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彼女が武器を持ったなら


「ランさん」

「来ましたか」

「ウン」

『ガサ』


桃子猫の忠言の後に、茂みをかきわける音。

手荷物を嫌い警戒して避けていたが、

もうその必要はないだろう。

鬼が出るか蛇が出るか。


『ピョコ』


兎だ。

肉騒動の時によく狩った三角ウサギ。

いつものフォーメーション、

桃子猫が前衛で私が後衛。

そして三角ウサギは初手で突進をかましてくる。

初見は驚かされたものだ。

だがそれ以降は、決まって桃子猫が盾で弾き、

私がとどめを刺すいつもの流れに落ち着いた。

三角ウサギは身を屈ませ、予備動作をとる。

来る。


『バシッ』


予想に反した音が鳴った。

桃子猫は盾ではなく、鉤爪を差し出していた。

それがウサギの頭にクリーンヒット。

ウサギが倒れ込んだところを間髪入れずに、

今度は盾を差し出す。


『バチュッ!』


ウサギの身悶えに反応したのか、

盾が展開されウサギを殴打する。

とどめの一撃で、鉤爪がウサギにブスリ。

これにて決着。


「おー…」


あまりのスマートな流れに、二の句を失う。

今まで専守を貫いてきた桃子猫の、

武器が欲しいという提案。

ただただ妥当な意見ということで受けたが、

こんなにも効果を発揮するとは思わなかった。

あれ?私いらないのでは?。


「ヤッター!」


桃子猫がスキップでやって来て、抱きつかれる。


「おおぅ」

「上手くいっタ!」


そうだ。

自分を卑下するより、喜びを分かち合おう。

その方が有意義だ。


「かっこよかったですよ!」

「エヘヘ、ソウ?」


できるだけ、褒めちぎる。


「イヤもう…もうイイ…ィィ…」


顔を隠してしまった。


「よっこいしょ」


即座に角を剥ぎ取る。


「アー」


役に立たなかった代わりだ。


「ランさんズルーい」


こぞって、ウサギを解体する。

ものの数秒で肉と骨と皮になる。

それらを摘みまくって

円形ハゲのようになった地面に敷く。

この構図で、思いつく。


「桃子猫さん」

「ナニ?」

「ここを拠点にして、

他のモンスターとかも狩っちゃいましょう」

「イイね」


夜にはまだ時間がある。

やるだけやった後は、夜にアレをしよう。


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