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指切りげんまん



だいぶ泣き止んできて、

吐露する言葉も少なくなってきた。

後半は母国語も混じってきて

何を言っているのか分からなかったのが幸いだ。


「立てますか?」

「ン」


手を繋いでリビングまで歩き、

ベッドに座らせる。


「粗茶ですが」

「…」


茶をすする顔を改めて見ると、

桃子猫が化粧をしていないことに気がついた。

土砂降りの中傘もささずにいたのだから、

落ちていても不思議ではない。

こう言ってはあれだが、

あのセレブりティさは

化粧も相まって成されたものだったのだろう。


「…少し」

「…」

「少し、昔話をしてイイ?」



初恋の人がいた。

もう名前は思い出せない。

その人は突然私の村にやってきた。

日本人の女性で、

中国の田舎を研究しにやってきたらしい。

眼鏡は知性を思わせ、

地元民よりも堪能な中国語は新鮮そのものだった。

俄然興味をそそられ、

その人が借りていた家に毎日押しかけた。

その人からすれば、

私はいい研究対象だっただろう。

あの人から色んなことを学ぼうとした。

最たるものは、日本語と大人っぽさ。

今になってわかったが、

大人っぽさを強要されるというの

はかなり息苦しいものだ。

迷惑だっただろう。

迷惑を好きなだけかけられる人間を、

好きにならないはずがなかった。

兄が投資のイロハを教わって

いよいよ頭が上がらなくなった時、

別れの時が来た。



「本当に行っちゃうの?」

「そうだね、残念だけど」

「また会える?」

「会えるさ。そうだ、指切りげんまんしよう」

「指切りげんまん?」

「約束のおまじないさ、こうやって…」


ゆーびきーりげーんまーんうーそつーいたーら

はーりせーんぼーんのーばす、ゆーび切った



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