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新生活


『ガチャ』

『お話は済んだかな?』


唐突に部屋の扉を開け、

白いスーツを纏った男と黒服たちがやってきた。

白いスーツの男は金髪に金の装飾品を身につけた、

いかにも成金といった容貌。


『カメラは仕掛けるなって言ったよね?』

『盗聴器を仕掛けるなとは言ってないよな』


反射的に当たりを見回してしまった。


『言葉はわかるようだな』

『あ、いえ…』

『彼女は聞き取れるだけで話せない』

『まあいいだろう、で、うちの妹に何の用だ?』

「翻訳する、任せて」

「妹さんと三ヶ月連絡が取れなかったので、

心配でやって来ました」


あくまで桃子猫が呼び寄せたことは隠す。


『心配だからといって一人で来れるわけが無い。

雨桐、お前が呼び寄せたな』

『フン』

『不法侵入だ、

然るべき場所に連れていかせてもらう』


黒服に両腕を掴まれる。


「いいんですか?チームに

大きな損失をもたらすかもしれませんよ?」

『なんだと?』


内心ガクブルだが、

ここで決めなければもうあとは無い。


『一体どういう意味だ?』

「私はあなた方が確実に儲かる方法を持っています。

桃子猫さんを解放する交換条件でどうですか?」

『お前をタダで帰す条件で、だ』

「私には別に捕まってもいいです、

桃子猫さんが無事に出られればそれで」

『チッ…いいだろう、三日やる。

その儲かる方法とやらで

お前自身が利益を上げてみせろ』

「期間を設ける必要はないかと」

『何?』


スマホを取り出してブラウザを開き、

以前登録したビットプレジャーを起動する。

そして今、自分が幸せであることを思う。

桃子猫が恋人。

衣食住きちんと揃って生活している。

すると。


『な、なんだこれは…』


見せつけているスマホの画面の中で、

暗号通貨の現在の価値を示す折れ線グラフが、

急降下し始めている。


『すぐにチームに連絡を!』

「待って!」

『なんだ?』

「これは、その、ただの表記の不具合です。

私は意図的に引き起こせるんです。

あなた方なら、

これの有効活用を見つけられるでしょう?」

『もう一度試してみろ』


今度はグラフが急上昇し始める。


『なるほど…確かに』

「これは私にしかできません、

で、条件はなんでしたっけ?」

『ふむ…いいだろう』


黒服によって遮られていた扉が開かれる。


『お客様を丁重にもてなすんだ、

早速仕事をしてもらうよ』

「今日は疲れたので休みたい気分ですね」

『…わかった、雨桐、案内してやれ』

『あ、うん、取り敢えず家に戻る』

「ニャー」

『桃と一緒に』



車に揺られて数時間、桃子猫の家に戻ってきた。


『雨桐ちゃん!』


おばさんに桃子猫の無事を見せ、

部屋の中に戻る。


「ニャハ…」


桃は家のどこかへと消えていった。


「その…」

「ん?」

「ほんとに協力するの?あにと…」

「そーんなまさか、嘘に決まってますよ」

「じゃあ…」

「ええ、逃げましょう、ただ」


桃子猫の両手を掴む。


「いつまで逃げなきゃいけないのか、

私も見当がつきません。

それで…一人一人別れて逃げるのも寂しいので、

それまで一緒にいてくれますか…?」

「ううん」


突然の否定。

勝手に目頭が熱くなる。


「ずっと一緒!」

「───────はい!」



「ニャ〜」

「よーしよしよし」


と、感動的に啖呵を切ったものの、

引っ越して拠点を移してスマホを買い換えるだけで、

向こうからの連絡は全く来なくなった。

桃子猫の資産は置いてきてしまったが、

本人が自分なりに投資の勉強をしていたらしく、

コツコツと資産を増やしているらしい。

今住んでいるのは、

桃子猫と私の以前の家の間をとった、

広すぎず狭すぎず丁度いい大きさな家。


「にゃはーん」

「おーよしよし大きな猫さんですねえ」


今は二人と一匹で平和に暮らしている。

バグらせ体質は未だ健在だが、

家族がいれば乗り越えられるだろう。

「ランさん」

「ん?」

『チュッ』



VRMMOで出会ったお姉様なら私の隣で寝てる、

これにて大筋は終了となります

ですが思いついたらおまけを

更新し続けようと思うので完結はいたしません

R18の間話も別で掲載しようと思いますので、

どうぞよろしくお願いします

ご愛読ありがとうございました




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