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お姉様
「お姉様ってヨンデ」
「…は?」
唐突が過ぎる。
「まあ、いいですけど…」
呼ぶくらいなら減るものでも無い。
「イイの!?ホントに!?」
「え、ええ…」
すごい食い付きだ。
「ヤッター!!」
諸手を挙げて喜んでいる。
「じゃ、じゃあ一回呼んでミテ」
「お、お姉様」
「ンフフフ」
今までにないくらいの笑みをこぼしている。
「ランさん」
「はい」
「私ネ、またランさんに会いタイ」
「いいですよ」
「どこに住んでるノ?」
「住所は…え?」
「どこに住んでるノ?」
「来、来るんですか?家に」
「行ク」
これは困った。
客人への用意どころか、
まともな人間が住めるような状態にしていない。
起きたらすぐに片付けなければ。
「住所はZで送ります…何時くらいに来られますか?」
「十時には東京カナ」
「分かりました…ですが、
わたしが迎えに行った方がいいかと」
「ナラそうしよう」
やり取りが一段落する。
一つ息を入れる。
「それでは、今日はここまでで」
「ウン」
胸のしこりを押し、
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