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ルーヌ

眼前には大きな湖が広がっていた。この湖はアウェルヌス (Avernus) 湖といい地下の国へと至る入口なのであった。セリオンとエスカローネは湖の周囲をバイクで巡り、どこかに入口がないかと探した。

「やあセリオン、久しぶりだね?」

スラオシャは木の枝の上に立っていた。

「スラオシャ…… まったくいつも突然に現れるな。今度はいったい何がしたいんだ?」

「君が地下の国に行きたがっていると聞いてね。私は助言をしにやってきたんだよ」

「助言、ですか?」

「おまえは地下の国の入口を知っているのか?」

「ああ、そうさ。湖を北に回るといい。そこに大きな洞窟がある。そこが地下の世界の入口だよ」

「北か…… わかった。俺たちはそこに行ってみる。ありがとう、スラオシャ」

「ああ、気をつけて行くといい。地下の国に太陽はないからね」

セリオンはスラオシャの行った通りに、湖の北側に移動した。

「ねえ、セリオン! あれを見て!」

「あれは…… 地下へと通じている洞窟だろうか? あそこに行ってみよう!」

セリオンは洞窟の入口にたどり着いた。

「ここで間違いなさそうだな。よし、中に入ってみよう」

セリオンはバイクを亜空間収納にしまった。

「明かりをつけたほうがよさそうね。光よ」

エスカローネはサッカーボールくらいの大きさの光を作り出した。

「あら? ごきげんよう、お二人さん!」

そこに緑の髪に、緑の瞳、緑の服を着た貴婦人が馬に乗って現れた。馬は黒い騎士が操っていた。

「あなたは誰だ?」

セリオンが尋ねた。

「フフッ! そうね、グリューネ婦人 ( Die Grüne) とでも呼んでくださいな」

「グリューネ…… 緑か……」

「ええ、そうよ。私は緑がとっても好きなのよ。あなたたちは地下の国に行きたいのでしょう? でも、やめておいたほうがいいんじゃなくて?」

「どういう意味だ?」

「フフフ! 地下の国には危険がいっぱいってことよ。およしなさいな、地下の国を訪れるなんてことは」

「俺たちはどうしても地下の国に行かねばならないんだ」

セリオンの瞳が意思を宿した。

「……そう。どうしても来たいのね……それなら止めはしないわ。そうね、まずは月明りの町ルーヌ(Lounu) を訪れてはいかが? ここをまっすぐに行って、道なりに進むことで到着できるわ。それではお二人さん、私たちは行くわね。 Auf Wiedersehen!」

そう言うとグリューネ婦人を乗せた馬は疾駆していった。

「さあ、じゃあ俺たちも行くとしようか。月明りの町ルーヌに」

セリオンとエスカローネは地下への道を下って行った。




セリオンとエスカローネはルーヌに到着した。

「ここがルーヌの町か。何か変だ。どうやらトラブルがありそうだな」

「ねえ、セリオン。黒い鎧を着ている人たちがいるわ。彼らは何者かしら?」

「おや、珍しい。こんな町に旅人ですかな?」

そこに一人の老人が現れた。

「あなたは?」

「失礼しました。私はモリッツ (Moritz) といってこの町の市長を務めていたものです。あなたがたはどのような者ですかな?」

「俺はテンペルの聖騎士だ」

「私はテンペルの女戦士です」

「テンペル? 確かヴァナディースにある組織でしたな?」

「俺たちはある人物を追って地下の国に来たんだ」

「そうですか……しかし、今この町には気をつけたほうがいいですよ」

「今、この町はどうなっているんだ? 黒い鎧の兵士たちがいるようだが……?」

「この町は今、スキュラ女王が治めるハデス国 (Hades) 占領されてしまったのですよ」

「ハデス国?」

「地下の国でも一番の国ですじゃ。今この町では至る所で『スキュラ (Scylla)女王陛下万歳!』と叫ばねばなりませぬ。わたくしとしてはルーヌを去ることをお勧めしますぞ」

