遊技
『「CANDY」はスマホで遊ぶソーシャルゲームです』とジョンファが言った。
『開発から運営プラットフォームまですべて韓国企業という純国産のゲームですが、当時は日本向け専用の、日本人のユーザのみをターゲットとして狙い、開発されたゲームです。私も、そしてシロも、開発にはどっぷり携わらせて頂きました。「開発秘話」だなんて大層なものでもないんですけどね(笑)』
――いえいえ、何といってもそのゲームが、K-POP人気と結びついて当時の大公国で爆発的に流行して、「韓日版アヘン戦争」の嚆矢になったんですもんね。歴史的偉業と言えるのではないでしょうか。
『そんなこと、、、、ありますね(笑)。その通りです。
今では「歴史資料」として誰でもダウンロードできますが、当時は韓国人が登録して遊ぶことは事実上禁止されていたんですよ。
ここに「歴史資料」がありますから、見てみて下さい』
―※ジョンファは自分のスマートフォンの画面にゲーム画面を呼び出して、インタビュアーに手渡した。
――ひえっ、何だか怖いですね。見てもいいんですか?
『大丈夫です。変なところを触っても、課金されたり個人情報を吸い取られたりはしませんから。「歴史資料」ですから、そういう機能はぜんぶ抜いてあります。当時はそれがメインだったんですけどね(笑)』
――こわっ。。。スマホが爆発したりもしないですか?
『大丈夫ですよ(笑)』
――(少しだけ人差し指で画面を操作して)へぇー。ほぉー。ふぅーーん。なるほど。。確かに画像は凄く綺麗ですね。今でもそう見えるから、当時としては最高水準だったのではないでしょうか? ―※そう言ってインタビュアーはスマホをジョンファに返した。
『はい。ENILゲームス社に委託して、当時最高のゲームクリエーター陣を総動員して作りました。韓日両国からたっぷり助成金をもらったので、開発費も潤沢だったんです。
開発元のENILゲームス社は、もちろん、スマホでのSNSアプリ販売・運営の雄「ENIL」の関連会社です。ENILはスマホでの通話・メール・テキストチャットを無料で行うアプリで、サービス開始直後から日本市場をほぼ独占し、日本人にも韓国企業であることを忘れさせるくらい日本社会に浸透していましたが、れっきとした韓国企業です。韓日戦役で日本大公国が消滅してからは、逆にENIL社も衰退してしまいましたが、「日本人のスマホを支配し続けた」その功績は大でしょう』
『そしてこの「CANDY」です。スマホでどこでも遊べます。「ユーザーをゲーム依存にする」ことを意図して作られた世界初の韓国産ゲームです。
その意図は、完全な成功を納めます。
インタビュアーさんは、前回、「廃人製造ゲーム」と言いましたが、「ゲーム依存製造機」とか「悪魔のゲーム」とか「てのひらの中の底無し沼」といった異名もありました。これらは当時、このゲームの危険性を訴えた数少ない日本人―一部の国会議員や精神科医―が「命名」したものです。けどそんなことを言った人は、全員、女権帝国の息のかかった小波渡政権に消されちゃいましたけどね(笑)
我々韓国人の運営サイドからすれば、「打ち出の小槌」であり「金の生る木」です。まさに「幸せのゲーム」です。
当時、私も大学生の身で「若手実業家」みたいな感じでENIL社やKSM社の開発スタッフに出入りしていたんですが、ユーザ登録数―私たちは「患者数」と呼んでいましたが―が伸びていく様子や、あるいは課金―「税金」と呼ぶこともありました―が秒単位で増えていくのを、管理者用ディスプレイで見るたびに、、、もぅ、笑いが止まりませんでした。
「ボロいな、これ」
「金が空から降ってくるみたいね」
とか言って、そんな数字たちがどんどん回っていくディスプレイを見ながら、みんなで笑っていました』
――青春、ですね。ぽっ(照)。
『青春ですね。ほんと、楽しかったです。
課金による「徴税」がメインでしたが、様々な派生グッズも売り出して、それらもすべて飛ぶように売れました。特にカードゲーム用カードがすごくて、作った数だけすぐ売れるから、担当者―大学で同級生だった女の子でしたけど―は、私に会うとよくこう言ったものでした。「やばいよジョンファ、売れすぎて笑いが止まらない。私、まるでおカネを刷っているみたい。刷っても刷っても足りないわ~」ってね』
『女権暦13年の絶頂期―取締官の林則夫の禁止措置が始まる前年です―には、ステージ4のユーザー数だけでも900万人。無料版ユーザー登録者数も合わせると1,300万人で、これは当時の大公国の10人に一人よりも多いです。
