完封
「BRHO!」
『バチュッ!』
飛んできた火球を桃子猫が弾いてくれた。
練習の成果が現れたようだ。
「BRHO!」
『バチュッ!』
ただ如何せん、防戦一方。
弾いた火球によって崩れた壁面が、
そろそろ足下を脅かしてくる。
崩れた壁面…。
「お姉様、竜の周りの壁を、
火球を反射して崩すことは出来ますか?」
「やってみル」
「BRHO!」
『バチュッ!』
思った通り火竜の傍の壁面が崩れる。
それを繰り返すうち、
人一人分が通れるくらいの穴が完成する。
それを詰める程の高度なAIは、
どうやら持ち合わせていないらしい。
今こそ好機。
「攻めます!」
「ン!」
「火球!」
火竜の喉が明滅する。
「BR
口内で爆発、
そして桃子猫がもう片方の目も切りつける。
「BRHOOOOOOOO!!!!」
もはや悲鳴に近いその叫びと共に、
火竜は闇雲に火球を発射しようとする。
その連射速度と爆発の威力から、
HPが半分以下で発生する強化行動なのだろう。
しかし作業のようにそれらを咎め、
やがて火竜の活動は終息していく。
赤燐は動かなくなった。
勝った。
それも完封勝利だ。
「イェーイ!」
「おうふ」
本日二度目となる顔への抱擁。
「勝っタ勝っタ!」
「勝ちました」
前哨戦としてはこれ以上ない成果だろう。
「一旦ドワーフさんに報告に行きましょう」
「ウン!」




