二度目の桃子猫
けたたましいブレーキ音と共に、
新幹線がやってくる。
そして濁流のような人の群れ。
桃子猫はどこだろう。
いた。
なんかもう、オーラが漂っている。
集団の中で少し空間が広がっている。
その空間は、自分が動かずともぶつかるだろう。
「桃子猫さ〜ん?」
「…」
反応がない。
だが桃子猫らしき人が近づくにつれ、
やはり桃子猫だと確信する。
「桃子猫さん?」
小走りでスーツケースをガラガラ鳴らしながら、
こちらにかけてくる。
「…」
「あ…お姉様?」
「ランさ〜ん!」
抱きしめられる。
「ぉふぉふぉふぉ」
とてつもない包容力が体を包囲する。
「ンフフフフ」
「こんにちは」
「コンニチハ」
目が合う。
ゲームでは桃子猫が見上げていたのに、
現実では私が見上げる側。
「ヨシヨシ」
そして撫でられる側。
悪い気はしない。
悪い気はしないが、一向に離してくれない。
「あの、そろそろ…」
「ア、ウン」
酸素が吸える。
めちゃくちゃいい匂いがした。
「イコ」
「はい」
手を繋いで歩く。
だがロッカーへ続く道を通り過ぎた。
「荷物預けなくていいんですか?」
「ウン」
昨日よりは少し大きい荷物。
だが軽快に運んでいる。
殊に心配する必要は無さそうだ。
改めて桃子猫の全貌を見る
服装は昨日と違うが、
セレブリティな雰囲気は何も違わない。
本人曰く求められた格好と言っていたが、
やはりよく似合っている。
この人を安アパートに連れ込むのは、
若干気が引ける。
それを伝えたりはしないが。
家を向かう電車に乗る。