「そういうわけにはいかない。俺たちは地下の国に用があるんだ」

「そうですか……無理に引き留めはしませんが、くれぐれも気をつけて」

そう言うとモリッツは去って行った。

「さて、行こうか、エスカローネ」

「ええ、セリオン」

ルーヌの町は地下にあったが、明かりが至る所にあり、周囲を光で照らしていた。

「こんなきれいな町なのにな。ハデス国とはもめ事を起こさないようにしたほうがいいな」

「それはそうだけど……少し、心配だわ」

「? どうして?」

「だってセリオンってトラブルメーカーだから。争いに介入したがるでしょう?」

セリオンは苦笑して。

「ははは……そうはいっても見過ごすことはできないこともあるさ」




「きさまあ! 今何と言った!?」

「このガキが! ふざけたことを!」

ハデス国の兵士たち三人が、男の子を恐ろしい形相ぎょうそうでにらみつけていた。

「へん! スキュラなんて知るもんか! ぼくは万歳なんて言わないぞ!」

男の子は無謀にも挑発した。

「これは冒涜だ! スキュラ女王陛下への冒涜だ!」

「このチビ! おまえはスキュラ女王陛下への反逆罪で、ここで処刑する!」

兵士たちは剣を抜いた。

「お待ちください! どうかお待ちを!」

そこに一人の女性が跳びこんできた。兵士たちに懇願し、慈悲を求めるように、男の子の前に立ちはだかった。

「なんだ、この女は?」

「きさま、いったい何をしている?」

「私はこの子の母親です! この子も悪気があってやったんじゃないんです! どうか、愚かな小さい子供のしたこととしてお許しください!」

「フン! 今更遅いわ!」

「それにな、子供の罪は親の責任だ。おまえもガキといっしょに殺してくれるわ!」

「さあ、逝ねい! がっ!?」

そこに大剣が投げつけられた。その兵士は大剣に貫かれて絶命していた。

「なんだ!?」

「何者だ!?」

二人の兵士は大剣が飛んできた方向を見た。そこにはセリオンが立っていた。

「おまえたちの企てを無視することは、俺にはできない」

「きさまあ、ふざけるな!」

「きさまも殺されたいらしいな!」

セリオンは手をかざした。するとセリオンの右手に大剣が戻った。セリオンは大剣を構えた。

「死ぬがいい!」

「くたばれ!」

二人の兵士が剣を抜いて襲いかかってきた。セリオンは一人の兵士に接近すると、横なぎを一撃。さらにもう一人の兵士通り過ぎて一閃と繰り出し、兵士たちを通り過ぎた。兵士たちはその場に倒れた。

「大丈夫か?」

セリオンが親子に尋ねた。

「……はい、助けていただいてありがとうございます」

「兄ちゃん、ありがと!」

「しかし、とても危険なことをしてしまいました。悪いことが起こらなければいいのですが……」

「俺のことは気にしなくていい。俺はトラブルには慣れている」

「いたぞー! あそこだ!」

「スキュラ女王陛下の名において、きさまを拘束する!」

多くの兵士たちがセリオンのほうへと走ってきた。

「セリオン! こっち、こっち!」

エスカローネが通りの角で手招きした。

「よし!」

セリオンはエスカローネのもとへ疾駆した。セリオンは角を通りすぎた。

兵士たちは角を曲がった。

「消えた!?」

「どこに行ったんだ!?」

「ええい、探せ! 探せ!」

兵士たちは見失ったセリオンを探しに、各方面へと散っていった。セリオンとエスカローネは路地裏に隠れていた。影に隠れて二人は静かに身を潜めていたのだった。

「どうやら、行ったようですね」

一人の女性が答えた。大きな赤いマジカルハットに赤い服、赤いロングスカート。髪は茶色で長かった。黒いブーツをはいていた。

「ふう……まったく、セリオンったらルーヌに来てすぐにトラブルを起こすんだから!」

エスカローネは少し怒り気味だった。

「どうしてもあの二人を見殺しにはできなくてさ……」

「まあ、セリオンなら介入するわよね」

「追手はいなくなったようだな。助けてくれてありがとう。君は?」

「私はルミヌー(Luminou)。レジスタンスの隊長をしています。……ところで、もしかしたらあなたがたは地上人ですか?」

ルミヌーの鋭い指摘にセリオンたちははっとした。

「……何か事情があるようですね。いいでしょう。私たちのもとに来てください」




学校の地下にはレジスタンスの秘密のアジトがあった。ここは本部であった。セリオンとエスカローネはルミヌーに連れられてここにやってきた。ハデス国に支配されたルーヌの現状をルミヌーは語った。

