
元の火球はせいぜいが低木を吹き飛ばす程度だった。
火球矢は、大木の幹をえぐりとった。
射出速度、もしくは矢の攻撃力が関係している?。
「火球」
倒れた木から拝借した枝に、火球をつける。
即座に隣の木に投げる。
『ボ…』
火球は発動したが、少しえぐれた程度。
ただの火球よりは威力が高い。
回転しながら直進したので、速度は十分あるはず。
乖離があるとすれば、火球をつける本体の攻撃力。
鋭角であれば攻撃力が高くなると聞いた。
店売りの矢とそこら辺の枝だから、
顕著な威力の差が出ても何らおかしくは無い。
「火球」
同じ木に普通の火球を撃つ。
少し焦げた程度。
火球枝にも、やはり威力の上昇が見られる。
より強い弓、
より鋭い矢があればもっと火球矢の威力が上昇する?
現状試せるような、一番太い木材。
右手に持っているじゃないか。
店売りで何度も手に入るだろう。
曲げて弓を形作る。
『バキ』
「あ」
「ア」
石突が折れてしまった。
手を置くのに丁度いい高さだったのに。
だからこそ、
引きずったりして消耗したのだろうけど。
魔法の杖としての機能は、損なわれただろうか。
「火球」
同じ木に向かって唱えると、
変わりなく火球が出て爆裂する。
多少の損壊では杖の機能は損なわれない?。
それとも杖を魔法の杖たらしめる、
特別な機構がどこかに備わっているのだろうか。
そうであれば、易々と曲げられない。
なら他に手頃な木は…。




