課金
――「神女」に遭遇できた「犬」は、何をするんですか?
『はい、ここからがこのゲームの「本論」です。犬は自分の舌で「神女」の履いている靴を舐めて汚れを落とし、靴をキレイにできたらご褒美の「CANDY」を「神女」から下賜されるんです』
――舌で舐めて、靴をキレイにする???
『そうです。「舐めゲー」です。それでいちにち200億円まいどあり、です(笑)』
――(笑)。いくらなんでも・・・いくら当時の日本人にまともな趣味が無かったとしても、そのゲーム、みんなハマります???
『ハマっちゃうんですよ、これが(笑) ちょっとやってみてください。今やっても意外と面白いですよ』
―※ジョンファが再びゲーム画面を呼び出して、少し操作してからインタビュアーに手渡した。
『…はい、スタートです。この神女はショートブーツを履いてますね…。この表面の、靄っぽい、油面に浮かぶ虹っぽいのが汚れです…。ここをこう指でスライドすると向きが変えられます…。これで拡大、これで縮小です…』
――…お、、おおお、、、おおおおお、、、、? なんかすごい、、、靴が、、リアル。。。綺麗な画像ですね…ホンモノみたい…ホンモノより綺麗かも??
『そうなんです。ゲーム中に「靴」は百足以上登場して、さらにどんどん増えるんですが、そのすべてをLGが開発した当時最先端の6Gカメラで全方位ドーム撮影し、さらに美術監修が人の手で写真修正しています。
だからどの角度から眺めても、目いっぱい拡大しても、「神女」の履いている靴は皮革表面のキメ細かさ、微細な皺の感じや光沢まで、ホンモノ以上に綺麗なんです。
ちゃんと磨けると、表面に自分の―犬の―顔が映ったりするんですよ。光に反射して。。リアルでしょ?
実はファッション通販サイトの「商品ズーム閲覧機能」からヒントを得ました。アレ、買う目的がなくても、見入っちゃうんです。。私、一年生の時に趣味と実益を兼ねて・・・』
――ぁの、ジョンファさん、、ちょっと話長いです。早く、コレ、綺麗にしたいんですけどどうするんですか?
『すみません。ぺろぺろしたくなっちゃいましたか…。ここを、こう…。ここを、こう…。やってみてください』
――…ここを、こう? こう。こう! こう!! お、おおお、、、おおおお、、、、??!!
うわすごい! なんかズルっと剥がれた! 気持ちいぃ・・・!!
『(笑) その辺はピカピカになりましたね。もっとこっちにスライドすると、デカい汚れがありますね…』
――、、、あ、、、これデカい、、あれ、、、なかなか取れない、、、こっちか、、、!うほ!うほうほ!!取れた・・・駄目だ・・・あれ???
ちょ・・・ジョンファさん?! 大変!なんか犬がへばってます!!
『(笑)。あんまり連続して靴表面を舐め続けると、犬クンも喉が渇いちゃいますから…ここの水色のゲージが少ないときは、溜まるまで待ちます…。ゆっくり楽しんで下さいね』
◆◆◆
『インタビュアーさん、そろそろ気はすみましたか?』
――…すみません。ちょっと我を忘れて没頭していたかも。これ、夜一人でいるときにやってると、けっこう無限にやっちゃいそうですね。特に全面ピカピカにした後にもらえるCANDYが嬉しくって…
『さらに課金してゲットできる水を飲むと、一定時間、ゲージが溜まりやすくなって、時間がすごく短縮できます。ユーザーに時間を金で買わせるんです。
しかし極めつけは、何といっても、「貢ぎコマンド」です。CANDYをたくさん集めると、好きな「神女」に貢ぐ「資格」が与えられるんです。貢ぐアイテムは、足のマニュキュアやストッキングやアンクレットチャームといったアクセサリーで、靴を貢ぐこともできます。貢ぐとゲーム中で神女が履いたり、身に付けたりしてくれて、「図鑑」に載せることが出来ます。
アイテムは数百円から数十万円まであって、【現実のお金で、ゲームの中だけのアイテムを】買うことが出来るんです。これが課金のメイン・ディッシュです(笑)』
――…ジョンファさん。いま、悪い顔、しましたね(笑)
『ウフフ…御代官様には敵いませんよ(笑)。
それはそうと、指の力の入れ具合に対する画面の反応速度・操作性は、「欲しがりセンサー」と並んでこのゲームの肝ですが、ここがゲームバランスの致命的根幹です。
実は「ある人物」で、「死ぬほど」試行錯誤しています。
自国を滅ぼすことになる、このゲームの開発に、命を賭して取り組んでくれたのは・・・』




