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百度

もちろん、韓国にとって、熊田新造のような『極右』・『タカ派』の勢力に、完全な傀儡である小波渡政権が取って代わられる事態は充分に織り込み済みであった(選挙介入にも限界があった)。


しかしむしろ、韓国の専門家による『小波渡による対韓従属政権はもって1年』という予想よりも、ずっと長持ちして日本は韓国の属国であり続けた。


日本人にとっては、それは―小波渡の傀儡政権は―韓日戦争前の、最後の、平和で優しい日々だったのかも知れなかった。


◆◆◆

小波渡政権が3年目を迎えた頃――


K-POP女性アイドルグループ=『WHIPs』は、日本における巨人に成長していた。

もはや手が付けられないほどの『巨人』だった。


舞台は、小波渡政権が『構造改革特区』の名の下に、新大久保を中心とする770ヘクタールの土地―東京のド真ん中の超一等地―に、K-POP産業を中心とする韓国資本を誘致してできた、通称『K-POP天国』である。


K-POP専用の大小無数の劇場やコンサートホールや撮影スタジオ、他には関連グッズ店、K-POPに携わる人々のオフィスや寮や高級賃貸マンション、韓国製品専用の卸や小売店。。。

それらが高度に集積したこの地域は、日本国内でありながら、韓国語が話され、ウォンが流通し、日本の警察さえ遠慮する、、、まさに現代の『租界』であった。


ここで、数年前に『WHIPs' Tokyo Life』というネット配信番組で『デビュー』した羽柴秀志朗の、その後を記さなければならない。


デビュー以降、韓国のネット上で『面白い日本人ファンがいる』と話題になり、その話題性にKSM社(『WHIPs』などを擁する韓国の大手芸能事務所)も乗っかる形で、彼は徐々に韓国国内でメディア露出を増やしていった。

韓国公共放送からネット番組まで、硬軟幅広い層の取材や密着ドキュメンタリやバラエティへの出演、あるいは自らSNSで配信する『イタイ生態』も、広義の『メディア露出』であった。


生活費の大半を―あるいは借金してまでも―WHIPsに捧げて貢ぎ、自らは東京のボロアパートで極貧生活を送っていること。背中と両腕と胸に『信仰告白』に近い、大真面目な入れ墨を彫っていること。自作のマネキンにジョンファのステージ衣装を着せた『御神体』に、毎朝毎夜、土下座叩頭して文字通り『崇拝』していること。。。


これら『羽柴秀志朗』の『生態』について、この2・3年で韓国国内のK-POPファンで知らない者はいないほど、その認知度は高まっていた。


◆◆◆

WHIPsの中心メンバーであるハン・ジョンファとウォン・ミリが、大学校進学に向けた受験勉強専念のために18歳で芸能活動を休止すると急遽発表したとき、少なからざる日本人ファンは否定的に『トップアイドルとしての自覚が足りない』と抗議した。


しかし羽柴の行動はそれとは違った、韓日両国のファンの心を揺さぶるものだった。


『国内百箇所でお百度参り』を実行し、その模様をSNSに動画(早送り)でアップしたのである。


しかもその『お百度参り』の苦行っぷりは度を越していて、どんなに夜中寒くてもハチマキ・白装束一枚・裸足の正装。さらには四つん這いで、参道入口から拝殿までの路を往復した。


そしてその願掛けは、『辞めないで』ではなく『ジョンファ様とミリ様が御志望の大学校に合格され、幸多き人生を歩まれますように』であった。


そうして9月1日から11月中旬の大学修学能力試験スヌン当日までの約3ヶ月掛けて(一日で二箇所以上、神社を回ることもあった)、彼はこの苦行を乗り越えた。彼はどこまでも真面目であり、この苦行を真心の発露として断行した。


日ごとに、彼の苦行をアップしたSNSの閲覧者数とフォロワーとコメント数が増えていった。韓日両国からだけでなく、世界中からの閲覧やコメントだった。韓国テレビ局によるドキュメンタリー風の密着取材を受けることもあった。


そして、彼が最も嬉しかったのは、この苦行の、実地での賛同者が、少しずつ、しかし確実に増えていったことであった。

飲食を提供してくれる人、寝床を貸してくれる人、いろいろなグッズ―お守りの類―をくれる人、、、そしてもちろん、羽柴が何よりも有難がったのは、一緒にお百度参りに、たとえ部分的にではあるにせよ、参加してくれる日本人の存在だった。

特に『宇喜多真子』―元KSM社のスタッフで、羽柴のデビュー作である『WHIPs' Tokyo Life』の番組アシスタントをしたこともある―は、100箇所中33箇所で羽柴とともにお百度参りした。(彼女は50箇所目から参加したが、途中病欠などで皆勤はできなかった)


◆◆◆

数回、キム・サランによる密着取材を受けたこともあった。サランは、『WHIPs' Tokyo Life』の看板女子アナウンサーを勤めていたが、東京公国大学を飛び級で卒業した後、念願かなって韓国国内のテレビ局のアナウンサーに就職していた。『WHIPs' Tokyo Life』に出演していた時代から、今に至るまで、ジョンファとミリとのプライベートでの付き合いも継続していた。平民出身。


新潟県のとある有名な神社で、彼はお百度参りをしていた。当然、サランを含めたテレビクルーは、今、彼がどこでお百度参りをしているか、彼のSNSから把握することができた。