課金メッシュが最も細かいステージ4の900万人の平均プレイ時間は一日5.5時間で、一日の課金金額は平均でも1,544円でしたが、一日に10万以上課金するツワモノが何人もいたそうですよ(笑)』
――えぇと、、一日1,544円が900万人だから、総額だと…
『140億円です。一日でね。しかもステージ4だけだから、ステージ1から3も入れると、200億円弱ですね。これは当時の我が国から日本への輸出物品ナンバーワンだった自動車の一日の輸出額とほぼ同じです。つまり自動車と同じくらい売れていたんです。実体のないゲームが、ですよ。。驚きです』
―※インタビュアー注;女権暦13年の韓国から日本へ自動車輸出総額は7兆6,600億円で、一日約210億円。(当時韓国車は最高級車として日本国内で圧倒的な人気があった)。
反対に日本からの自動車輸入総額は同じ年で1兆2,000億円しかなく、しかも加工品や半製品(日本に在る韓国企業の下請会社からの、本国向けの移送)がほとんどだった。
すでに日本の自動車メーカーはあらかた韓国企業に買収されており、もはや日本の輸出産業のエース[稼ぎ頭]は、自動車等の製造業から、コメや日本茶やくだものといった農作物に移っていた。しかし、それらの農作物(等)を海外に売ることで、日本人が苦心して手に入れた貴重な外貨さえも、前述のように韓国産のゲーム代などで虚しく消えていた。
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『「CANDY」のゲーム世界の中で、日本人ユーザーは犬の姿をしたアバターとして行動します。
犬といってもアバターの犬はリアルな犬じゃなくて、ブルドッグっぽい、かわいい犬です。キャラクターデザインは、韓国人の、当時超一流のアニメーターにお願いしました。レポートにも書きましたけど、ゲーム世界においてキャラクターデザインは極めて重要なので、超贅沢にお金を使いました。結果、最高のものができたと思っています。このかわいさなら、誰も「現代のアヘン」だなんて絶対思わないでしょ(笑)。
犬たちが行動する世界には、私たちKSM社に所属するタレントが、「神女」というキャラクターとして登場します。アイドルだけでなく、女優やモデルもたくさん所属していたので、キャラクターには事欠きません。登録ユーザー数が50万人を超えた第二期から、「神女」に加えて「天女」と「聖女」も登場するようになります。第二期のスタート時で、「神女」が12人、「天女」が70人、「聖女」が130人になり、その後どんどん増やしていきました。全員、実在の韓国人女性が、そのままキャラクターになるんです。
犬たちは、広大なゲームの世界を冒険して、「神女」に遭遇します。この辺りは、先行する「妖怪ハンターGo」を、ちょっとだけ参考にしました。
フィールド画面だと、「神女」たちは光の玉というか、繭みたいになっていて、誰か分かりません。その光の玉にぶつかると、光が画面全体に広がり、ユーザーは「誰が出るかなー」とドキドキ・ワクワクするわけです。お目当ての「神女」かもしれないし、ちょっと違う「神女」かもしれません。そのあたりは、確率だけの乱数依存ではなく、ディープラーニングしたAIに計算させます。つまりユーザーの行動=スマホ画面をタップする指先の動きから、ユーザーの精神状態を読み取って、ディープラーニングと照らし合わせ、AIが「このユーザーを溺れさすには、これ」という判断をするんです。
たとえば、まだ冷静で余裕のあるユーザーには、回り道させて引っ張ります。さんざん消耗しきってギリギリのユーザーには、泣いて喜ぶようなご褒美をやります。これは一例で、さまざまな変数を、複雑にラーンさせます。
そのあたりの駆け引きは、神のごとき計算能力を持ったAIが、ものすごく巧妙に打算します。私たちは、このAIを「欲しがりセンサー」と呼びましたが、「神女」との遭遇だけでなく、ゲームの全編を通じて、このセンサーを巧みに配置しました。このAI開発にも、結構お金を使いましたね』
――なんかすごい・・・。手が込んでますね、感心します。
『そうなんです。ディープラーニングしたAIの真価はこのような場所にこそ活かされるべきで、まさに技術者の本領発揮です。碁やチェスで名人に勝つAI開発などお遊びに過ぎないんです。幸い、我が国のAI技術は当時すでに世界最高峰で、その技術を惜しみなくこのゲームに投入しました。日本人ではたとえ専門家でもバレなかったと思いますよ』




