第4話
第三話【約束のタイムカプセル―2】
その日は、結局会社を休んだ。
泣き止みはしたが、さすがに二日酔いには勝てなかったのだ・・・。
―AM11:00―
会社への連絡も終わり、痛み止めとコーヒーを一杯。
詩音はというと、昨日決まった仕事場の上司との最終的な話をまとめに出かけていた。
「久しぶりの1人の時間・・・。」
私の声は、だだっ広い部屋に消えていった。
なぜかこみ上げてくる寂しさを紛らわそうと、掃除を始める。
考えてみると、掃除をすることも久しぶりだった。
気がつけば、部屋の隅にホコリがたまっていた。
指を折りながら、掃除をしていなかった日にちを数えてみる。
「2週間?!」
思わず声が出てしまう。
ハァと短いため息をついて、掃除にもどることにした・・・。
―PM2:00―
「そら、お腹も鳴るよねぇ・・・。」
まだ少し掃除していない場所が残ってはいたけど、
先に昼食をとることにした。
朝動けなかった私のかわりに、詩音が作ってくれた食事・・・。
記憶に薄っすらと映る詩音のエプロン姿。
手馴れた手つきでシチューを作っていた。
「ありがとね。詩音・・・。」
感謝の気持ちが、自然に言葉になる。
そして、お腹の音も更に増して、私を急かしてくる。
「もうちょっと待ってよ〜。」
お腹に話しかけるという、少々お間抜けな光景。
ご機嫌な私はそんなことを気にするはずもなく、
その気分のまま台所へ向かった。
スープ皿に手を伸ばす。
パリンッ
鮮やかな皿の割れる音が、耳に入ってくる。
浮かれすぎていた自分に怒った。
冷静な気分を取り戻して、早々と割れた皿を片付けた。
次の皿は慎重に取り出した。
ホッとしてまたもや皿を落としそうになる。
慌てて受け止めて鼓動を落ち着ける。
「あ〜ぁ。」
まぁ、割れてないだけマシとした。
急いで鍋の蓋をあける。
フワッとシチューのいい香りが漂う。
そのときだった。
体に違和感を覚えた。
軽い吐き気が襲ってくる。
慌ててトイレへと駆け込んだ。