彼は白装束の格好で、四つん這いになり、参道入口から拝殿へ這っていた。

手袋も膝サポーターも付けていなかった。拝殿で『お馴染み』の三跪九叩をし、例の「ジョンファ様とミリ様が御志望の大学校に合格され、幸多き人生を歩まれますように」の願掛けを絶叫し、また参道入口に四つん這いで戻ってきて、折り返して拝殿へと向かっていった。


その一部始終をカメラに収めた後、サランは彼にマイクを向けて取材した。

四つん這いの彼に並行する形で、膝を折った中腰の姿勢でよちよち歩きしながら取材した。

彼の四つん這いのスピードが速すぎず適度だったから、それほど苦ではなかった。―おそらく今までたくさんの質問者や取材者に対応したのだろう、羽柴の態度も馴れたものだった。


「ぼ、、、僕のこの行動が、、、ジョンファ様とミリ様の明るい未来にほんの少しでも役に立てば、、、僕は本当にもう、死ぬほど嬉しいんです、、、」


そのドモりがちな韓国語が、サランには懐かしかった。


「神社から、、神社への、交通費は自腹です。。奇特な人がくれることもあります。。お、、お金をくださるのは、日本人もいますし、韓国人の方もいます。

 こ、、この前なんか、日本観光中の、韓国人の女子中学生さまのお二人が、、千円も下賜くださったんです、、。お、、お一人千円で、二千円です。。。

 聞くところによると、その韓国人女子中学生様も、WHIPsのファンでいらしたらしく、僕のことをご存知だったんです。。。ぼ、、、僕はお二人に対して、何かお礼をさせて下さい、と申し上げました。。お一人目のお方が、「三跪九叩して」と仰ったので、僕はそのお方に三跪九叩致しました。お二人目のお方にも、「何かお礼を」と申し上げました。お二人目のお方は、「靴を磨いて」と仰いました。たぶん三跪九叩は一回で充分だったのでしょう。他の何かをやらせてみたい、という感じでした。僕はもちろん、喜んでそのお方のお靴を磨かせて頂きました。そしたらさらに千円、頂けました。僕は涙が出るほど嬉しくなりました。実際、お二人をお見送りするとき、僕の視界は涙で曇って、お二人のうしろ姿がまともに見えませんでした。。。

 今でも忘れません、、、女神さまのようにお綺麗な、、女子中学生さまであらせられました、、、」

「、、、ま、、、今の韓国の紙幣価値では、日本の千円なんて安いものですし、二人の中学生にとってはコストパフォーマンスのいい余興、くらいの感覚だったのでしょう。

 反対に、虐められることは、無いんですか? 日本のウヨクの人たちからとか、今の羽柴君は格好の標的だと思うんですが?」

「も、、、もちろんあります。。。尻を蹴られたり、仁王立ちで通せんぼされたりします。『恥を知れ』だかなんだか言われて罵られることも多いです。けど、僕は負けないんです。相手が根負けして帰っちゃうまで、僕は本当にがんばって、黙々と、この四つん這いを止めません。。。ときどき警察やガードマンの人に助けられることもありますけどね。。。

 僕のがんばりなんて、ジョンファ様とミリ様の刻苦勉励を想うと、、その鍛錬に比べると、、、塵みたいなものですから。。。コケの一念ってやつです。。。」


◆◆◆

「最後に、私に何かお手伝いできることはありますか? お駄賃とかは上げられないですけど。」

「あの、、、僕のお百度参りのジンクスで、『人数が多いほど効き目が大きくなる』ってのが、超、あるんです。。今日は宇喜多さんとか、仲間がたまたまいなくて一人ですけど。。女子アナさんにも一緒に、、、」

「え? 私にそれを? 冗談ですよね」

「スミマセン、スミマセン! もちろん韓国人の方にコレをやらせるなんて、そんな超バチ当たりなことさせられる訳ありません! 僕を、ひ、ひ、引っ張って欲しいんです。。。」


羽柴は言って、首に巻きつけていた紐をぐるぐると解いた。どうやら、首輪の上から、首に長いリードを巻きつけていたようである。確かにサランは気になっていたが、あえて質問はしないでいた。


「こ、、、これを持って、、、僕とな、、並んで歩いてください。。。い、、犬の散歩みたいに、、、ちょっとでいいです。。半往復だけでもいいです。。。そ、、そうしていただけると、すごくこのお百度参りの効果が上がるような、き、気がするんです。。。」


サランはそれをした。言われたとおりに、首輪に結わえ付けられたリードを持って、立ち上がって犬の散歩の要領で、四つん這いの羽柴に並んで歩いてみた。


彼はずっとニヤニヤしていた。本当に嬉しそうに見えた。


サランも、可笑しくなって、笑った。


それは平和な光景だった。。。

現実世界でも、もうすぐスヌンですね・・・

たぶん日本でもニュースでその光景が流れると思いますが、我々は、それをどう見ればよいのか??

僕的には、、、韓国の未来を担う皆様に、本当に頑張って欲しい! って気持ちです!!

もうほとんどの日本人は、スヌン当日の、『パトカーが遅刻しそうな受験生を送る』みたいなニュース映像を、無邪気に笑っているだけでは済まないと思う。


『このパワーすげえな』になってくると思う。(もう既になってる??)


プラス、僕はこの『韓国の若くてエネルギッシュな精鋭たち、頑張れ』という、総員、帽振れー的な見方を提唱したい!のであります(^^ゞ

雄雄しい後姿にすがりつきたくなるような、頼もしいヒーロー・ヒロインに対する、胸が潰れんばかりのencourageの精神なのでありますm(__)m m(__)m m(__)m

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