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男装ホストの異世界旅行記  作者: エルモ
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7話 スキルとか分からねぇよ

 スマホの画面に表示されている文字に俺は驚きを隠せずにいる。この世界に電波なんてモンが存在する筈もないのは当然、なのにこの携帯は何らかの情報を得てそれを表示している。

 一体何が起こっているのか、そもそも"ペルセニア"とか初めて聞く単語なんだが。


 暫く画面を凝視して悶々としていると、ガーティが横から表示されている通知を前足でタッチする。すると通知の内容が事細かに記されたページが出てきた。ここまでくると"もう何でもいい"って思っちまうわ…。

 表示された内容は以下の通り。



【『異世界・ペルセニア』

  地球とは異なる次元に存在する世界。ペルセニアでは魔法の元となる魔力が存在し、生命体の中には魔力を利用して生きるものもいる。人種は大きく人間、亜人、精霊、魔人の4つに分類され、その他にも数多くの種族が存在する。ペルセニアはイガル、ウィシュト、ユノの3つの大陸と1つの海で形成されている】


「……へぇ、としか言えねぇよ」


【『異世界人』の称号

  ペルセニアとは異なる世界から来た者に与えられる称号。異世界の知識や経験を基にしたスキルが与えられる。尚、現在ペルセニアでこの称号を与えられているのは5人のみ】



 "5人のみ"って…、それ俺とあの高校生達だけじゃねぇか。

 しかし"異世界の知識や経験を基にしたスキル"って一体何なんだ?俺そんな大した技術は持ってねぇと思うんだが。

 他の字と色が違う"スキル"の単語をタップすると別の画面が表示された。そこには俺ですら知らない個人情報がわんさか載っていた。





【 名前:イサギ・ミエニシ

  年齢:26

  称号:『異世界人』

  職業:***

  体力:150

  魔力:300

  攻撃力:110

  防御力:125

  瞬発力:108

  運:∞


  スキル:用心棒 料理人 酒豪 従魔 鑑定 収納

  特殊スキル:蠱惑 叡智の扉 】





 よく分からねぇので、プロフィールか何かかと思う事にした俺は数字は無視して下の欄に注目する。

 "スキル"の欄に色々とあるので1つずつ確認する。



 まず"用心棒"。これは戦闘系のスキルらしく、これがあると自分が守ろうと思う人物を自動的に喧嘩の範囲から遠ざけて攻撃から守るらしい。その代わり俺が攻撃対象として認識されるけどな。

 別にいいけど。俺逃げるより殴る方が楽で好きだし。

 どうやらホストになってすぐの頃、雅樹さんの店から客奪った連中に喧嘩売られてボコボコにやり返した経験によるスキルだそうだ。


 次が"料理人"。これは生産系?のスキルで、俺が選ぶ食材は全部新鮮で味が良い物に自動的になる。選ぶ時点で俺の身体が勝手に選んでくれているだけでも便利なのに、なんとこのスキル、レベルが上がると特殊な調理技術を得ることが出来るらしい。フグとか捌けるようになれたら結構嬉しいな。

 これは子供の頃から家事をしていて、料理に凝った結果のスキルのようだ。家事が壊滅的な親父に対する防衛策は異世界でも役立ってくれる。


 続いて"酒豪"。これはそのままの意味だけでなく、あらゆる状態異常…?ってのを無効化するらしい。いまいちピンとこねぇが、ぶっちゃけた話じゃ病気にならねぇんだと。凄ぇなおい…。勿論酒にも強く、ドワーフってのを軽く超える大酒呑みになれる。…というか既になってるっぽい。説明文が事後報告になってるから恐らく現在進行形でなってるんだろう。

 このスキルは考えるまでもなく仕事が影響している。親父も強いが俺はザルを超えたワクなので正直自分の限界値を知らない。病院に何度か健診を受けに行ったが異常は特になかったから、俺の肝臓の頑丈さは半端じゃないと自覚している。

 これを更に強くされても結局限界値が分からないのには変わらないので特に気にしないことに決めた。


 次は"従魔"。これは愛猫のガーティが関係したスキルで、俺はどうやら動物や魔獣なんかを従わせる能力を得ているらしい。はっきり言えないのは俺自身がガーティを従わせていると認識していないからだ。

 ガーティは俺がホストを初めてから4年経った頃にゴミ捨て場に捨てられていた猫だった。それも生まれて数日の目も開いていない状態の子猫で、俺が拾わなければ確実に死んでいた。そんなガーティとは飼い主とペット以上の関係だと思っている俺としては、こいつに命令して攻撃させようなんて発想が浮かばないのだ。

 説明によれば、俺は魔獣や動物に好かれやすくなるらしく、俺と相手が同意した時、その動物と契約出来るという。正直よく分からねぇから、これは追々考えるとする。


 その次は"鑑定"。これはあらゆる物を対象として捉え、鑑定するスキル。その対象は人から小石まで何でもござれと中々ヤバい能力だ。しかもこれ、レベルが上がれば上がるほど見える情報が増えるとまで書いてある。情報漏えいとかの次元の話じゃないぞ。

 どうやらこれは『異世界人』の称号を持つ奴に与えられるスキルで、この世界じゃ持ってる奴は国が保護するレベルの超貴重な存在だとか。口外するのは駄目だ、絶対。


 最後に"収納"。このスキルは割とポピュラーなものらしく、この世界じゃ持っていない奴の方が少ないと書かれている。ただ、俺の収納スキルのレベルは異常で、表示には『内容量:∞』になってる。

 何だよ"∞"って。さっきのプロフィールでもチラッと見たけどおかしいだろ、どう考えても。

 これも何か原因があるのかと思ったが特に分からず、結局称号のお蔭ってことにしておいた。




 ざっと見たけど…俺のスキルえぐいな。

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