「現在、ルーヌ全域にハデス国の軍隊が駐留しています。ルーヌは地下の国の中ではそれほど多い人口を持つ町ではありません。ハデス国は地下の国で最強です。ハデス国の脅威はその軍団です。目下のところハデス国駐留軍には二人の司令官がいて、互いに仲が悪く、市政でも対立しているようです。名はガイアス(Geias)とナハシュ(Nahasch)と言います。今、もっとも重大なことは、私たちの同志がハデス国によって処刑されようとしていることです。処刑は公開されるようです。どうやら私たちレジスタンスをおびき出すために公開処刑という方法を思いついたようですね」

重苦しい空気が周囲に起こった。

「ところで、ハデス国はどうしてルーヌを占領したんだ?」

「ハデス国は地下の世界すべてを征服し、いずれ地上の国々をも支配下に置こうと考えています。つまり、ルーヌが占領されたのは地上への前線基地にするためでしょう」

「セリオン、これはひとごとじゃないわ。ハデス国を止めなかったら、ハデス国はやがて地上にやってくるわ」

「ああ、そうだな。俺たちもレジスタンスに協力させてくれないか? ハデス国のことは他人事じゃないからな」

「あなたたがたの力を借りられるのなら百人力ですわ。こちらこそお願いいたします」




ハデス国の司令部では……ガイアスとナハシュが同じ部屋で話をしていた。

ガイアスはあごひげを蓄えていて、赤い衣を着ていた。ナハシュは深緑のローブを全身にまとい、木の杖を持っていた。この二人は仲が悪く、施政でも意見が割れていた。

「ナハシュか……何をしに来た?」

「ガイアス、例のレジスタンスどもの処刑は日取りを早めたほうが良いのではないか?」

「なぜだ? 処刑は一週間後ともう決めた。おまえは私の権限に干渉するのか?」

ガイアスが不快感をあらわにした。

「むしろ早めることによって、レジスタンスどもを焦らせることができよう。レジスタンスが同志を見捨てることができるとは思えんな」

「ふむ……」

ガイアスは考え込んだ。あながち悪い策であるとは思わなかった。

「ルーヌの町はただの足がかりにすぎぬ。いずれ我らがハデス国は地上に出ていく。地上を我らが影で覆うのだ。そのためには、我らに抵抗する分子どもをことごとく弾圧する必要があるのではないか?」

