表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

魔界な人々

新人護衛官な僕と魔界軍人なあなた

『戦闘魔族な私とコンビニ店主な妖精』

『妖精店主な俺と戦闘竜人なあの子』

とリンクしておりますが単独でも読めます。

よろしくお願いします。

先輩、本当に結婚できるのかな?


魔界軍の血赤の軍服を着たガチマッチョな銀の竜人が廊下の向こうからかけてきた。

同じ竜人だけど……うちは王都だし……ムー先輩のお兄さんだよね。


僕、これから遅番出勤なんだけど。


「ムーラシアはどこだ〜。」

銀の竜人が渋い声で叫んだ。

「ムー先輩は公休でデートです。」

僕はぶつからないように身体を引いた。

「なんだと、ティイン何故とめん。」

銀の竜人が唸った。


ちょっとこわいんですけど。


「ティイン先輩は夜勤あけで寝てます。」

僕はちょっとふるえながら言った。

「なんだと、ティイン〜、ティイン。」

銀の竜人が叫んだ。


どかっと寮の扉が開いた。


「アウス、うるせーよ。」

不機嫌そうに緑のガチマッチョ竜人……ティインシス先輩が扉に手をかけて立っていた。

超不機嫌そうだ。

「ムーが軟弱妖精と結婚したいと言ってるんだ。」

アウスさんが言い募るとティイン先輩は顎で入るようにシャクった。


アウスさんはおとなしく入っていった。


気になるけど気になるけど気になるけど時間がぁ。


「今日の夕飯は何にしようかな。」

魔王様の護衛官のお仕事はローテーションなの遅番がかえるのは夕闇の時間帯だ。


広大な魔王城の廊下はあかあかと照らされているけど窓の外は真っ暗だ。


「今日はカレーにしようかな。」

そんなことを思いながら職員食堂に向かった。

ところで向こうからまた銀の竜人アウスさんが颯爽と歩いてきた。


べ、別の道通ろうかな。

くるりと振り向こうとしたところで肩をつかまれた。


「朝は申し訳なかった。」

渋い声が耳元で聞こえる

「別に気にしてません。」

少し震えながら見あげると銀の瞳と目があった。


わーん、やっぱり迫力ありすぎだよ〜。


「……女性だったのか……」

アウスさんがつぶやいた。


他種族で見分けがつきにくい体型も同じ竜人なら一目瞭然だ。


「あの、本当に気にしてませんから。」

食堂に行きたいのでとつげると何故かついてきた。



魔王城職員食堂はいつもでも開いている。

ローテーション勤務だの夜行性の魔族だのいろいろあるし外部の魔族も利用可能だからだ。


色んな種族が来るので料理も多種多様だ。

あそこでプルプルおどってる赤いプリンがなにかなんて考えちゃいけない……


「ジーちゃん、カツカレー大盛りと普通盛り上がったよ。」

いつもはセルフなのに何故が食堂のおばちゃんがもってきた。

「ありがとう、おばちゃん。」

僕は少したちあがってうけとった。


おばちゃんの3つある目がアウスさんを見つめてる。


「ジーちゃんにも春が来たんだね。」

