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ドワーフ

セリオンとエスカローネはドワーフの村を訪れた。

「ここがドワーフの村か」

「そうみたいね」

「それにしても、今日はここで宿泊しなければならない。明らかに人間である俺たちに宿を貸してくれるだろうか?」

「まずは聞いてみましょう」

「そうだな」

セリオンは近くを通った、一人のドワーフに声をかけた。

「すまない」

「んだ? おめーら地上人か? うひゃー! 地上人が地下の国に来るなんてな!」

「そうだ。俺たちは地上人だ。ところで、今晩はここで俺たちは宿を取りたいんだが、場所はどこか教えてもらえないだろうか?」

「いーぞ。ほら、あそこだ。あの三日月の形をした印だ。あそこが宿屋だ」

「ありがとう。助かった」

「んだ。じゃ、おらは仕事のもどっから」

「エスカローネ、あの三日月の印があるところが宿屋のようだ」

「そう、それじゃあ行ってみましょう」

セリオンとエスカローネは宿屋「三日月」を訪ねた。

「三日月」は木造の作りだった。

「失礼する」

「すいません」

二人はのれんをくぐった。

「ん? おめーらは地上人だな。ドワーフの国に地上人が来るなんて珍しいこともあるもんだべ」

「今晩泊まりたいのだが、いいだろうか?」

「いーべ。おめーらが地上人でもカネさえ払ってくれるならもんくねーぞ?」

「ありがとう、それでは一泊、食事付きで」

「わかったぞい」

「それにしても、グノーム(Gnom)様はどこに行ったんだべか?」

「おらも知らねーだ。グノーム様は突然消えてしまわれた。どこさいるかわからんべ」

「グノーム様?」

セリオンが二人のドワーフが話している様子をうかがった。

「グノーム様ってなんだ?」

「グノーム様は我らが守り主だべ。土の精霊様じゃ。そのグノーム様が今、行方不明なんだべさ」

「セリオン、この話気になるわね。行方不明……どうかしたのかしら?」

セリオンもうなずいた。

「ああ、そうだな。ただ今日はもう遅い。疲れもあるし、明日また聞いてみることにしよう」

「そうね」




「てーへんだ! てーへんだ!」

「んだ? どしただ?」

宿屋の主人が言った。

「ワトー(Vatoo)の奴がグノーム様を探しに洞窟に向かっただ!」

「なんだべさ!? 洞窟にはモンスターもいるべ。そんな危ないところにワトーが行ったんだべか!?」

セリオンとエスカローネは朝食を取りながらこの話を聞いていた。

ちなみに朝食は黒パンに野菜炒めだった。

どうやらグノームを探すために、ワトーというドワーフが洞窟に向かったという。

「エスカローネ、俺にはこのことが無視できない。俺たちもその洞窟に行ってみないか?」

「そうね。私もそう思っていたところよ。ワトーさんが一人で行ったということが気になるわ」

二人はワトーが向かったとされる洞窟に行くことにした。

洞窟は村の外れにあった。

洞窟からは暗闇が顔をのぞかせていた。

「これは……暗いな。エスカローネ、光を出せるか?」

「ええ。光よ、いでよ」

エスカローネはボール大の光を作った。

光が周囲の岩肌を浮かび上がらせた。

セリオンは右手に大剣を持ち、洞窟の中を進んでいった。

「!? 奥に何かいる! エスカローネ、気をつけるんだ!」

光源の端から何やら動物の気配が感じられた。

「? いったい何かしら?」

すると奥から二匹のコウモリが出てきた。

「コウモリか……モンスターじゃなかったな」

「そうね。セリオン、安全に進んでいきましょう」