「ふむ……いいだろう。おまえの権限と責任でやってみるがいい。しかし、失敗し、失態を犯しても、私は知らぬぞ?」

「もとよりそのつもりだ。すべて我に任せよ。クックック! レジスタンスどもが恐怖を浮かべる顔が今から楽しみだわ」




セリオンとルミヌーが話していたところに、一人のメンバーが現れた。

「大変です!」

「? どうかしたのですか?」

ルミヌーは落ち着いていた。

「処刑の日取りが早まりました! 三日後です!」

「なんですって!?」

「これは確かな情報です!」

「ルミヌー、詳しい話をしてくれ。俺がメンバーたちを助けてくる。俺に任せてもらえないか?」

「…………」

ルミヌーはセリオンを見た。セリオンの瞳には確かな意思があった。

「わかりました。同志の救出はセリオンさんに任せましょう。私たちは計画通りに」




「地下の世界は広大だな。太陽も月もないが……」

バハムートは地下の世界を飛翔した。セリオンはその背に乗っていた。セリオンは森にたどり着くと、バハムートを送還した。セリオンは森の中からルーヌの全景を見た。

ハデス国の司令部はホテル・ドゥンケルハイト (Hotel Dunkelheit)にあった。

「あそこが敵の司令部か。高い建物だからわかりやすいな。そして、処刑場は黒の広場だったな。ハデス国の兵士たちがたくさんいるが……」

「フフフ……敵と戦う前に敵について分析する……いかにもおまえらしいやり方だな」

「!? おまえは、サタナエル!」

セリオンの背後からサタナエルが現れた。セリオンは大剣を抜いた。

「フッ、これは幻だ。おまえに見えているのは疲れからでも、幻覚からでもない。これは幻視ビジョンというものだ。そういえば、レミエルが得意なことも幻視だったな」

「……サタナエル。おまえはいったい何がしたいんだ?」

サタナエルは笑った。

「フフフ、私はおまえを導きたいのだ。ついてくるがいい、セリオン。私はドワーフの国に行く。それではセリオン、また会えることを心より楽しみにしているよ」

そう言い終えるとサタナエルの幻は消えた。




処刑が行われる日、処刑場となる黒の広場には多くのハデス国軍の兵士たちがいた。レジスタンスのメンバーたちはハチマキで目を覆われ、手を後ろで縛られていた。彼らは兵士たちによって連れていかれた。一方、処刑用の弓と矢を点検する兵士たちもいた。広場の四隅を兵士たちが囲んでいた。

「これより、ハデス国への反逆罪で、レジスタンスのメンバーを射殺する! スキュラ女王陛下万歳!」

弓兵たちが弓を引き絞った。レジスタンスのメンバーは十字架につながれ、的と化していた。指揮官が声を出そうとしたその時。

「そこまでだ!」

そこにバハムートとその肩に乗ったセリオンが現れた。バハムートは口から熱線をはき、弓兵たちを一気に壊滅させた。バハムートは広場に着地した。セリオンはその肩から跳び下りた。ハデス国の兵士たちはあっけにとられて声もなかった。

