第2話
―AM2:00―
クリスマスのイルミネーションで彩られた街中を通り、家へと向かう。
幸せそうに手をつなぎながら、横を通り過ぎるカップル達・・・。
そんな街中で、私だけが無色だった。
通りを外れたところに小さな公園がある。
いつも通って帰る公園。
人ごみが苦手な私にとっての逃げ道だった。
クリスマスだというのに、飾りが何一つ、つけられていない場所・・・。
やっと自分の場所に帰ってきたきがした。
深呼吸・・・。息苦しさが溶けていった。
ふと目をあげてみると、ベンチに人が座っているのが見えた。
それは彼だった・・・。泣いていた・・・。
それに気づいた私の体は、感情が追いつく前に走り出した。
何も考えずに、おもむろに声をかけた。
「あのぉ、大丈夫ですか?」
私の声に気づいたらしく、急いで顔をふいていた。
そしてあの笑顔にもどった。
つぶれたケーキ箱を私に見せながら、彼は笑った。
つぶれたケーキ箱を見て、私は少しだけ悲しくなった。
「これ、ホントは彼女と食べる予定だったんです。
けど・・・。彼女が俺とは違う男と歩いているのをみてしまって・・・。」
それ以上、彼の言葉が続くことはなかった。
そんな彼を見て私が思ったことは、もしかしなくてもおかしいだろう。
私は彼を見て、“愛おしい”と思った・・・。
何か出来ることはないかと、ひたすらに考えた。
ケーキ・・・。そうだ、売れ残りをもらったんだ。
私は笑顔で彼に言った。
「これ、よかったら一緒に食べませんか?」
ナンパな女に思われたかもしれない。
でも、私にとってそれはどうでもいいことだった。
「私の家すぐそこなんで来ませんか?ずっとここにいると風邪引いちゃうし・・・。」
彼は何一つ私の言葉に対して、ただ一言だけ言った。
「いいんですか?」
彼がそういったのを聞いて、私は笑顔でうなずいた。