セリオンとエスカローネは洞窟内を慎重に進んだ。

「この洞窟はどこまでつながっているんだろうな?」

「あら? 見て、セリオン。大きく開けた所に出たわ」

「? あれはたいまつだ。もしもし、そこの人!」

セリオンはたいまつを持つ人物に話しかけた。

彼はドワーフだった。彼はドワーフ特有の低めの身長、つぶらな瞳、あごひげなどを備えていた。

「なんだべさ? おまえさんらは?」

「もしかして、おまえがワトーか?」

「そうだい。おれっちがワトーだべ。おまいさんらはなんだね?」

「ああ、すまない。俺たちはあなたが気になってここまで来たんだ」

「そうだべか。それにしても……こんな大きい所は今までこの洞窟にはなかった。これはいったいどういう意味なんだあ?」

シュルシュルと奥の穴から音がした。

「こっ、これは!?」

ワトーは慌てた。

「これは何か、危ない予感がするだ! お先に―!」

そう言うとワトーは大慌てで腕を振り、駆け出して行った。

「エスカローネ、光をもっと強くしてくれ!」

「わかったわ!」

エスカローネは光の球体を大きくして上にかかげた。

その光は怪物の姿をしたシルエットを浮かび上がらせた。

「こいつは、モンスターか! こいつをこのままにしておくわけにはいかないな! 俺が相手だ!」

セリオンはこのモンスターに対して、大剣を構えた。

このモンスターの名前は「ホウセキモグラ」

閉じられた目が特徴のモンスターだった。

ほかには鋭い、前足の爪を持っていた。

ホウセキモグラは土の息をはいた。

セリオンは光輝刃を出して、土の息を斬り裂いた。

ホウセキモグラの多連・硬石槍。

硬い石の槍が、多数セリオンに向かう。

セリオンは大剣でそれを砕き、硬石槍を迎撃した。

ホウセキモグラの土衝波どしょうは

土の衝撃がセリオンに放たれた。

セリオンはいっそう光の力を刃に注ぎ込んだ。

セリオンは光輝刃でこの攻撃を打ち破った。

「これからが本番だ! 蒼気!」

セリオンは蒼気を展開した。

セリオンは膨大な蒼気でホウセキモグラを攻撃した。

「グリュウウウウ!?」

ホウセキモグラは痛みで顔をしかめた。

ホウセキモグラは鋭い爪で反撃してきた。

セリオンは後方に跳びのいた。

ホウセキモグラは長い舌で攻撃してきた。

セリオンは蒼波刃を出した。

蒼波刃をくらい、ホウセキモグラは痛みに顔を歪めた。

ホウセキモグラはセリオンに追いつめられ、最後の手段を使った。

それは岩石落としだ。岩石が上から転がり落ちてくる。

セリオンは蒼気の刃を伸ばして、この攻撃を防いだ。

岩石はすべて蒼気によって斬り裂かれ、無力化された。

「これまでだ! くらえ!」

セリオンは最強技「蒼気凄晶斬」を出してホウセキモグラに叩き込んだ。

ホウセキモグラの頭が叩き割られた。

「リュウウウウウ!?」

ホウセキモグラは短い絶叫の後、絶命した。

ホウセキモグラは茶色の粒子と化して消滅した。

そこにワトーが戻ってきた。

「うっひゃあああ!? あれは地底獣『ホウセキモグラ』だんべ! ホウセキモグラは百年に一度生まれてくるモンスターと呼ばれておるさ。ホウセキモグラは出るし、グノーム様は行方不明だし、いったいどうなっているさ……」

「誰じゃ、わしのうわさをしとるのは!」

そこに小人のような老人が現れた。

「グノーム様! ご無事でしたか!」

「あったりまえじゃ! ぴんぴんしとるわい! どうやら眠っているあいだにホウセキモグラの巣に運ばれたらしいのう。もう少し遅かったら食われておったかもしれんな。ホッホッホ!」

