喜悦
思った通りに廃人となって、体も心もすべて韓国女性に捧げる身となった羽柴秀志朗を謁見するのは、ジョンファとミリにとっていつも心楽しいひとときだった。
あぁぁっ、、韓国の御麗しい女神様、、心の底からのお願いでございます、、、どうか、、どうか私めの濁りなき忠誠心をお認め遊ばせますように、、、
憐れでけがれ多き日本人奴隷たちの崇拝の対象として、私たちの頭上に君臨してください、、、、私たちを導いてください、、、、
女神様、、、私どもは永遠に韓国女神様の奴隷です、、、妄信だけが取り柄の下僕です、、、あぁ、、、あなた様が仰ることは、、、どんなことでも真実、、、、私どもが死んでも守るべき金科玉条の憲法です、、、私どもは使い捨ての消耗品です、、、踏まれることが存在意義の民草です、、、あなた様方の金甌無欠の御美しさと、私どもの救いがたい下賤な醜さが、疑問の余地なく、それらをショウメイしております、、、
あぁ、、、あぁ、、、忠誠のシルシに、どうか、どうか御靴を綺麗にさせて下さい、、、御靴を舐めさせて下さい、、、心の底からのお願いでございます、、、
韓国の女神様、、、、私どもの尊い崇拝の対象となって頂くことで、私どもを、お救い下さい、、、救済して下さい、、、女神様、、、
女神さまぁぁぁっ、、、一生、愛してますぅぅぅっ、、、、、ほかの何を犠牲にしても、、、、、、
「アハハハハッ。見てよこいつ。年下の女の子を、マジで神さまだと思って、土下座してつま先さえも仰ぎ見れないって感じ」
「地面に縫い付けられちゃってるみたい。四つん這いでもまだ頭[ず]が高い、ってことかしら」
「てゆうか地面の一部みたい」
「許可されないと私たちのお靴も磨けないらしいよ」
「ま、自分の身分がよぉく分かってるってことよね。えらいえらい」
「磨かせてやるか」
「そうね、磨かせてやろう」
ジョンファが足許の羽柴の頭を爪先で軽く小突いた。
ジョンファもミリも涼しい顔で、心中笑いながらも無言だったが、羽柴は、自らの頭頂に触れる固い物質―ジョンファの靴の爪先―の、その神々しい感触が、まるで
『お前の祈りは聞き入れられました。神妙に磨いていいよ』
と、神の御声を聞くようだった。
おそるおそる顔を上げる羽柴の目には、もちろん涙が光っていた。
羽柴にとっては、ジョンファの履く靴さえも崇拝の対象で、宗教的な聖器のように、まるで煌々と光り輝いて見えた。
実際に眩しかった。眩しくて直視できなかった。
泣きながら羽柴はジョンファの靴を磨き、舐め清める悦びを感じていた。
続いて隣に立つミリの靴も。
喜悦だった。
底抜けの喜悦だった。
ゲームの世界ではなく、現実の世界でも、彼は犬―走狗であり、心の奴隷だった。
韓国の女神様だけが全て正しいと思っていた。
韓女様を崇拝し、盲目的に追従することが、唯一の正しい生き方だと確信していたし、そうすることが、なにより嬉しかった。
◆◆◆
ジョンファらKSM社に所属するタレントにとって、羽柴は単にゲームの実験台・モルモットだったが、羽柴はすでに人生を捧げていた。
ジョンファが大学に提出した論文―日本人ファンをゲーム漬けの依存症にする方法論を書いた―の通りの思うが儘に、あるいはそれ以上に、『韓神女様』にのめり込んでいた。
「キミは私が作った廃人製造ゲームの、記念すべき第一号の獲物だよ」
脳波測定の電極やら、心拍数や手汗量といったバイオリズムを計測するパッチやらで繋がれて、スマホゲームを黙々と勤勉に続ける羽柴を、リアルタイムでモニターやマジックミラー越しに眺めながら、ジョンファはそう嘯いたものだった。―その呟きはもちろん羽柴には聞こえない。
靴を『磨く』ではなく、『磨かせて頂く』です。
ていうか『靴』ではなく、『御靴様』です。




