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少女

丸山が気絶した後も、ソナは残りの倭奴たちを歩かせ続け、さらに2人が丸山と同じように気絶したのを見て、ようやくこのイベント―四つん這いによる徒競走―を打ち切った。


ソナは成績を記録し―気絶しなかった上位3人を、最初の予告通りに『猿』ランクに昇格させてやった―、そして後始末を助手の兵たちに任せて、自分はシャワーを浴びるために退出した。矯正官としてのソナの今日の仕事はそれで終わりだった。


残された兵たちは緩慢な動きで3人の倭奴を蹴ったり踏んだり水を掛けたりして気付けさせ、さらに罰として、居残りでの四つん這い苦行を10本課して、三々五々、兵舎に帰っていった。

もちろんランドセル―電極入り四つん這い強制・監督器具―の『オートマチック機能』をオンにして。


まず丸山以外の2人が追加の10本を終え、倭奴厩舎に戻っていった。


残りは丸山だけとなった。

彼は無意識のまま『夢遊病』状態で、延々と誰もいなくなったグラウンドを這い続けた。

ゼロになった体力を、意思の力が支えていた。


◆◆◆

仲間たちとの夕食を終えた後、就寝前の自由時間に、ソナはふと気になって、パジャマ姿のまま昼間倭奴たちをしごいていたグラウンドに行ってみた。


昼間のうだるような暑さが嘘のように、涼しい風が吹いていた。


そのグラウンドで、丸山はまだ這い続けていた。


あいつ、まだやってる…。ソナが近付いていくと、彼は意識の無いまま、極めて遅いスピードで、それでもまっすぐ着実に、前方に向けてボロボロになった体を進ませていた。ソナが声を掛けてやっても、丸山は反応せず、ただひたすらに腕と脚を振り続けていた。


ソナがランドセルの液晶パネル―万歩計のように歩行の記録や所要時間を見ることができるが、それを背負っている倭奴からは見えない―に目をやると、すでに追加の居残り10本はとうに終わっていた。だから遅いスピードでも電撃が出ないのだ。


「もしも~し、生きてますかぁ~?」

ソナは丸山の顔を覗き込んだ。そして、「生きてるには違いないか…」と独りで自分にツッコミを入れた。


丸山は虚ろな目で―その目は開いているだけで、何も見てはいなかった―ブツブツ何かを言いながら、なおも這い続けていた。


ソナは腰を折って耳を丸山の口元に近付けた。


彼はまるで修道士の祈りのように、

「ソナさま・・・ソナさま・・・ソナさま・・・」

と、小さく呟き続けていた。

顔は相変わらず、生きているか死んでいるか分からないような顔だ。


「自分は、ソナさまのご加護がないと、生きていけない、ペットです。。。」


ソナにはそう言っているように聞こえた。


そしてソナは、一瞬だけ、この無力で弱々しい初老の倭奴が、『かわいい』と思った。

韓国軍人でも矯正官でもない、生身の少女としての感覚だった。

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