「そんな!? 軽口じゃありませんですよ!」

「ホウセキモグラは倒せたし、グノームも見つかった。これで一件落着だな」

セリオンが言った。

「おぬしらにも大変迷惑をかけたのう! お礼にわしの魔法で入口まで送ってやろう。そーらな!」

セリオンとエスカローネは気づくと洞窟の入口に立っていた。

「すごいわ。本当に洞窟の入口にもどってきたのね」

「さてさて、ここでお別れじゃな。おぬしらはこれからどこに行くつもりじゃ?」

「ああ、俺たちはエスファハーンに行こうと思っている」

「そうか。エスファハーンには炎の川フレゲトン(Phlegethon)が流れとる。わかってはおるだろうが、気をつけてな」

「ああ、ありがとう」 




セリオンとエスカローネは炎の川フレゲトンの前にいた。

このフレゲトンには石の橋がかけられていた。

「これが炎の川フレゲトンか……すごいな。マグマが流れている」

「すごい熱だわ。落ちてしまったら助からないわね」

「ああ、気をつけよう」

「あそこに都があるわ。行ってみましょう」

二人は都がある方向に歩いた。

二人はエスファハーンに到着した。さっそく王城に向かう。

都の中はドワーフでいっぱいだった。

二人はドワーフたちから視線を受けた。好奇の視線だ。

「なんだか、好奇の視線を感じるな」

「そうね。ここでは人間は珍しいものね」

「さあ、王城へと向かおう」

二人は王城の門の前へとやってきた。

王城は堀で囲まれており、そこには炎の川からマグマが引かれていた。

「すまない、国王と面会したいんだが……?」

ドワーフの兵士が槍を交差させて通行を防いだ。

「何を言っている? きさまらごときと大王陛下ヤズデギルド(Jadzdegild)様がお会いになられるわけがあるまい。とっとと失せろ、人間ども!」

セリオンらは冷たくあしらわれた。

「困ったな……危険な男がこの国を狙っているんだ。それだけでも伝えてくれないか?」

「もう一度言う、失せろ!!」

兵士は槍をセリオンに突き付けてきた。

「何をしているのだ?」

「宰相閣下!」

「宰相?」

「おい、おまえたち、すぐにそこをどけ!」

セリオンとエスカローネはきらびやかな服を着て長いあごひげをたくわえたドワーフに道を譲った。

「ほう……人間か……人間がここエスファハーンに何の用かね?」

「俺たちは大王と謁見がしたいんだ」

「ふむ……私は宰相のヴァーツラー(Waazler)だ。その案件この私が取り持ってやってもいいぞ? おまえたちは腕がたちそうだな」

「宰相閣下!?」

「そうだな……ケルマーン(Kermaan)地方がビオグランデ(Biogrande)という怪物に占領されて困っておる。もし、その怪物を倒してくれれば、私が大王陛下との謁見を取り図ろう。どうだ?」

