表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

おやすみなさい。

作者: 西川 新

こんばんは、夜遅くにごめんね。

別に急用じゃないからさ

無視してくれてもいいよ。


ただなんだか

僕が不安なだけだから。

急にごめんね。


最近さ、

ゆっくり眠れてる?


いや、眠れてるならいいんだ。

そんなに気にしないで。


というのも奇妙な話なんだけどさ、

いつも夜になると君のことを思い出すんだ。


記憶の中の君は

隅に縮こまって

いつも、泣いているんだ。


それは、夢のようで

夢じゃなくて。


君の元に行かなきゃって

その夢を見るたびに思った。


だからこうやって

遂に耐えきれなくなって来ちゃったんだけど。


身勝手だよね。

僕もそう思う。


君が泣いてるとしても

僕は何もできやしないんだけどさ。

君だって、僕に何がわかるの?って感じだよね。


でも、もしも。


君が毎晩、

一人で静かに泣いてるのなら

僕は君のそばにいたい。


その涙の冷たさを

僕は君と分かち合いたい。


あのさ

最近、ゆっくり眠れてる?


ただ僕が不安なんだ。

身勝手なことは痛いほどわかってる。

不安を払拭するためにこんな夜遅く訪ねる僕を

身勝手と言わずになんと呼ぶんだろう。


どうして君は

毎晩泣いているの?


言いたくないなら言わなくても良いの。

言えないなら言えないままで良いの。


泣いてもいいの。

泣かなくてもいいの。


ねぇ、最近ゆっくり眠れてる?


よかったらさ、今晩は一緒に寝ない?

今晩だけでもいいから、寄り添わせてくれない?


嫌だったら良いんだ。

僕が不安なだけだから。


こんばんは、夜遅くにごめんね。

別に急用じゃないからさ

無視してくれてもいいよ。


最近さ、

ゆっくり眠れてる?

おやすみなさい、良い夢を。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 寄り添っているけれど 押し付けていない 語りかける言葉が 自然と心に溶け込んでいくようで。 素敵な言葉をありがとうございます。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