表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
103/165

取り分


全員が黙り込む。

前に似たようなことをしたが、

あれは金額の小ささがあっての事。


『難しいのは、

硬貨以外の価値が分からないことですな』

「ええ」

『というわけで、一旦数が平等になるまで分けた後、

そちらが端数を受け取るというのは?』

「いやいや、そもそもこちらは詰んでいた所を

助けてもらったので、

三割でも貰いすぎなくらいですよ…」

『いやいや、こちらこそあなた方がいなければ

何も出来ずに詰んでいたところですよ…』

「いやいや…」

『いやいや…』


また始まった。

報酬の譲り合い、

その場限りの即席のパーティなら、

この場で真のボス戦もやむなしだろう。

だがここには譲り合いの鬼が二人いる。

このまま続けば宝箱に収め直しそうだ。

十分後。


『と、言うことで…』

「はい…」


結局、六対四で分けて端数を貰う形となった。

向こうは大所帯でこちらは二人なのに、

聞く耳を持ってくれなかった。

毎度のことだが。

問題はその向こう。


「入り切らナイ…」


五百を超える硬貨と数個の宝飾は、

目の前の彼らから貰った財布と、

更にギルドから支給された財布でも足りなかった。


「あのー…『もっと欲しいんですか?』

「イラナイデース」


何か物が入りそうな物がないか、周囲を見渡す。

…実は最初がある。

幾度となく視界に入る、豪華な収納。

宝箱。

だがあまりにも、携帯に向いていない。


「アッタ」


桃子猫の声に、全員の視線が集まる。

桃子猫の傍にはあの水晶。

一体何を指して言ったのか分からない。

そう思った時、

桃子猫は水晶に敷かれてきた布を取り出した。


「コレ」

「おぉ」


取り出せたのか、それ。

てっきり水晶と一体化した

オブジェクトだと思っていた。

手で包んでいた硬貨を、広げられた布に乗せ、包む。

粗方の作業はこれで終わった。


「外に出ましょうか」

「ウン」

『ええ』


水晶に手をかける。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