タリュケア・ユスタヴァ
とある年のクリスマスの日、少年のトイボは朝の6時に目を開けました。冬の朝はとても寒く、真っ暗ですがトイボは慌ただしく起き上がると、部屋の明かりを点けました。辺りを見回しますが、普段通りの部屋に小さく肩を落としました。
すると、コンコンと小さいノックの音がしました。トイボは不思議そうにドアを見つめ、恐る恐る開けてみました。
「はじめまして!僕はルミウッコです!君の友達になりにきました」
礼儀正しく頭を下げるソレに、トイボは目をパチクリさせました。しばらくすると、トイボは自分の部屋へ招き入れました。
「ル、ルミウッコ…さん?君は、雪だるま…ですよね?」
「!ここの国ではそういうのですか!ユキ…ダンマ??」
ベットの上に向き合う形で座ったトイボと雪だるま。ルミウッコとは、違う国でいうところの『雪だるま』らしい。
「ゆきだるま!」
「ユキダンマ!」
「…もういいよ、ユキダンマで!君の名前は?」
何度教えても、ユキダンマから治らないためトイボは諦めて名前を聞きました。すると雪だるまは首を傾けました。
「名前…ユキダンマと違う?」
雪だるまは雪だるま、名前はないようです。それでは呼びづらいと思い、トイボは雪だるまに『ユキ』と名づけました。ユキは嬉しそうに小さく何度も自分の名前を口にしました。
「ユキは、僕の友達になりに来たって言っていたけど、どういうこと?」
「サンタさんから頼まれました!」
トイボは驚きました。確かに“友達が欲しい”と書いた手紙をサンタクロースに出しましたが、まさか叶うとは思っていなかったからです。
ユキは、7日後には溶けてしまうということもトイボに話してくれました。その日が来るまでたくさん遊ぼうとトイボが笑顔で言うと、ユキも笑顔になりました。
それから2人は、雪の山をソリで滑ったり、氷の上でスケートしたり、たくさんのことをして遊びました。
ある日、トイボは家族でおばあちゃんの家に行くことになり、ユキに留守番を頼みました。ユキは笑顔で3人を見送り、1人になったときとある場所へ出かけました。
「ただいまー!」
家に帰る頃には、外はもう真っ暗でした。雪も降っていて、とても寒くトイボたちは急いで家の中に入りました。
しかし、迎え入れてくれるはずのユキの声が聞こえません。トイボは家中を探し歩きましたが、ユキは見つかりません。両親も心配して、外を見に行こうとしたとき、玄関のチャイムが鳴りました。
「どちら様ですか?」
「あ、あのっ!僕、イロっていいます!ぼぼ僕と友達になってくれませんかっ」
扉を開けたお母さんは、トイボの方に振り向きました。トイボは不思議そうに、何故友達になりたいのか聞きました。
「前に、僕の傘が壊れて困っているときに、君が自分の傘を貸してくれて、とても助かったんだ。それから、ずっと気になっていて…話しかけたかったんだけど、なかなか勇気がわかなくて。そんなとき、しゃべる雪だるまさんに背中を押されたんだ」
「しゃべる雪だるま!?どこでみたの!?」
しゃべる雪だるまは、ユキしか思いつきません。イロに事情を話すと、案内してくれました。
イロが雪だるまと話したという場所に、小さな水たまりがありました。その中央には、光る何かがあります。トイボはゆっくり近づき、水たまりの側にしゃがみ込みました。
「雪だるまさんは、僕にありがとうって言ったんだ。そして、君に楽しかった、っても言ってた」
イロの言葉に、トイボは涙を流しました。今日がユキと出会ってから7日目だったことを、忘れてしまっていた自分が悔しくてなりませんでした。
しばらくすると、トイボは落ち着きました。そして、家から小さな小瓶と簡単な手紙を書いて持っくると、その小瓶に水と小さなクリスタルと手紙を入れました。それを海へ流し、トイボとイロは大声で海に向かって叫びました。
『ありがとう!雪だるまさん!』
周りの家の人がうるさい!と怒り、トイボとイロは大急ぎでそこから逃げました。そしてトイボの家に入ると、2人は肩で息をしながら顔を見合わせ、笑い合いました。
それからトイボはイロとすっかり仲良くなって、もう寂しくありませんでした。
2人は水たまりがあった場所にたまに行くと、雪だるまのことを話すのでした。




