迎える準備
意識が戻る。
ヘッドセットを外し、即座にスマホを起動。
時刻は七時十五分。
まずい。
十時前に東京駅に着くとしてここを出るのは九時、
それまでに部屋の掃除と食事をしなくては。
だとするとシンクの掃除に、
掃除機の掃除までやらなければ…?。
綺麗になっている。
床も、シンクも、掃除機も。
まさか。
社長からの通知が、やはり来ていた。
『部屋汚れてたから片しといた』
『ありがとう』
即座に返信は来ない。
社長のことだし、
既に仕事に取り掛かっている可能性がある。
本当に頭が上がらない。
頭が上がらなさすぎて逆立ちしてしまう。
ともかく人に入られていい部屋にはなった。
次は桃子猫に見られてもいい部屋にしよう。
ベッドを整えたり、
ゲームのパッケージを整列したり、
パソコンの埃を拭いたり。
これで幻滅されずに済むだろう。
シャワーと食事をすれば丁度いい時間になるはず。
『ごるごるごる』
「うっ来た来た来た…」
腸内活動の再開。
滞りが無くなるからむしろ
いいのが出るんだなこれが。
東京駅。
時刻は九時四十五分。
また人に酔いそうになったが、
何とか新幹線を迎える位置に着いた。
桃子猫はまだ来ていない。
連絡するか。
『東京駅に着きました』
『今私は新幹線の中です、もうすぐ着くと思います』
『分かりました』
十時には着きそうだ。
適当にスマホでも見て過ごそう。
「ん?」
気になる記事。
『ドッペルフリー次回アプデ情報』




