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いたずらをした秋

童話ジャンルの初執筆作品です。

短い文章で話をまとめる練習として書きました。

イベント期間前ですが、練習作品という事でフライングして投稿しました。

 ここは不思議な森。


 その森は春先に逆さまの虹がかかるのです。


 今年もその虹を目印に一羽のコマドリさんがやって来ました。


 ヒーンカララ♪  ヒーンカララ♪


 夏にコマドリさんは森のまん中にある緑の音楽堂できれいなうたを歌います。


 森のどうぶつたちはその歌が大好きで、コマドリさんが歌うとみんなが集まってきます。


 秋になるとコマドリさんはまた旅にでます。


 そのときにいつも森で拾った「虹色のタネ」をひとつ持っていくのです。


 しかし、旅立ちの日。用意していた「虹色のタネ」が見当たりません。


「どうしたの、コマドリさん?」

  やさしいキツネさんが声をかけます。


「もっていく予定だった虹色のタネが見当たらないんだ」

 困ったようにコマドリさんが言います。


「それは大変だ。みんなで探そう」

 いつもはいじわるなアライグマさんも心配そう。


「みんなで探してあげるから、コマドリさん最後にもういっかい歌ってよ」

 コマドリさんの歌が大好きなリスさんがコマドリさんにお願いします。


 しかしコマドリさんは首をよこに振ります。

「ごめんね。もう行かないと仲間においてかれちゃうんだ」

 寂しそうな顔でそう言うと、羽を広げます。

「もう行くね」

 そう言葉を残してコマドリさんは南の空に飛び立ちました。


 コマドリさんか旅立った後、森のどうぶつたちは寂しくなってため息をつきました。


「また寂しくなるね」

 気弱なクマさんがぽつりと呟きます。


「でも「虹色のタネ」はどこにいっちゃったんだろうね?」

 キツネさんが問いかけます。


 森のどうぶつたちは犯人に心当たりがありました。

 そういういたずらをするのはひとりしかいないのです。


 みんながリスさんを見ます。


「ごめんなさい」

 リスさんは謝ります。

 やはり犯人はいたずら好きなリスさんでした。


「ボクはもういっかいだけコマドリさんの歌が聴きたかっただけなんだ。いじわるするつもりじゃなかったんだ」

 リスさんはほっぺたのふくろから「虹色のタネ」を出して想いをつげます。


「ひどい事をしてしまったね。キミは悪い子だ! もしかしたら来年はコマドリさんが来てくれないかもしれないかもしれないね」

 強い口調でアライグマさんが叱ります。


 その言葉にリスさんはとりかえしのつかないことをしてしまったと気づきます。


「もうコマドリさんの歌声が聴けなくなるってなったら寂しいわ」

 タイミング悪く、キツネさんがつぶやきました。

 その言葉は悪気があったわけではなかったのですが、リスさんの心に深く刺さりました。


 不安で不安でいてもたってもいられなくなったリスさんは

「みんな、ごめんね!」

 と、もう一度謝ると、森のどうぶつたちに背を向けて森の奥へ駆けていってしまいました。


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