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牙を磨く


「フー」


かなり量が多かったが、

以外とすんなり胃に納まってくれた。


「歯、磨いてクル」

「あ、はい」


歯ブラシと歯磨き粉にコップも持参とは。

さては泊まる気満々だったな。

歯磨きの話をされたら歯がむず痒くなってきた。

少し手狭だが間借りさせてもらおう。

洗面所の扉を開ける。


「ン」

「私も磨きます」


桃子猫に場所を譲られ、

準備を済ませ先に磨き終えるであろう

桃子猫にまた譲る。

しばし歯磨きの独特な音のみとなる。

やはり桃子猫が先に磨き終えたが、

口をゆすいだ後何故か出ていかず待機している。

何か言いたそうな目をして。

少し構えながら歯を磨き、口をゆすぐ。


「二人で生活シテルみたいダネ」


にやけながらそう言われる。


「はは…二人で住むなら桃子猫さんの

ところがいいですがね」

「…へー…フーン…」


肉食獣が獲物を見るような、

そんな目付きに変わった。

肩を掴まれる。


「一度来タラ、二度と離さないヨ?」


歯牙にかけた獲物に対して、言っているような、

そんな雰囲気がある。

そんな風に言われたら、普通は憤るのだろうか。

あるいは悲しむか。

そのどちらでもなく、ただ腰の力が抜ける人間は、

何に属するのだろう。

何事もなかったかのようにリビングに戻る。

そしてとうとうすることが無くなる。


「またゲームします?」

「ドッペルフリーシヨ」

「いいんですか?」


てっきり今日はしないものと考えていた。


「ウン、やりたいこと見つかったカラ早メに」

「なるほど」


岩石砂漠エリアの解放も近いし、丁度いい。

ベッドに寝転がりながらヘッドセットを装着する。

手動で画面を操作している間に、手を握られた。

恋人繋ぎで。


「どうしました?」

「逃げないタメに」

「に、逃げませんよ〜」


見透かされていたか。

ドッペルフリーを起動する。

意識が遠のく。



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