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デート



『では、私たちはこれで』

「ええ」


門前で分かれる。

リザードマン達は、

戦闘を楽しめなかった人員のために

森へ出かけるそうだ。

夜目が利く種族は活動時間を問わないのが羨ましい。

魔法使い志望のプティーには、

顕現の存在を伝えておいた。

夜の闇に消える鱗を、最後まで見届けた。


「ふぅ…」


一つの大きなことを成した、そんな気分。

左手には桃子猫の手。

右手には重みのある財布。

モノは揃っているのに、

不思議とここからの展望は浮かばない。


「これからどうします?」


桃子猫に委ねてみた。


「デートしヨ」


だそうだ。


「え?」


私が何か言い訳を言い出す前に、

桃子猫は駆けていった。


「ちょ、ちょっと!」


追いかける。

獣人の素早さには、到底追いつけない。


「ちょっ…待って…」


夜の街は、夜目を持たない人種でごった返している。

その人混みの中に混じりそうになった時、

桃子猫は唐突に横切った。

大通りの商店、その見覚えのある場所。

昨晩訪れた武具屋。

店内を覗くと、すぐ横に既に客の面をした桃子猫。


「ウーン」


もう既に吟味している。


「いらっしゃいませー、お、嬢ちゃん昨日ぶり」

「あ、どうも…」


私の入店を察知するなり、

桃子猫は商品と私を見比べてくる。


「コレどう?」


指を差す。

その先には厚手のローブ。


「桃子猫さんが着るには大きくないですか?」

「ランさんが着るノ」

「はあ…お幾らですか?」

「銀貨十枚」


現在持ち金百十枚。

金貨と銅貨はリザードマンたちが預かってくれた。

戦力増強を検討してもいい時期だろう。


「銀貨八枚」

「銀貨十枚」

「実はこの子の防具も買いに来ました」

「毎度あり」

「すぐ着ても?」

「ああ」


防具立てから剥がしそのまま上に羽織る。


『ガシッ』


突然腹をロックされる。

そしてローブに顔を埋められる。

手は背中まで届いていない。


「どうしたんです?」

「チョー似合ってる」

「はは、どうも」


ここは素直に受け取っておこう。


「桃子猫さんはどうします?」

「ンー」

並べられた防具立てを見る。

ローブから鎖帷子、

西洋風の甲冑までかなりの種類がある。


「どれがいいと思ウ?」

「そうですねえ」


桃子猫は素早さが高い。

その利点をなるべく殺さず、

かつ防御力を保証する装備。


「これとかどうです?」


鎖帷子を指さす。


「イイかも」

「この子と同じサイズのものを、試着できますか?」

「ああ、いいよ」


店主は店裏に入り、

暫くして小さい鎖帷子を出してきた。


「お待ちどう」

「どうも」


桃子猫は鎖帷子を受け取り、その場で羽織る。


「んオー」

「手伝います」


桃子猫の指では、留め具の操作が出来なかった。

セクハラ防止のバリアに阻害されながら、

何とか着け終わる。


「どうですか?」

「イイ感じ」


腕の動きを見る限り、運動能力は低下していない。


「お幾らですか?」

「銀貨十二枚のところ…銀貨十一枚」

「買います」

「毎度」


硬貨を丁度渡し、店を出る。


「毎度あり」


桃子猫はすぐ出入り口を逸れ、立ち止まった。


「ドウ?」


どう。

両手を広げながら、そう言った。

きっと、先程私がされたことを求めているのだろう。

ただ私は、直情的な表現に慣れていない私は、

的の外れた言動でその場を凌ぐのだろう。


「か、かっこいい!」


そう言って差し出された両手を掴み、

バンザイさせる。


「…」


最後までお読みいただきありがとうございますヽ(;▽;)ノ

こんな私にいいね、評価、ブックマークして下さりありがとうございます(;_;)

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