【漫才】ずるい
兄:ツッコミ
弟:ボケ
二人「はい、どうもー!」
弟「突然ですけど、お兄ちゃんってずるいですよね」
兄「ほんまに突然やな!
なに? お兄ちゃん、なんもずるいことしてないで?」
弟「お兄ちゃんは気づいてないだけや。
たとえば、子供の頃の写真、お兄ちゃんのほうが多いんですよ」
兄「まぁ、どうしても一人目の子の写真のほうが多くなるって聞きますね」
弟「お兄ちゃんのアルバム365冊あるのに、僕のアルバム1冊だけやで!」
兄「うちの親、そんなに極端やったん!?」
弟「せやで! お兄ちゃんの写真は1日1冊分あるのに、僕の写真はアルバムの
3ページ目までしかないんやで!」
兄「いや、三日坊主の日記か!」
弟「あんな、しわくちゃな新生児の写真、誰の写真か分からへん!」
兄「いや、おまえの写真やろ!」
弟「あと、服ですね。お兄ちゃんはいつも新品ですけど、僕はおさがりなんですよ」
兄「でも、僕、かっこええデザインのやつ、選んでたやろ」
弟「うん、デザインはかっこよかったで。けど、オカンがウサギさんのアップリケで直してたやん」
兄「ああ、アップリケが恥ずかしかったんか。あれはオカンがお前を想って直してたんやで」
弟「ウサギさんやなくて、クマさんやったら喜んで着たのになぁ」
兄「いや、そこなん!?」
弟「それから、なにかと『お兄ちゃんに似てる』って言われるんですよ」
兄「え? それのどこがずるいん?」
弟「『お兄ちゃんに似てる』やで? 僕がお兄ちゃんに似てるんとちゃう。
お兄ちゃんが僕に似てるだけやのに! なんで基準がお兄ちゃんなん!?」
兄「いや、ただの屁理屈や!」
弟「な、お兄ちゃんがずるいって分かってもらえた?
お兄ちゃんばっかりずるいから、僕もお兄ちゃんになりたい!」
兄「無茶言いなや」
弟「いや、お兄ちゃんになる!」
兄「ほな、おまえ、キャッチボールしてて窓ガラス割ってもた時、弟をかばって、
一人だけで謝りに行けるか?」
弟「行けへんなぁ」
兄「遊び疲れた弟をおんぶして帰れるか?」
弟「重いのは勘弁して!」
兄「弟の苦手なグリーンピースを代わりに全部食べてやれるか?」
弟「無理や!」
兄「ショートケーキが1個しかない時、弟にイチゴをゆずれるか?」
弟「嫌やー!!
お兄ちゃん、やっぱり、僕、弟のままがええわ」
兄「せやろ」
弟「うん、『お兄ちゃんの弟』のままでな!」
兄「おまえのその笑顔には、ほんま、かなわんわ。
もうええわ」
二人「どうも、ありがとうございましたー!」
(終わり)