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ジャンプせずとも硬貨は鳴る

淡い光の後に瞼の裏の闇が入り、

水平線上に光を取り入れる。

外だ。

十人近い大所帯が気にならないほど、

多くの人間がいる。

そのほとんどは地面に座り込み、落胆している。


『ジャラ』


一歩歩き出した時、財布や袋の中の硬貨が揺れる。

これだけではまだ、

装備の金属部分の擦れとも取れるだろう。


『ジャラジャラジャラ』


全員が歩き出してしまえば、

それは確信めいたものになるだろう。

首をもたげていたプレイヤー達が、

一斉にこちらを向く。

その中の一人、人間の女が口を開く。


『あなた達…まさかクリアしたの?』


その質問がここにいるプレイヤーの答えだった。

送還されたプレイヤーが、否が応でも行き着く場所。

そして大抵の場合、途中か強制送還。

膨らんだ財布に視線が集まっている。

もはや言い逃れはできない。


「…はい」

『やっぱり!?』

『おぉ…』


場がどよめく。

自然と手が金を覆う。

PVPは、まだ終わっていない。


『ど、どうやってクリアしたんですか!?』

『教えてくれよ!』

「私にも私にも!」


予想とは裏腹に、快活に責め立ててきた。

決して財布に手を伸ばすことなく、

服を引っ張ったり祈ったりしている。

自然と、金から手が離れた。


「私達は運がよくて…」

『知り合いに出会えなかったらどうなっていたか…』


話し込んでいる内に、

あるひとつの疑問にたどり着く。


「どうしてここに留まっているんですか?」

『あぁ…』


女が言葉に詰まる。


『えと…私は取り残された仲間を待ってて…』

『俺は食料が尽きたから、

まっすぐ帰るより死んだ方が早く街に着くかなって』

「なるほど…」


八八と向き合う。

そしてこの場にいる全員と目配せする。


『また…あれをしますか』

「そうですね」


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