説教
「まず、どうしてキミたちが私たちに怒られちゃうのか教えてあげるわ。それはね、キミたちの土下座が、土下座平伏の仕方がヘタっぴだからよ。成ってないのよ。たるんでるとしか言いようが無いわ。まったく、私たちのことを何だと思ってるのかしら? 私たちのことを本当に『神様』だって本気で思ってるなら、そんな腑抜けた土下座は出来ないはずよ」
「そもそもさ、私たちが神様かどうか以前に、キミたちは奴隷だよ。奴隷なんだよ。ねぇ、分かるでしょ? 人間よりも、どちらかというと家畜や道具に近い存在なのよ。人権も人格も尊厳も人としての価値もゼロの、ただ私たち韓国人に死ぬまで酷使される最底辺の存在なのよ。分かってるの? そのことちゃんと頭に入ってる??」
「ねぇねぇ。もし私が間違ったこと言ってたら、私に教えて。『パク・ソナさん、それは違いますよ』って言ってね。そしたら私も考えるから。『倭奴って実は人間で、ちゃんと人間らしく、人格とか尊重して扱わないといけないのかなぁ』とか考えるから、言って。私ももし自分が間違ってることがあったら、素直に間違いを認められる大人の女性だと思ってるから。ちゃんとまともな韓国語で、人間に分かるように説明できるんだったら、いつでも言って。『僕たちも人間なんだ・韓国人女性様の御足許に四六時中土下座してる謂れは無いんだ・そんなの人権侵害だ』ってね」
そこまで言ってソナは自分の言った言葉に思わず吹き出してしまった。聞いていたソヨンとメイドもくすくすと笑った。
「ぷフッ。どう考えてもそんなはず無いよね。倭奴が人間なはず無いよね。そんなこと言ったら地球が引っくり返っちゃうわ。もぅ何でもアリの世の中になっちゃうわ」
「何度も言うけど、キミたち倭奴は奴隷なの。奴隷なの。奴隷なの。人格の・無い・最下層の・みじめ過ぎる・存在なの。どう? ここまでで私、ひとつでも間違ったこと言った?」
ソナは一息つくように、足許にある倭奴丸山の頭頂部を右足の爪先で軽く小突いた。「ねぇ、答えて。私、何か間違ってる??」そして促すようにもう一度丸山の頭の同じ場所を、今度は少しだけ先ほどよりも強く蹴った。
「・・・いいえ・・・何ら間違いございません・・・ソナ様の仰せのとおりでございます・・・」丸山は言った。
「うん。じゃぁ、お前は? 私、何か間違ってる?」ソナは言って今度は隣で土下座している77番倭奴の頭を、同じく右足のトゥーで小突いた。
「・・・いいえ・・・ソナ様の仰るとおりですぅ」
「だよね」ソナは77番が言い終わるより早く、最後の音に被せて言った。
「二人ともちゃんと分かってるじゃん。安心したわ。まさか倭奴が人間だなんて言い出したらどうしようかと思ったわ」
「で、最初の話に戻るんだけど」ソナは尚も続けた。ソヨンとメイドは、ソナの長広舌に口を挟まず、さも面白そうに楽しみながら聞いていた。
「キミたちは奴隷のキホンである土下座が下手なの。なってないの」
「キミたちの土下座を見てるとたまにイライラするのよ。『こいつらほんとに自分たちが奴隷だって認識してるのかしら』って。態度って、姿勢に出るのよ。目上の人に対する敬意も、忠誠心も、キミたちの態度を見れば一目瞭然。土下座の姿勢に滲み出るのよ。上から見ればすぐに分かるわ。それが全然なってないの」
「と、言うわけで、いい機会だから、今から臨時の土下座訓練を始めまーす。二人とも、いまさらこんなキソ的なこと教わるなんて、恥ずかしいことだって思わなきゃダメよ」
◆◆◆
「土下座するとき倭奴が一番心がけることは何かしら・・・。もう面倒臭いから答えを先に言っちゃうけど、それは『いかに自分の頭を低くするか』。それから『いかに自分の身を小さく見せるか』。この二つよ。どう? すごくシンプルでしょ?」
「土下座ってさ、前に立たれている韓国人様に敬意と忠誠心を表現する礼儀作法なんだから、何よりまず心がこもってないとダメなんだけど、この二つさえ心がけていれば、あとは何とかなると思うよ。逆に言うと、この二つだけを、とにかく真剣に追求してね。もう一回言ってあげるね。とにかく自分の頭を低くすること・それから自分の身を極力、小さくすること」
そしてソナは少しだけ背筋を伸ばし、二人の倭奴にさらに一歩近付いた。
「コツはね、私たちが立っているこの地面よりも」言って右足のヒールを、『コツ・コツ・』と地面の土に二度、突き立てた。「もっと頭が低くなるよう、頭から地面に潜り込むってくらい自分たちの額を地面にしっかり擦り付けなさい。さらに脇は締めて臍に力を入れるのよ。全力でね。そしたらきっといい土下座になるからさ」