にんまり笑っておばちゃんが言ったのでトレーを落としそうになった。


「春はまだ先だが……」

首を傾げながらアウスさんがトレーを強奪して普通盛りを僕の前に大盛りを自分の前においた。

「そういう意味じゃないんだよ、軍人さん。」

おばちゃんがため息をついた。


そういう意味じゃなかったらどういう意味だと言いながらアウスさんがカレーを口に含んだ。

僕もカレーを食べ始めたスパイシーでコクがあって美味しい。


「うまいな……」

アウスさんが笑顔を浮かべた。

「ここのカレーは美味しいんですよ。」

サクサクのカツを食べながら言った。

「色気のない会話だね。」

おばちゃんが呆れた顔をして戻っていった。


「朝は申し訳なかった、少々慌てていたようだ。」

アウスさんが頭を下げた。

いいえと手を振っといた。

お兄さんっていいなぁ……

「僕、一人っ子なんでお兄さんがいるってわかんないんです。」

そう一人っ子だから僕が魔王城に護衛官業務にきたんだし。


うちは代々戦士の家系でおじいちゃんもお父さんもおじちゃんもみんな魔王城で護衛官してるんだよね。


同じ竜人でも里に住んでないから鱗家リンケ本家なんて縁がないんだよね。


僕が『僕』っていうのも僕以外は男って言うのもあるんだけど……一人っ子だけどおじさんところはみんな年下の男の従兄弟だし。


「ムーの件になにか思うところがあるのか? 」

お兄さんが半眼になった。

「べつに僕は関係ないですけど、あの二人はすごく幸せそうですよ。」

うん、この間コンビニにいったらちょうどキスしててたじろいだけどね。

「あなたは男をしらん。」

アウスさんがかつをまるかじりした。

「知りませんけど。」

それがどうしたんだろう?

「……いやそういう話でなくてだな……あなたもムーと同類か? 」

アウスさんが頭をかきむしった。

「同類? ムー先輩みたいに強くなりたいです。」

憧れのムー先輩……クールビューティーで強くて素敵でいいなぁ……

「あなたのような純真な方にいいたくないが、男なんて女を見ればやることばかりだ。」

アウスさんがカレーをかき混ぜた。

「別に男女問わず殺る時は殺ると思いますけど。」

うん、それが戦士だしね。


アウスさんがすごく困った顔をして絶対にわかってないだろうとつぶやいた。


「やるやるってそんなに女の子が言うもんじゃないよ! 」

はい、お冷と頼んでないのにおばちゃんが水を注いでいった。


殺る殺るって女の子が言うもんじゃないのは確かかな? ここぞという時に殺るって言うのがかっこいいよね。


うんっと頷くと何故かアウスさんが力が抜けた表情をした。


「あなたは……天然か……天然なのか。」

ブツブツいいながらも大盛りカツカレーがもう空だよ。

「天然の戦士ですが? 」

でいいんだよね?


途端、おばちゃんが大きなため息をついた。

アウスさんはがっくり脱力した。


おばちゃん、ダメだこの娘って何さ?


結局その日はおごってもらってそのまま別れた。

アウスさん、何がしたかったんだろう?



