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黎明2

ハン・ジョンファが率いるK-POP女性アイドルグループ『WHIPs』が、戦前の日本において圧倒的な猛威を振るった時期は、日本の国家としての自信の拠り所であった磐石の経済にヒビが入り、誰の目にも明らかにその凋落が始まった時期でもあった。

それは日本人の、自信喪失―もっと言うとアイデンティティ・クライシス―の始まりだった。


戯画的に喩えるならば、ハン・ジョンファら『WHIPs』は、断崖絶壁にしがみつく『登山家』=日本の、『指先』=経済力 を、澄ました顔で踏み躙り、奈落の底に突き落としたのである。


◆◆◆

女権暦9年―それは韓日開戦の7年前だった。


日本大公国の大韓女権帝国に対する貿易収支赤字は、前年度すでに史上最高の1兆2000億帝国ウォンに達し、この年も前年度の同期比で1.3倍の速さで積み上がっていた。

日本にとっては、対韓貿易赤字は2位の対中をぶっちぎりで引き離しての首位であった。


外貨準備高は底を突き、日本国債は紙くずとなって、国家財政破綻の瀬戸際だった。

日本の財政当局は韓国に対し資本収支でバランスをとるために最恵国の条件で、実に気前良く円建て資本を売り渡していった。しかしそれも限界を迎えつつあった。


韓国経済の稼ぎ頭は、かつて日本の『お家芸』だった自動車や造船・半導体等のデジタル製品だった。

日本が手塩に掛け、国の牽引役にまで育て上げたそれらの産業は、いまや韓国企業の独壇場となっていた。


そして、これらの韓国企業は、世界の売上シェアを日本企業から奪うだけでは飽き足らなかった。

日本国内に工場を建て、日本人を雇い、彼らを『企業帝国主義』の支配下に、着々と組み込んでいった。


日本のサラリーマンの7割が、韓国企業―あるいは韓国企業の息のかかった企業や、韓国企業の下請け・孫請け企業―に雇われて働いていた。


当時の一般的な日本人は、中学・高校の勉強時間の60パーセントを韓国語学習に充て―すでに日本の『第一外国語』の地位は、英語から韓国語に移っていた―、大学では韓国文化に親しみ、成績優秀なものは韓国留学を夢見つつ、卒業後は韓国系の会社に就職し、本国(韓国)におわす韓国人で年下で多くの場合女性の上司様に頭が上がらず、家庭では車も家電も食品も韓国製品に囲まれて生活を送る。韓国製品を買うために、韓国人様の下で汗水たらして働く―ある意味で、韓国人よりも韓国経済に貢献する存在であった。


そして同じように貧しい日本人と結婚し、子供をつくって、その子が将来韓国人様と結婚してくれるよう願うのであった。


それが、当時の日本人の、最高の、そして唯一の、安泰な人生図であると、皆うすうすながら気付き始めていた。。。


◆◆◆

『このままでは危ない』という機運が、特に政治の世界からモクモクと立ち上がってきたのも、あるいは当然のことだったかもしれない。


政治の世界は、、、

保守―右翼―の政友会は昔ながらの対米追従。

革新―左翼―の友愛党は新興の対韓追従。


結局『追従』は同じであったが、それは日本の第二次大戦後の政治風土だった。

決して政治家の口から、はっきりと『追従』の国是が語られることはなかったが、もはや誰の目にも明らかに、政治は、『どっちに』追従するか?の綱引きの場であった。


この年、『このままでは危ない』という、国民の意識下に充満したガスに火を付けたのが、政友会の熊田 新造[くまだ・しんぞう]だった。


彼は―彼だけは―はっきりと祖国の置かれた現下の状況が『韓国の属国』だと断言した。

それは、他の政治家が、決して怖くて口に出せなかった事だった。


『公国を、取り戻す!』のスローガンの下、前政権を率いて極端な対韓追従に舵を切ったライバル小波渡 雪夫[こばと・ゆきお]から与党の座を奪還した彼が、結果的に日本大公国最後の総理大臣となった。

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