「やれ! バハムート!」

バハムートは二発目の熱線をはきだした。今度は密集していたハデス国の兵士たちを狙った。効果はばっちりだった。ハデス国の兵士たちはドラゴンを恐れて、逃亡を始めた。

「大丈夫か?」

セリオンはレジスタンスのメンバーの拘束を解いてやり、ひもを断ち切った。

「あんたは誰だ? どうして俺たちを助ける?」

「俺はレジスタンスのルミヌーに協力している。そこで俺が彼女に代わって助けにきたというわけだ」

「ありがとう。強力に感謝する」

「クックックック。余興がそがれたな」

「誰だ?」

「私は竜人族のナハシュ。スキュラ女王陛下に仕えている」

「スキュラ女王か……そんなにスキュラが好きなのか?」

「クフーフフフ! その通りよ。しかし、役立たずの兵士どもよ。まあ、よいわ。我一人さえいればすべて片付くのだからな」

「おまえ一人でどうやって戦うつもりだ?」

「クックックック! 言ったであろう? 我は竜人族だとな! 竜化だ!」

ナハシュを中心として赤い円柱が上に上がった。

ナハシュの体はしだいに巨大に膨れ上がり、赤い色をした大きな竜となった。

どうやら四つ足歩行するらしい。

ナハシュは咆哮ほうこうでセリオンを威圧してきた。

火竜ナハシュは炎の息をはいた。

セリオンは大剣を氷で覆い、氷結刃を出して、迎撃した。

ナハシュは火の球をいくつも作り出した。

ナハシュはそれらを次々と放った。

セリオンはそれらを氷の大剣で斬り捨てた。

ナハシュは巨大な火球を作り出した。

炎の球はセリオンめがけて撃ちだされた。

それをセリオンは氷結刃でバラバラに斬り刻む。

セリオンが反撃する。セリオンは蒼気を出した。

セリオンは蒼気を大剣にまとわせ、その蒼気をナハシュの頭に叩きつけた。

ナハシュは地面に倒れた。ナハシュは立ち上がる。ナハシュは怒りをあらわにした。

ナハシュの火炎波。迫りくる火炎の波をセリオンは蒼気の刃、蒼波刃で受けたった。

蒼波刃は火炎波を破り、ナハシュに直撃した。ナハシュが苦悶の声を上げる。

ナハシュは炎の息で薙ぎ払った。

セリオンの蒼気とナハシュの炎がぶつかる。

セリオンの蒼気がナハシュの炎を上回った。

セリオンは氷の星の輝きの剣「氷星剣」を出すと、きらめく氷の刃でナハシュの首を切断した。

ナハシュは倒れ、赤い粒子と化して消滅した。




セリオンがナハシュと戦っていたころ――

同時にレジスタンスの部隊がハデス国の司令部に攻撃をかけてきた。

ガイアス司令は混乱した。

レジスタンスはハデス国を退けるべく、ホテル・ドゥンケルハイトに一大攻勢をかけていた。

ガイアスは裏口からひそかに逃亡しようともくろんでいた。

「ええい、馬車の準備はまだできんのか!?」

「そこまでよ!」

「!? きさま、何者だ?」

「私はエスカローネ・シベルスカ。レジスタンスに協力している者よ」

「小娘が! 死にたくなければさっさと失せるがいい!」

「あなたを逃がすのは大きな失策だわ。見逃すわけにはいかないわ!」

「フン! 小娘ごときがわしに勝てると思っているのか? よかろう! 馬車の準備が整うまで、おまえの相手をしてやろう!」

ガイアス司令が両手を広げた。

金光矢きんこうや!」

エスカローネはハルバードの先から光の矢を射出した。

「フン! そんなもの!」

ガイアスはバリアを張った。

光の矢はバリアに止められた。

聖光球せいこうきゅう!」

エスカローネは再びハルバードの先から聖なる球を撃ちだした。

「くらえ! 火球!」

ガイアスは火球を出した。

二つはぶつかり合い、はじけ飛んだ。

火炎噴かえんふん!」

炎がエスカローネの足元から噴出した。エスカローネはステップでかわした。

「火炎槍!」

「金光連矢!」

エスカローネはガイアスが放った火炎の槍を、光の矢ですべて迎撃した。

「こしゃくな娘よ! これで死ぬがいい! 災炎さいえん!」

災炎は炎属性大魔法だ。灼熱の太陽が割れて、その炎がエスカローネに降りかかる。

「光矛!」

エスカローネは光をハルバード全体にまとわせると、災炎を斬り裂いた。

「炎爆!」

エスカローネは炎の爆発を光のハルバードでガードした。

「終わりだ! 爆炎砲!」

「金光砲!」

炎の波動と光の波動が激突する。

エスカローネは光を大量にハルバードの先端に収束した。

それからエスカローネは極大の極光をガイアスに向けて発射した。

「大金光砲!」

光の粒子の流れがガイアスを襲う。

「ぐおあああああああ!!??」

ガイアスの叫び声は極大の光に呑み込まれた。

「ふう……どうやら、生かしたまま捕縛できたようね」




司令部を落とされたハデス国の軍隊は、大慌てでルーヌから撤収していった。

もはや潰走かいそうと言ってよく、ハデス国軍はパニックに陥っていた。

セリオンとエスカローネはレジスタンスと合流した。

ルミヌーは感謝の言葉をかけた。

「お二人のおかげで、ルーヌをハデス国から解放することができました。ありがとうございます」

「ルミヌーさん。とらえた兵士や捕虜となったガイアス司令はどうするつもりですか?」

エスカローネが尋ねた。

「はい。同志もまだすべて解放されたわけではありません。とらわれた同志たちを助けるためにハデス国の兵士やガイアス司令を使うつもりです。あとは交渉してみないとわかりませんが……」

「そうか。うまく事が運ぶといいな。俺たちはこれからドワーフの国に向かうつもりだ」

「ドワーフの国……エスファハーン(Esfahaan)ですね?」

「知っているのか?」

「地下の国は狭いようで遠いんです。私も行ったことはありません。ただ、マグマが流れる炎の川というものがあるそうです。どうか、お気をつけて」

「いろいろとありがとう。さあ、エスカローネ、行こうか!」

「ええ、セリオン! ルミヌーさん、ありがとうございました。それでは」

セリオンとエスカローネはルーヌから去って、ドワーフの国を目指した。

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