「兄上が世話になったようだ。」

お兄さんと同じく颯爽とムー先輩が寮の共有部分を歩いてきた。

「ムー先輩、お兄さんとはなしたほうがいいですよ。」

いいお兄さんですよねと続けるとまあなとムー先輩が微笑んだ。

「ムー、アウスと話しつけとけよ。」

ティイン先輩が腕組みしたまま不機嫌そうにムー先輩を見た。

「兄上とは拳で話をつけたはずだが? 」

正確には蹴り倒してだがなとムー先輩が言った。

「きちんと音声で話せよ……」

ティイン先輩ががっくりうなだれた。

「ムー先輩、お兄さん殺られるんじゃないかと心配してましたよ、店長さんか弱そうだから逆に殺りそうですよね? 」

男って殺りたがるって言ってたけど……ムー先輩の方が強そうだし。

「殺るって何をだ? 」

ムー先輩が不思議そうに小首をかしげた。

「そうですよね? 」

私も小首をかしげた。

「お前ら……ダメだ。」

ティイン先輩が頼むから知らない男についていくなよとがっくりしながら言った。


ついていっても殺られる前に殺りますけどね。


なんだかんだ言って日常は続くんだよね。



魔王城は今日も平和だ。

「ミゼル様、人界楽しゅうございましたね。」

橙家トウケ令嬢のアールセイル様が魔王妃ミゼル様を伴って帰ってきた。

「あ、はい。」

小動物系の魔王妃ミゼル様が青いビニール袋を嬉しそうにもってる。

「アールセイル、どう言うつもりだ。」

金髪碧眼のイルギス魔王様が二人の前に立ちふさがった。

「あら、ミゼル様に頼まれたのですわ。」

ニコニコとアールセイル様が悪びれ無く言った。

「今日こそ決着をつけようか……アールセイル。」

後ろに黒雲をわかせたような表情でイルギス様がアールセイル様に指を突きつけた。


私闘に力使いたくないなぁ……

ムー先輩はやる気満々みたいだけど……僕、護るために力を使えって叩き込まれてるからな……


ムー先輩が槍を構えたので一応、大鎌を構えておく……

アールセイル様がニコニコしてるのが怖い。

まさに一触即発の驚異……束縛型旦那様ってなんか嫌だ。


「あ、あの……イル、お誕生日おめでとうのプレゼントなの。」

小動物系の魔王妃ミゼル様が青い袋を前に出した。

ガタガタ震えてる。

「俺に? 」

魔王様が受け取って中身を取り出すと暖かそうな紫のフリースのはんてんだった。


紫のフリースのはんてん……微妙……


「ミゼル。」

魔王様はミゼル様を抱き上げて甘くくちづけした。

そのまま奥にひっこんでいった。

「よかったわね、ミゼル様。」

アールセイル様が満面の笑みを浮かべた。


本当に裏表ない方だな……


「今日はしごとにならないようだ。」

残念そうにムー先輩がやりを戻した。

鱗本家の竜人って本当に好戦的だな~。

アウスさんもなのかな?


平和が一番だよ。


帰り道今日もムー先輩はコンビニによるらしいので一人で廊下を歩いていた。


恋人いるってどんな感じなんだろう……

ぼーっと廊下から外の瞬く星をみた。


「ジー孃。」

渋い声が耳元で聞こえて振り向いた。

銀の竜人がすぐ後ろに立っていた。

「アウスさん……ムー先輩ならコンビニですよ。」

多分そういうことだよね?

「……いやジー孃と少しはなしたくなってな。」

アウスさんが微笑んだ。


少し疲れてそう。


「食堂に行きますか? 」

今日はチャーハンの予定だけど。

「そうだな。」

アウスさんがうなづいた。


今日も食堂は賑わっていた。

あの緑のウニョウニョ動く麺がなにかなんて考えちゃいけない。


「アウスさん、元気がないです、どうかしたんですか? 」

僕はアウスさんを見た。

「あなたはいつも元気だな。」

アウスさんが小さく笑った。


やっぱりなんかあったみたいだ。


「なんだい、デートかい? 」

おばちゃんがどーんと極盛り焼豚チャーハンと取皿を置いた。

「デートだ。」

僕が否定するより先にアウスさんが取皿を山盛りにしながら答えた。

「そうなんですか? 」

僕は小首をかしげた。

「まあ、落ち込むことがあってな、あなたにあうことしか思いつかなかった。」

さっきの皿を僕の前に置きながらため息をついた。

「デートにため息はないだろう? まったく。」

ブツブツ言いながら付け合せのスープをおばちゃんはトンと2つおいてカウンターに戻っていった。


「何かあったのですか? 」

僕はお冷を飲みながら聞いた。

「まあ、魔界軍の同僚が裏切っただけだ。」

暗くなりながらアウスさんがチャーハンにレンゲを入れた。


裏切ったって反乱!?


「グリシスのやつ……」

アウスさんがレンゲを握りしめた。

「その方が裏切ったんですか? 」

信頼していた同僚が裏切るなんて……

「ああ、どうしてなんだ。」

アウスさんがさびしそうに取皿にチャーハンを追加した。

「きっとのっぴきならない事情が……」

うーん、なんて言っていいのか。

「ヤツのせいで私は……」

アウスさんが本当に悲しそうな顔をした。


どうになぐさめれば良いんだろう。


「ち、チャーハンもっと食べますか? 」

僕はチャーハンの大皿をアウスさんのほうへ押しやった。

「あなたは……優しいな。」

うっすらと微笑んだアウスさんは色っぽくてドキドキした。

「い、いえ、そんなことないですよ。」

僕はドキドキしながら答えた。

チャーハン冷めちゃう。 目をそらしたくなってチャーハンをかきこんだ。


「……やはりあなたがいいな。」

アウスさんのつぶやきで目を合わせた。

いつの間にか大皿に残ってたチャーハンは空になってる……じゃなくてその色っぽい微笑みなんですか?


