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柘榴石の懸念  作者: あまめましゅう
9.冷たい指先
37/43

02


 ブロアは小柄で中年を過ぎた老人ともいえる年齢だが、実にすばしこく狡賢い男だった。


 彼はアルシオンが男たちを引き連れて戻ってきたことを知るや否や、必要なものだけを持って逃げようとした。

 彼は隣国に帰るために墓地に向かったが、一度町の表玄関から出て行ったように見せかけて、町の男たちを惑わした。誰もが死に物狂いで逃げていったという町の人たちの証言に騙されそうになったが、ここで野生的勘を発揮したのがスタンリーである。


 彼は、自分ならこんなすぐに捕まりそうになるような真似はしないと言い切り、隣国に逃げるとしたらどこから行けば一番近いと尋ねた。

 墓地の壁の向こうは隣国だと答えたのは、一年前死んだ墓守の息子である。


 半信半疑でアルシオンたちが墓地に着いたとき、ブロアが壁に向かって立っているのが見えた。

 誰もが間に合ったことに安堵し、息巻いて彼に向かっていった。が、何とも不思議なことが彼らの目前で起こったのだ。

 男たちがブロアを取り押さえようとした瞬間。今までそこにいたのは幻だとでも言うように、ブロアは消え失せた。


 というのも、実はブロアが持つ腕輪(これは古城から盗んだものである)には幻影を作り出す魔法がかかっていて、彼が唯一使える魔法なのだ。彼自身は様子がよく見えるように、隅にある墓石の陰に隠れていて、これもスタンリーが見つけてきた。どうも気配を消していなかったと言うことだそうだ。


 捕まったブロアは、最後まで悪足掻きをして男たちに金儲けを提案したが、これは受け入れられることなく終わる。


 問題はその後で、年に似合わず激しく抵抗するブロアを縄で縛ると、どういうことか彼は観念するのではなく、不意に笑い出したのだ。

 どうしたのかと問うと、ザクロの石を持っているから、自分には危害を加えることはできないなどと言う。


 アルシオンはその時、こんな男に振り回されたのかと、腹が立ったらしい。ザクロ石というのは、単に持っているだけで物理的な攻撃を回避できるわけではなく、この石を補助に結界を作れば、何もかも弾くことができるのだ。そんなことも知らない男に、必ず守ると約束していたマヤを殺され、数多くの町の男たちが【森】の木と死んでいった。


 頭の中で炎が燃え立ち、目の前が真っ赤に染まって、気が付けば拳が赤くなるほど強くブロアの顔面を殴りつけていたという。

 これでようやくブロアを捕獲することに成功し、北の城に連行した。


 それから一晩。戻ってこないオーレリーを探しに出て行ったアルシオンが見たのは、燃え盛る城だった。


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