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転生とか勘弁してくれ

「あの女ー!!」


そんな声を上げながら俺は起き上がった。


あいつ俺を殴りやがって!!今更、怒りが湧いてくる。今度あったら絶対殴る。女を殴るのはポリシーに反するが、あいつも殴ってきたんだから同じだろう。


てか俺生きてたんだな。あんなけ殴られて、生きてるとか俺結構丈夫だったんだ。しかもどこも痛くねー。


そんなことを考えている時にふと気が付いた。なんで目を開けてるのに視界が暗いんだ?


「お嬢様!!目を覚まされたのですね!!よかったー。突然叫ばれてどうされたのですか?」


どこからか声が聞こえた。


徐々にハッキリしていく思考により、視界が暗いのは長すぎる前髪のせいだと分かった。俺こんなに髪長かったっけ?


もしかして殴られてから、かなりの時間がたっていて、そのあいだに伸びたとか?それにしては長すぎるだろ。


とりあえずじゃまな前髪をかきあげる。急に視界が明るくなり、一瞬目が眩んだ。そして周りの景色が見えてきた。


「えっ?何この部屋?」


俺がいる部屋はとてもひろい。そして俺が寝ているの、なぜか天蓋付きのベッドだった。親はこんなに豪華な病室に俺を入院させたのか?そんなお金があったのか?


「お嬢様?大丈夫ですか?」


驚いて固まっている俺の顔を、お嬢様と呼んだやつが覗き込んできた。そいつは今までに見たことがないくらい、美人だった。


茶色の髪に茶色の目、はっきりとした目鼻立ち。こんな美人の看護師についてもらえるなんて、俺なかなり運がいい。


でも不思議なことがある。なぜかそいつはメイド服を着ていた。俺はメイド服が好きだと親に思われているのだろうか?


それは不本意すぎる。確かにメイド服は嫌いじゃないが、わざわざ看護師に着て欲しいほどではない。そもそもナース服も好きだし。って今はそんなことどうでも良くて


「なんで俺のことお嬢様って呼ぶんだよ?」


あれ?俺こんなに声高かったっけ?さっきは気が付かなかったが、こんな声ではなかった気がする。


「俺?お嬢様、本当にどうされたのですか?」


「だからなんで、・・・まさか」


なんか嫌な予感がする。俺はそっと胸に手を持っていく。そこには前はなかったはずの、柔らかな膨らみがあった。これはまさかまさか、あれだよな?てかあれしか考えられない。


「俺、むむむ胸がある!!!!」


どういうことだ!?俺は女になってしまったのか!?


「お嬢様、何当たり前のことをおっしゃっているのですか」


「当たり前?おい!!俺は誰なんだ!?」


「はい?」


あまりに混乱しすぎて、メイド服の女に詰め寄る。そしてその女も混乱している。


これは夢?そう思いあまりにベタな行動だが、俺は自分の頬をつねった。かなり痛い。


もしかしてあの時俺は死んじまって、女に生まれ変わったのか?つまり転生ってやつ?


でも転生ってふつう生まれた時からなのかと思っていた。前の記憶があるものではないんだな。今の俺の状況はまるで、この体の持ち主の人と、入れ替わったみたいだった。


「おい、俺は誰なんだ?」


「お嬢様、頭を打たれて、少し記憶が曖昧になっておいるのですか?」


「まて、こいつも頭打ったのか?」


「こいつ?」


ああー、この女にとってこいつとは俺のことか。


「えーっと俺、頭打ったのか?」


「俺?」


「俺じゃなくて私!!」


くっそーめんどくせぇ。あんまりおかしいと思われないようにしなきゃな。もし戻った時に、この体の持ち主に迷惑かけないようにしないと。


俺の体の中には、この体の持ち主が入っているんだよな。たぶん。俺が死んでいなきゃ。ならあまり変なことはしていないといいな。見たところこいつすげーお嬢様だし、多分世間知らずだよな。


「あのー、お嬢様?お嬢様は確かに頭を打たれました。」


「なんで?」


「中庭を歩いている時に、滑って頭を打たれました。」


えっ?ダサ。そんなに運動神経ないのこいつ。


ってことは同じように頭を打ったから、俺らは入れ替わったのか?それとも転生?


「俺、・・・じゃなくて、私の名前は?」


ちょっとおかしい質問だが、こいつの名前がわからないとどうにもならないからな。


「本当に混乱していらっしゃるのですね。お嬢様のお名前はカレン様です。カレン・アンダーテ、アンダーテ家の四女です。」


アンダーテ?ここはもしかして外国?ならどうして日本語が通じるんだ?


「なんていう国なんだここは?」


「お嬢様本当に大丈夫ですか!?自分の暮らしている国まで忘れてしまうなんて。ここはストレイン公国です。本当に忘れてしまわれたのですか?1度お医者様に見てもらった方がいいですね。お待ちください。呼んできます。」


「ああーーー!!俺、・・・じゃなくて、私は大丈夫!!正常、正常!!」


医者を呼んでこられたらたまらない。すぐに頭がおかしいと思われる。それだけは阻止しなければ。


高ぶった気持ちを抑えながら、俺はストレイン公国という国について考える。

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