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男装ホストの異世界旅行記  作者: エルモ
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8話 俺のスキルがヤバい

 "スキル"についてはまぁまぁ把握出来ただろう。問題は"特殊スキル"ってのだ。名前から既にヤバそうな雰囲気を感じるが、自分の事も知らないようじゃこの先やっていける筈がない。よってスキルの確認をさせられる。


 特殊スキルその1、"蠱惑"。これは"魅了"と呼ばれるスキルの上をいくもので、どうやら俺はこのスキルを使うと老若男女問わず誰でも虜にし、自分の思うがままに操ることが出来るらしい。

 魅了も内容は蠱惑と変わらないが、蠱惑の方がスキルの格として上だから、俺に魅了は効かないと書かれている。変な奴にそのスキルでちょっかい出されても問題無いってことか。便利っちゃ便利だな。

 更に蠱惑は、魅力的に魅せる段階と対象を選べるらしい。つまり、俺じゃない誰かにレベルの低い蠱惑のスキルを使うと、そいつは周りの人間に魅力的に見えて注目を浴びるってことだ。酷くすると、俺がMaxの蠱惑をそいつに掛ければそいつは性的対象として捉えられて襲われるって話。

 …使う機会が無いことを祈るしかない。


 特殊スキルその2、"叡智の扉"。これは俺が欲しいと思う情報や知識を得ることが出来るスキル。簡単に言ってるが、これ中々ヤバいスキルだぞ。

 まず"情報"の範囲に規定がない。規定がないということは、この世界にある全ての情報を俺は簡単に得ることが出来るということになる。全知全能の神も真っ青な代物だ。

 "知識"についても結構特殊で、どうやらこれは俺の世界の知識を得ることも可能のようだ。インターネット頼みの現代人な俺には有難いが…、"この知識を悪用しようとする奴も確実に現れるだろうから取り扱いには注意が必要"なんて書かれたらおちおち使えねぇよ。


 結論、特殊スキルは真面目に特殊すぎるので口外は絶対しない。


 ずっとスマホ画面を睨んだお蔭で目が疲れた俺はベッドに横たわって天井を見上げる。ガーティが尻尾で俺の顔を撫でるので、お礼にガーティの耳の裏を掻く。まったりとした時間が流れる中、俺は夕飯がまだだったことを思い出した。



「飯作るか…」

「ミャーォ」

「ガーティにも良いヤツ作るからな」

「ミャー」



 嬉しそうな鳴き声を上げるガーティをベッドに寝かせた俺は買ってきた野菜と肉を取り出した。マルガの説明だけじゃ不安があるので、早速スキルを使うことにした。



「"鑑定"」



 やり方については説明がなかったので適当にスキルの名前を言ってみた。すると食材の上にスマホの画面と同じ表示が空中で立体映像のように出てきた。黒地に白文字と西洋風のゲームを匂わせる画面に呆れつつ、食材の説明を読む。

 どうやら俺の勘は当たっていて、ポモドーロはトマト、バタータはジャガイモだった。他に買ったものがカロータ(ニンジン)、チポッラ(玉ねぎ)、カプースタ(キャベツ)と定番の野菜で割と助かる。これで馴染みの少ない食材なんかが当たっても困るからな。


 肉は安かった豚肉を買った。どうやらペルセニアじゃ家畜はまだそこまで進歩していないようで、味はあまり期待しない方が良いと書かれている。日本の食材と比べたらこの世界の食材何でもアウトな気がするけど。



「簡単に野菜炒めでも作るか。塩と胡椒一応買ったし」



 調味料を買う時が一番面倒くさかった。このヴァーギンス帝国、どうやら俺の予想を上回る段階まできている。と言うのも、調味料を扱っていた店主の話だと、ここ最近街の商人が減ってきているらしく、調味料は勿論だが今まで仕入れてきた物が手に入り辛くなっているんだと。

 幸いこの街の近くには他に大きな街がいくつかあるので、そことの物流で今まで通りの生活が出来ているようだ。だが店主も焦りを感じており、なんとか仕入先を確保しようと裏で躍起になっていると話していた。

 いくら王のお膝元とは言え、皺寄せは国民にじわじわと来ているのが分かる。これはあの高校生達が使い物になる前に、国が崩れるのが先かもしれないな。


 国の行く末なんてモンを考えている内に、俺は野菜炒めを完成させていた。塩と胡椒のみの味付けなのが残念だが、仕事が終わったのが深夜で今は夕方と、時差ボケが起きてもおかしくない状況だ。今日の夕飯は少し手を抜いても仕方がない。

 ガーティには魚屋で買ったトゥニェーツ(マグロ)の刺身と茹でたカロータとカプースタを和えたものをあげた。前の世界じゃ月に1回は食わせてたから、そこまで抵抗もなく食べてくれた。


 俺も野菜炒めと買ってきたパンで夕飯を済ます。パンがやたら硬かったのは仕方がないと割り切るしかない。



「明日はもうちょいマシな飯作るか…」

「ミャー」

「ガーティの飯もレパートリー増やさねぇとな…」



 ガーティの喉を撫でて寛いでいると、部屋の外から誰かにノックされた。聞こえたのは若々しくも芯の通った声だった。

 初めて聞く声だったが、相手がこの宿の店主だと判断して鍵を開けた。そこには声よりも幾分男前な顔をした茶髪の男が居た。



「家内から話は聞きました。娘が大変お世話になったとのことで…」

「あぁ、それは別に良いんだ。宿を経営しているアンタに、少し聞きたい事があってな」



 キョトンとした顔を見せる店主に、俺は食堂で話したいと提案した。

 部屋に置いて行こうと思ってたガーティに肩に飛び乗られて首を痛めたのはここだけの話だ。

ガーティにはマグロの刺身とニンジン・キャベツを茹でたものを和えた猫用の料理です。

分かりにくい文章で申し訳ありませんでした…。

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