「ジーファイラ・リン・オスティ孃、私、アウスレーゼ・リン・ハスナティスはあなたに結婚を前提にした交際を申し込む。」

銀の瞳が色っぽく輝いた。

「え、えーと。」

なんで交際の話に……


「もっとロマンチックなところでやんなよ。」

あきれたようにおばちゃんがお冷を注ぎに来た。


「ロマンチック……私にこれ以上無理だ、ジー孃頼む。」

お冷を取ろうとした手を取られてどぎまぎする……

「……あ、あのだいぶ格下の家なので……」

きっと鱗本家には反対されるよね。

あ、心がズキンとした。


「……あなたしか考えられない……それにあなたは立派な守護鱗家の令嬢ではないか。」

アウスさんがもっていた僕の手の指にキスした。

「あの……きっと反対されます。」

僕は指に触れる柔らかいものにドキドキした。

「親父殿は反対どころかグリシスのせいで大賛成だ。」

アウスさんが僕の指をアマガミした。


え……裏切りもののせいでってどういう意味?


「それともティインがあなたの恋人か? 」

アウスさんが視線を上げて後ろを見た。

違うけど……え、ティイン先輩?


ティイン先輩がつかつかとこちらに来ていた。


「可愛い後輩をたぶらかしてるんじゃないよ。」

そのままティイン先輩がくるりと回り込んでアウスさんにヘッドロックをかけた。

「苦しい……ティインシス、私は本気だ。」

アウスさんがティイン先輩の腕をとこうとした。


と、とりあえず明日も仕事だし帰ろうかな……

そろりと伝票をもってたつとアウスさんと視線があった。


「ジーファイラ孃、私はあなたを愛している。」

あつい眼差しでアウスさんが言った。

「しめなきゃわかんないみたいだな。」

ティイン先輩がさらに技かけようとした。


「あんたら!! 喧嘩するんならよそでやんな! 」

三目のおばちゃんが八本ある手(足? )で二人を食堂からつまみ出した。


まどから庭にほうりだされたらしい。


「全く……ジーちゃんも大変だね。」

伝票をレジの猫耳のおじさんに渡してはらってるとおばちゃんかっこよく帰ってきた。


ちゃんと考えて決断するんだよとおばちゃんは手? をひらひらさせた。


本当にどうすればいいんだろう?

僕は廊下から見える紫の月を見ながらつぶやいた。


明日も仕事だし頑張ろうっと。


「ジー孃、私は本気だ。」

廊下颯爽と歩いてきてアウスさんが僕を抱きしめた。

ティイン先輩が逃げやがってと窓をよじ登ってるのが見えた。


よくみると血赤の軍服に草がついてるのがみえた。


「わかりました、本気にします……よろしくお願いします。」

私はアウスさんに抱きついた。


ジー〜そんな堅物くっつくと人生棒にふるぞとティイン先輩が言ってるのが聞こえたけど……


僕は僕のトキメキを信じる……


でも……アウスさんも男だし……いつか言ってたみたいに殺りたがるのかな?


もし殺りたがるなら対抗できるよね。

うん、普通の恋愛したいから殺し合いにならないように気をつけよう。


アウスレーゼさんと殺りあわないようにしないとね。


ムー先輩みたいなラブラブカップルが目標だよ。

と……いうわけで苦しいのでそろそろ腕ゆるめてください……。


トキメキって苦しいなぁ……

あ……人工呼吸しなくても大丈夫ですよ。


恋愛って奥が深いです。

駄文を読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