「…………」

セリオンとエスカローネは顔を見合わせた。

「わかった。ビオグランデだな?」

「ビオグランデはいばらの森の奥地にいる。善戦を期待しておるぞ」




ケルマーン地方は高地の地方である。

エスファハーン国の中では比較的気温が低い。

つまりすごしやすい。

セリオンとエスカローネはケルマーン地方に足を踏み入れた。

その二人の前に、いばらの森が現れた。

「あれは……ツタに閉じ込められている森だな。ところどころいばらがある。ここがいばらの森に違いない」

「この奥にビオグランデがいるのね。セリオン、気をつけて進みましょう」

セリオンとエスカローネはいばらに接近した。

「!? なんだ!?」

するといばらはほどけて、触手のようになった。

「……どうやらただでは通してくれないようだな」

セリオンは大剣を構えた。エスカローネもハルバードを出した。

いばらが鞭のように薙ぎ払ってきた。

セリオンとエスカローネは姿勢を低くしてかわした。

セリオンはいばらに斬りつけた。

いばらは切断されて、しばらく動いた後、緑の粒子と化して消滅した。

さらにほかのいばらが襲いかかってきた。

いばらがセリオンを打ちつける。

セリオンはいばらの攻撃をかわした。

エスカローネが前に出て、そのいばらを斬った。

またもや、切断されたいばらはくねくね動いた後、緑の粒子と化して消滅した。

「やったか……」

セリオンとエスカローネはいばらの森を奥へと進んだ。

森を奥に進むと、巨大な花を持つ植物と出会った。

巨大植物はいばらを多数従え、円形に配置していた。

「こいつがビオグランデか。植物型のモンスターのようだな」

「周囲をいばらで囲まれているわね。いばらの相手は私に任せて。セリオンはビオグランデ本体をお願い!」

「わかった。ビオグランデ本体は俺がやる!」

セリオンは大剣をビオグランデに向けた。

ビオグランデは毒の息をはいた。

毒の霧は周囲に拡散していく。

このままではセリオンは毒にやられる。

セリオンは翔破斬を出した。

毒は翔破斬によって吹き飛ばされた。

ビオグランデの触手攻撃。

セリオンは一方をかわす。

もう一方の攻撃をセリオンは大剣でガードする。

触手は硬かった。

それを切断することは不可能だった。

セリオンは氷結刃を出した。

触手をセリオンは押し返す。

ビオグランデの弱点は「氷」だった。

ビオグランデが花びらをセリオンの周囲に送り込む。

「これは……眠りの花びらか!」

セリオンは鼻から花びらの甘い匂いを感じ取った。

眠りの花びらがセリオンの周囲を旋回する。

セリオンは迫りくる花びらを氷の大剣で斬った。

ビオグランデは毒の息をはいた。

「そんなものは通じない!」

セリオンは毒の息を氷結刃で斬り裂いた。

セリオンはビオグランデに接近した。

セリオンは氷結刃でビオグランデ本体に突き刺した。

「ギュウウウウウウ!?」

ビオグランデが叫び声を上げた。

さらにセリオンは氷星剣を出し、ビオグランデの体から斬り上げた。

ビオグランデはとどめを刺された。

ビオグランデは緑の粒子と化して、消滅した。

「セリオン、やったのね!」

「ああ、俺はビオグランデを倒した」

「これで宰相の言う通り、大王陛下に会えるのかしら?」

「そうだな。約束はしたが、それが守られるとは限らない。相手の利害しだいだな」

「それじゃあ、エスファハーンに戻りましょう」




「これは!?」

「いったいなにがあったの!?」

セリオンとエスカローネはビオグランデを倒したという報告をするため、エスファハーンに戻った。

そこでは何者かにドワーフたちが殺害されていた。

セリオンとエスカローネはるいるいと残る死体を見た。

セリオンは一人のドワーフの死体に近づいた。

「血がまだ固まっていない……誰かわからないが犯人はまだ城の中にいるかもしれない。行ってみよう!」

「ええ!」

二人は城内に入った。途中にはたくさんの死体が横たわっていた。

セリオンとエスカローネは玉座の間に急いだ。

扉の前には宰相のヴァーツラーが倒れていた。

「しっかりしろ!」

「うううう……」

「いったい何があったんだ?」

宰相はまだかすかに息があった。

「ぐ……恐ろしい銀髪の男が……大王も奴の手にかかって……すまぬ……最後に言わせてくれ……遺体は火葬してくれぬか?」

「ああ、わかった。後のことは任せろ」

「すまぬ……ぐふっ!?」

ぐったりと宰相は倒れた。

「銀髪の男か……まさか!?」

セリオンは扉を開けた。

「ふっ……来たか、セリオン……」

「サタナエル! おまえのしわざだったのか!」

「フフフ……その通りだ。この私がドワーフどもを皆殺しにしたのだ」

サタナエルは振り返った。

サタナエルの手には血の付いた刀が握られていた。

「私はハデス国に行く。セリオン、おまえも来るがいい。だが、このままここを去るのもおもしろくない。余興だ。存分に楽しんでくれ。レヴィアタン!」

サタナエルが呼ぶと、大悪魔レヴィアタンが現れた。

「こいつは……スルトを襲った奴か!」

「ではセリオン、さらばだ」

「待て!」

サタナエルは渦巻く闇の中に消えた。

後にはセリオン、エスカローネ、そして大悪魔レヴィアタンが残された。

レヴィアタンは炎の槍を複数放った。

多連・火炎槍である。

「こいつは……前と使う属性が違う!」

セリオンは蒼気を放出した。

放出した蒼気でセリオンは火炎の槍を斬り払った。

セリオンは蒼波刃を放った。

レヴィアタンは火炎槍を出した。

レヴィアタンに蒼波刃は当たり、レヴィアタンを傷つける。

レヴィアタンは傷を受けても平然としていた。

「こいつは平然としているんだな。ダメージを受けたのか、それとも受けていないのか……」

レヴィアタンは火炎槍を雨のように上から下に落とした。

火炎の槍が多数落下する。

セリオンはバックステップでこの攻撃をよけた。

レヴィアタンは火炎槍を一点に集中して出してきた。

セリオンは蒼気の力で一気にすべての火炎槍を薙ぎ払った。

レヴィアタンの「噴火」

セリオンの足元から炎が湧きあがる。炎は高く上がった。

セリオンはぎりぎりのタイミングでこの攻撃を回避した。

レヴィアタンの「火炎噴」

炎が床から噴出する。

セリオンはサイドステップでよけた。

レヴィアタンは「炎爆」を出した。

「うおああ!?」

セリオンは回避しきれず、炎の爆発に巻き込まれた。

レヴィアタンは爆炎砲を放った。

セリオンは蒼気を叩きつけた。蒼気が徐々に炎の波動を押していった。

そしてセリオンの蒼気が爆炎砲を斬りつけた。

爆炎砲は無力化された。

セリオンは蒼気を極限まで解放した。

セリオンは蒼気の斬撃でレヴィアタンに斬りつけた。

セリオンは確かな手ごたえを感じた。

レヴィアタンは闇の渦を出し、その中に消えていった。

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