表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
129/165

床食い


『ピンポーン』


本当に意識を保ったまま、時間が経った。

スマホも弄らない珍しい時間だった。


「ン…」

「出前、来たみたいです」

「ン」


桃子猫の体を横に流し、起きて玄関を開ける。


「出前の配達に来ました〜スペシャル天丼

お二つで合計二千二百九十円になります〜」

「はいわかりました〜」


相手の声が仕事モードだと、

こちらもそれに合わせてしまう。

桃子猫から貰った小銭も有効活用し、

現金をしっかり渡す。

レジ袋に入った丼と交換。


「ご利用ありがとうございました〜」


配達員はそそくさと去っていった。

玄関を閉め、リビングに持っていく。


「オ〜」


体を起こした桃子猫が、

ベッドから足を垂らしていた。


「えーと…」


しまった。

この家には食卓というものがない。

いつもパソコンのデスクで物を食べていた。

取り敢えず一旦そのデスクに置いて、

模様替えの是非を考える。


「床でもイイよ」


鶴の一声だった。


「いやでも、お客さんに床で食べてもらうのは…」

「イイのイイの、昔はよくそれで食べてたから」


貧乏時代の話か。


「なら…」


若干申し訳なく、そっとレジ袋を床に落とす。


「ヨーシ」


桃子猫が率先して品を並べる。

むしろ喜び勇んでいるようにも見える。


「久しぶりダナーこういうノ」

「そうなんですね…」


逆に私の方が、床で食べたことが無いな。


「ウホー」


フタを開けて丼の中身が御開帳。

サイトで見た通りの、大きなえび天に各種天ぷら。

ご飯が見えないな。


「イタダキマース!」

「いただきます…」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