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どうも! Genshoです。さぁ、新作を描いてみました。初めてVRMMOというジャンルに手を出したのですが、果たして結果に繋がるか......
「いよっしゃぁぁぁぁぁ!!!!」
俺──真田樹は、22歳の高卒ニートだが、今俺は某新製品の安い電気店の前で年甲斐もなくはしゃいでいた。
その理由こそが俺が手に持っているA4サイズのプラスチックの箱にある。
そう、GAMEだ。しかも最新のネトゲ。
今日は俺が前々から購入を考えていたVRMMO RPG、『トレジャーワールドオンライン』、略して『TWO』の発売日だったのである。
このゲームはネーミングこそあれだが、そのシナリオ、内容ともに今世紀最高傑作との呼び声も高く、その予約応募プレイヤーは製品本数の十倍にも当たる10万人である。
その内容は、VR世界のマップにおいて世界中を周り、度々出てくるモンスターと戦い、様々な宝を見つけ、金に変えるという日常要素もたくさんあるゲームだ。
なお、このゲームでは、世界で初めて今までのVRでは不可能とされていた、人間の三大欲求。
・食欲
・性欲
・睡眠欲
の三つが完璧に再現できるようになったらしい。
まぁ、2番目のは必要ないと思うんだけど......ゲームだし。
話は変わる。このゲームの発売前に行われるβ(ベータ)テストには約1万人ものユーザーが応募したらしいが、運営側、GMがなぜか理由も公表せずテストを行わなかったらしい。
βテストとは、そのゲームの無料体験版のようなもので、一般のゲーマーを募集して、ゲームの改善点を見つけ出す、いわゆるデバックのようなものだ。
一説にはVR機器との通信において問題が発生しただの、ネタバレを恐れただの中傷的な理由が取り上げられているが、物好きの深読みだろうということでネットの炎上は消し止められた。
しかし、消えた火に油をそそぐが如く、「このゲームを予約したのに運営から拒否られた」というよくわからん口コミが相次いであったせいか知らぬが、VRを主にしていた今までのコアなゲーマーたちはどんどん離れていった。
しかし、前述したような人たちに何が起こったのかは知らないが、俺はなんの問題もなく、予約もできたし、それに当選し、今その現物を持っている。
ツイッターを確認しても、俺と同じように、なんの問題もなく予約できた人もいれば、やはりなんらかの力が加わり、予約を拒否され、運営をdisってる人も多数いた。
まぁ俺には関係ないけどね〜!!!
はっはっは!!! いや〜今まで生きていてこれほど嬉しかったのはこれが初めてかもしれない。帰ったら鏡を見てみよう。きっと見たこともないゲス顔のはずだ。
しかし、今日無事発売日当日購入はできたものの、運営の公式HPには、公式サービスは明日からと書いてあった。ログインが不可能というわけではないが、今日はログインしても誰もいない、ただのマップを彷徨うことになる。
まぁ、下見ついでにログインしてみますか、とばかりに俺は足早に家に帰った。
<><><>
そして、帰宅した俺は、すぐさまVR専用機器と自作愛用デスクトップPCを起動し、『トレジャーワールドオンライン』のDLを始めた。
「ふふ〜ん♪ ふんふふ〜ん〜♪」
俺は鼻歌を歌いながら、デスクトップでダウンロードを待ち、ノーパソでエロサイトを覗いていた。
そのまま体制が前かがみになろうとしていたが、ダウンロード開始から一分ほどした時、デスクトップから「ピコン」と軽快な音が聞こえてきた。
「お、もう終わったのか、早いな」
そして俺は、慣れた手つきでユーザー登録に取り掛かる。
ゲームスタートの画面から、メールアドレス、生年月日など、諸々必要事項を記入する。
すると、『必読』の二文字とゲーム利用注意的な文章とともに、さっきのメアドにメールが送られてくる。それを、ついさっきエロサイト見てたノーパソで確認し、指定のURLに飛ぶ。
そのサイトで、VR機器との接続を開始。俺が持っているのは某サニー社が作った一般的なVRダイブ機器である。お値段約2マン円ほど。
そして、接続が終わると俺は、すぐさまVR機器を装着し、目の前に映し出されるポリゴンの集合体を眺めながらVR機器へのゲームダウンロードを待つばかりだった。
<><><>
「ん......寝てた?」
どうやら俺はダウンロード待ちの間に寝落ちしてしまったらしい。だが一点おかしいところがある。周りにはポテチの空袋やその他諸々ゴミが散らかっていたはずの俺の部屋がない。あたり一面森? のようなところだ。
まぁ、落ち着いて考えよう。これは深く考えずとも楽勝な推理だ。
恐らくだがこれは高い確率でゲームの中の世界だろう。その証拠に、俺の視界の右端には<STATUS>なるものが存在している。ダウンロードして、その後自動ログインに成功し、起きた俺が今ここにいる。
......と、そういうことで間違い無いだろう。ログインは結果的にできたのだが、今この現状をどうするべきなのか見当がつかん。
今考えられる選択肢としては、
1.ゲーム内を探索する。
2.俺と同じようにログインしてしまったユーザー、ゲーマーを探す。
3.データをセーブし、ログアウトする。
とまぁ、こんな感じか?
「どうすっぺな〜」
とりあえず......なんだ? 言葉が当てはまらねぇ......
柔よく剛を制す? ......多分違うと思うけど。
「......行くか」
頭の中でゴタゴタはあったものの、結果として俺が選択したのは1だ。今ある程度この中がわかってれば明日以降にも役立つし、何より、もしかすると今日にもゲーム的な何かができるかもしれない。
......と、期待してのことだ。ま、現実はそう甘くはないが。
その期待はわずか数分で打ち砕かれる。俺が思い立って動き始めて約2分ほどで日が沈み始めた。
さらに俺が接続した地点がジャングルみたいな森の中だったため、月の光さえも入ってこない。
......一瞬で死を意識しなければならない状態になった。
しかし、この世界には「睡眠欲」が存在する。
俺ももう少しすれば寝れるだろうと考えてやめた。俺は起きてからすぐこの状況にあるんだ。......とすれば、少なくともあと十八時間ほどは眠くならないということだ。
良いことなのか、悪いことなのか。
「あぁぁぁ......」
もう何もお考えられない。俺は身を投げ出しそばにあった大きな岩に寄りかかった。
「何かできねぇかなぁ〜」
......と、呟いたその時俺の目にあるものが映った。
いや、正しくは視界に入った。といったほうがいいか。そう、ステータスウィンドウだ。一発逆転の望みをかけて、その窓を開く。
そこに書き出されていたのは、意味のわからないほど長い長い文字数字の羅列だった。
[名前]:ペルケヘル
[Lv.]:Lv.1
[性別]:男
[職業]:生還者
[職業ランク]:99999
[基本能力]:HP 99999/99999
:MP0/0
:AP700/19209
:DP99999/99999
[スキル]:生存Lv.99999
:サバイバルLv.37
:狩りLv.1
:釣りLv.1
:農耕Lv.1
:ハーレムLv.900
:自動回復Lv.5
:睡眠欲↑Lv.2
:性欲↑Lv.1000
:死Lv.99999
「......は?」
待て、なんだ<死>って。オワコンじゃん。
「......はァァァァァ!?」
......ナンジャコリャ。
今日無事に昨日買えなかったDxD DX4巻を購入しました!
まじ最高っす!