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Clear Bullet -クリアーバレット-  作者: しょうこう
【ノーブラッド編】
1/26

<ノーブラッド編>プロローグ

 完全な自己満足の小説です(笑)

 終わるまで結構時間がかかると思いますが、お気軽に呼んでいただけたらと思います。



―――――これが魔法だ!これが能力(ちから)だ!



 2015年、1月。

 ある一つの映像が、全世界を震撼させた。


 その映像に映っていたのは数人の黒ずくめ。

 そして腕を後ろで組まされ、膝をついて座る、日本人男性が二人。

 日本人男性たちの顔に生気はなく、その場は異様な雰囲気に包まれている。

 その中で黒ずくめの一人が、静かに口を開く。



「我々は、神から偉大なる力を頂いた。この力をもってして、この世界を変えることが、我々の定めである!」



 黒ずくめはそう言い放ち、自らの手に炎を灯した。

 そしてその炎は一瞬にして日本人男性二人を包み込み、瞬く間に灰になった。そして灰となった二人の日本人男性たちは、風の中に消えていった。

「我々はこの魔法とも呼べる能力(ちから)で、この世界を創り変える!」



 この一つの映像が世界を変えた。



 自国民を殺された日本はもちろん、世界中の国々が、この事件を非難した。

 と、同時に、手に炎を灯した原理についての研究が行われた。



 しかし、この問題はなかなか解決には至らなかった。



 第一の理由は、当時の世界の風潮として、軍事力、つまり武力というものを行使することへのためらいだ。たとえ、相手がどれだけ非人道的なことをしようとも、そう簡単に復讐はできない。やってはいけない、という流れがあった。世界は二度に及ぶ大戦から学んだことを忘れてはいない。武力に対して武力では全く意味がない。

 それに加え、相手がどこにいるかという情報も不足していた。

 手がかりとして、中東に潜伏していた宗教団体であったのは確かなのだが、拠点はわかっていなかった。何度か捜索班を派遣したが、その者たちが帰ってくることもなく、情報はつかめぬままだった。

 そしてもう一つの謎、手に炎を灯した原理について。

 何度も映像を見ても、全くタネがわからなかった。どういう方法で炎を灯したのか、皆目見当もつかなかった。

 それこそまさに魔法のよう。


 そしてこの問題は、何の手がかりも掴めぬまま、様々なしこりを残して消えていく、

                                       かのように思われた。


 ここでもう一つの動画が世界をさらに変えていく。


 事の発端はアメリカのとある街でのこと。

 それは、一人の少年が興味本位に始めたことだった。

 その少年は、今回の映像を見て、もし手に炎を灯したことが本当に魔法のようなものだとしたら、自分にもできるのではないか、とそう思ったのだ。

 普通であれば、そんなことできるはずがない。

 だが、その少年は炎を灯せてしまった。

 きっかけも方法もわからないが、魔法のようなことができてしまったのだ。

 そしてその動画が世界中に広まり、世界が変わっていく。

 もしかしたら、僕も、私も、できるのではないかと、世界中の老若男女が試した。

 そして結果は、―――――できてしまった。

 もちろん、全てが手に炎を灯すというものではない。

 ある人は、物を凍らせ、

 ある人は、風を起こし、

 ある人は、電気を操り、

 ある人は、物を浮かせ、

 またある人は、人を殺した。

 人が人を殺し、人が人を助け、目先の力にとらわれた人間たちは、善悪の判断ができなくなっていった。


 そして、渾沌が世界を覆っていく。




 2113年、日本。

 暗い夜道。

 一人の男が建物から出てきて傘をさす。

 そしてそのまま家路につく。

 数分歩いたところで、住宅街に出た。

 街灯の明かりが夜道を照らす。

 ふと、男の目の前に、人影が現れた。

 その人影は、傘をさしてはいなかったが、黒い服にフードをかぶっていて、顔は見えない。

 男はその人影を不審に思いつつも、その人影の横を、



―――――だな?



通り過ぎようとした。

 自分の名を呼ばれた男は、目を見開いて驚き、思わず振り返る。

 人影の手には、携帯型端末が握られており、煌々と画面が光っていた。

 そしてその画面には、自分の顔写真が映っていた。

 得体のしれない恐怖が彼の身体を覆う。

 早く帰りたいのだが、足は少しずつ後ずさりすることしかできない。

 しかし彼は、なんとか平常心を取り戻そうと、震える唇を動かす。

「誰だ?」

 それは最もな質問だった。

 だが人影はその質問に答えない。答える道理がない。

 人影は、何も言わずに端末をしまい、男の方を見る。

 そしておもむろに、右手を男の方へ突き出した。

 その右手は、親指を立て、人差し指と中指だけを伸ばし、ピストルをマネしたように開かれていた。

 そして、人影は左手で指を鳴らした。

 まるでピストルの引き金を引くかのように。

 男は、何が起こったかわからなかった。が、それを理解するまえに、考える前に、彼の視界が、思考が、黒く染まっていった。

 男の手から離れた傘が、ゆっくりと地面に落ちていく。

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― 新着の感想 ―
[良い点] なんかもう色々とすごいです(語彙力皆無でごめんなさい)。 [気になる点] デフォルトだと横書きで表示されるのですが、年号が漢数字だと若干見にくく感じました。 [一言] ツイッターRT企画か…
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