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男装ホストの異世界旅行記  作者: エルモ
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46話 唐突な再会

長い間更新を疎かにしてしまい、大変申し訳ありませんでした。

話の軌道について色々考えていたのですが、中々決まらず時間ばかりを使ってしまいました。


それでも読んで下さる方々には本当に感謝しております。

不甲斐無い作者ではありますが、これからもどうぞ宜しくお願い致します。

 まだ生まれて間もないアリヴィンには温めた牛乳を小皿に注いで飲ませた。飲みにくいかと思ったが、ガーティとザーフィァが隣りで手本を見せることで飲み方を学習した。

 賢過ぎる。



『けぷっ』

「もういいか?」

『ん~…ぽんぽん、いっぱい』

『ふふ、ごちそうさまね?』

『ごちそーさま!』

『偉いぞ、アリヴィン』

『えへへ…』



 ガーティもザーフィァも幼いアリヴィンの面倒を率先して見てくれるから非情に助かる。子守りって凄ぇ気を張るって行きつけのバーの女将さんが言ってたから覚悟していたが、これなら問題ないな。


 食事も済ませたアリヴィンは心地良い満足感による眠気でコクコクと船を漕ぎ始める。満腹になると眠いよな、分かるぞ。

 時間はまだ早かったが、子供は長時間寝るモンだと思った俺は洞窟に毛皮の布団を準備した。



「アリヴィン、寝るならここで寝な」

『ん~…ママぁ……』



 殆ど閉じた状態の目を羽で擦りながら歩くアリヴィンを抱き上げ、頭から背中にかけて軽く撫でる。



「ここに居る。だから大丈夫だ、な?」

『ママ……』



 毛皮で出来た布団に寝かせれば、すぐに夢の世界へ旅立ったアリヴィン。それを見ている内に俺も眠たくなってきた…。何で人が寝てるのを見ると眠くなるんだろうか……。



「駄目だ、俺も眠くなってきたから寝る…」

『多分慣れない魔法を多く使ったから気疲れしたのよ。ゆっくり休むと良いわ』

『俺が見張りをしよう。何かあれば起こすからゆっくりしてくれ』

「あ゛ー、頼む…」

『おやすみ、イサギ』

「ん……」



 アリヴィンの隣りに寝転がる俺の頬をガーティの長い尻尾が優しく撫でる。擽ったいが、温かく優しい感触に微睡みがじわじわと浸食を加速させる。

 気付けば俺は、深い眠りに落ちていた。











 どれぐらい眠ったか分からないが、俺は自然と意識を浮上させ、瞼をゆっくり開けることが出来た。普段重たく思えた瞼がこうもアッサリ上げられるのかと軽く感動していると、洞窟の外で何やらガーティとザーフィァが話している声が聞こえた。

 何かあったか?



『んぅ……ママ……』

「良い子だから、寝てな」

『…スピィ……』



 再度アリヴィンを寝かしつけてから洞窟の外に出れば、外はすっかり冷えて暗くなっている。森の中は空気が冷えるな…。

 外にはガーティと、川の傍で何かしているザーフィァが居た。

 そのザーフィァの口は、見覚えのある金髪の男の襟首を咥えていた。


 それがあの第二王子、バルトロメウスだと気付いたのはコンマ数秒の事だった。



「ッ、王子…!?」



 咄嗟に口から出た声は自分が思っていた以上に震えていて、今の俺の顔はきっと蒼褪めていることだろう。

 王子は城で会った時とは違い、完全に武装していた。だが、その高価な鎧もヒビが入っているし、腰には本来剣を収めている筈の鞘しかない。戦いの途中か、若しくは終わった後に川に流されたんだろう。

 とてもまともな会話が出来る状態とは言えなかった。



『イサギ!丁度良かったわ、この人を中に運ぶけどいいかしら?』

『怪我をしているようだ、血の量が凄い』

「分かった、運んでくれ」



 ガーティの魔法で浮かんだ王子は青白い顔で浅い息を繰り返している。見れば脇腹部分の服が赤黒く滲んでいて傷の深さを物語っている。

 寝ていたアリヴィンを端に寄せ、王子を寝かせて傷口を見る。裂傷だが臓器まではギリギリ傷付いていない。恐らく川で流されている間、血を流し過ぎたんだ。



「"治癒(ヒール)"」



 いつもと同じように、患部に手を当てて魔力を注げば傷口はみるみる塞がれていく。痛みが引いてきたのか王子の顔から苦痛の色は消えたが、まだ息が荒い。

 患部を触って分かったが、身体が氷のように冷たい。かなりの距離を流されていたのか。

 一先ず服や髪は乾燥(ドライ)で乾かすが、肝心の身体をどうするか…。



「湯たんぽとかがあれば良いんだけどな…」

『この世界じゃ難しそうね。それに彼、今魔力が枯渇状態だから中々危険よ』

「…おい待て、説明詳しく」



 何やら不穏な発言を聞かされた俺はガーティを持ち上げて目線を合わせる。持ち上げられたガーティはダランと身体を伸ばしながら説明してくれた。



『魔力は生命と密接な関係を持つ力、それを使い過ぎると生命維持が難しくなるのよ。だから傷は癒せたけど内側の治療はまだ終わっていないわ』

「嘘だろ…!?」

『落ち着いて頂戴。助ける方法はちゃんとあるから』



 そう言って俺の手から離れたガーティは真剣な表情で語りだす。



『枯渇していると言うなら、それを補えば良いだけの話よ』

「簡単に言ってくれるな…」

『実際簡単よ、イサギの場合は』

「俺?」

『イサギの魔力があれば十分よ。寝たから回復したでしょ?』

「あぁ…多分。じゃあ俺が魔力を与えれば問題解決?」

『そうね。イサギの魔力はこの世界のとは少し質が違うから問題無いわ』



 …ん?"質が違うから問題無い"ってどういう意味だ?



『悪い意味じゃないわ、寧ろ凄い事なのよ。イサギの魔力はこの世界の人に万人受けする魔力なの。だからイサギが攻撃をすれば全てクリティカルヒットを決めるし、病気や怪我は何でも治せるわ』

「何だそのチートっぷり」

『そうね、チート過ぎるわ。だからあの城に残らなかったのは正解だと思うの』

「あぁ…、考えただけで萎えてくる……」



 今だから分かる俺の特殊な性質が()()国王にバレなくて本当に良かった…。こんな便利なのを放っておく訳がねぇ。喧嘩売っちまったし、戻れば碌な待遇されねぇんだろうな。


 本当、俺って結構恵まれてるよな。

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