復讐の算段
…あ。
桃子猫に会ったインパクトと度重なるイベントで、
伝えることを忘れていた。
「桃子猫さん」
「…」
電車の中ではさすがに恥ずかしいのだが。
「お姉様」
「ン?」
「このニュースなんですが」
スマホの画面を見せる。
『ドッペルフリー次回アプデ情報』
「フム」
「それでここなんですが…」
『新エリア:岩石砂漠』
「ここってやっぱり…」
「アソコだね」
私達が初めてスポーンしたエリア。
バグによったものだったので、
ボスモンスターによって実質的に未開放エリアだった。
「ここが開放されるということは、
あのドラゴンや巨人が居なくなる…
と踏んでいいでしょう」
「ウン」
「その…個人的なアレなんですが、
あいつらに復讐…的な」
「イイよ」
「ありがとうございます」
「アイツら一回ちゃんと戦いたかったし」
「私もです」
となれば作戦立案。
「洞窟と橋、どっちから行った方がいいですかね」
「洞窟、あのドラゴンとも戦いタイ」
「私もです、
となればあの巨人をどう呼び出すかですね」
「ドウって?」
「可能性の一つとして、
あいつは森側の橋の前に足を踏み入れないと、
現れないかもしれません」
「アー…」
ゲームのモンスターというのは、
必ず会敵条件がある。
視界に入るとか、罠をふむとか、縄張りに入るとか。
やつの場合は、橋に近づいたプレイヤーを
迎撃するため、森側を警戒している。
現状橋が落ちているので、
森側から近づいても前のようになるし、
砂漠側からだとそもそも出現すらしないかもしれない。
「あの崖越えられたりします?」
「ムリかも」
「ですよね」
高所恐怖症に無理はさせられない。
「誰かに協力してもらう必要がありますね」
「ウン」




