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異世界リサイクル生活! 〜人魚と兎とエルフのドタバタシェアハウス〜  作者: 月神世一


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EP 4

現場監督・高木優也! 爆速インフラ整備と、便乗アイドルの投げスパチャライブ

ガオォォォォォォォォッ!!

ポポロ村の朝は、大地を揺るがす魔石ハイブリッド・ディーゼルエンジンの咆哮で幕を開けた。

「よし、アームの油圧ヨシ! キャタピラの張力ヨシ! 周囲の安全ヨシ! ――作業開始だッ!!」

優也は頭に巻いたタオルを締め直し、ユンボの運転席で操作レバー(ジョイスティック)を前方に倒した。

『機械保全技能士』の資格と現場での経験が、手足の延長のように鉄の獣を操る。

まずは、村の生命線である「水路の復旧」だ。

上流からの土砂崩れと、家ほどもある巨大な岩が川を塞ぎ、村の畑を干上がらせていた。魔法使いが何日もかけて儀式魔法で砕くか、何十人もの男たちがツルハシで数ヶ月かけて掘るしかない絶望的な障害物である。

「キャルル! そこ危ねぇから下がってろ!」

「わ、分かってるわよ! っていうか、本当にその鉄の腕で岩が動くの!?」

ガシャァァァァァンッ!!

ユンボのバケット(爪)が、土砂に深く突き刺さる。

魔石の熱でブーストされたエンジンが黒煙を吹き上げ、アームがミシミシと唸りを上げた。

テコの原理と圧倒的な油圧の暴力。

ゴゴゴゴ……ズズズンッ!!

村人たちが何年も絶望して見上げていた巨大な岩が、いともたやすく持ち上がり、横の空き地へと放り投げられた。

さらに、バケットを器用に使って土砂を一気にすくい上げ、水路の底を平らに均していく。

「……ウソだろ」

「あ、あんなデカい岩が……土の神様の御使いが、山を動かしたぞぉぉっ!」

村長をはじめとする村人たちが、ポカンと口を開けたまま腰を抜かしている。

チョロチョロ……ザァァァァァァッ!!

塞がれていた上流から、澄んだ水が一気に流れ込んできた。

干上がっていた水路が潤い、村の畑へと命の水が行き渡る。土の匂いと、新鮮な水の匂いが村に広がった。

「水だ! 水が戻ってきたぞぉぉぉっ!!」

「神様! 御使い様ぁぁっ!!」

涙を流して水路に群がる村人たち。

だが、優也の現場監督としての仕事はこれで終わりではない。

「泣いてる暇はねぇぞ長さん! 次は防壁(村の柵)の再建だ!」

優也はユンボを旋回させ、村の周囲を囲む腐った木柵の前に移動した。

「キャルル! お前のその無駄なバカ力で、森から太い丸太を切り出して持ってこい! 俺がコイツ(ユンボ)で打ち込む!」

「無駄なバカ力って言わないでよ! ……でも、任せなさい!」

キャルルがマッハの速度で森へ走り、ものの数分で、大の男5人がかりで運ぶような巨大な丸太を軽々と両肩に担いで戻ってきた。(村人たちがまた「兎の女神様じゃ!」と悲鳴を上げた)

「よし、そこに立てろ!」

優也は、ユンボのバケットの『平らな底の部分』を使い、キャルルが立てた巨大な丸太の頂上を、上から真っ直ぐに叩きつけ(プレスし)た。

ドスゥゥゥゥンッ!!!

大地が震え、太さ50センチの丸太が一撃で地中深くまで突き刺さる。

魔法の詠唱も、闘気の練り込みも要らない。ただ「持ってきて、上から重機で叩く」という圧倒的な効率化。

優也とキャルルの連携により、ポポロ村の周囲には、わずか半日で『高さ4メートルの強固な防壁』がズラリと立ち並んでしまったのである。

「す、すげぇ……。たったの半日で、うちの村がルナミスの砦みてぇになっちまった……」

村の若者たちが、信じられないものを見る目で真新しい防壁を見上げている。

その感動的な光景の横で――。

チャリン……チャリン……♪

「はいっ! 御縁(五円)がありました! ありがとうございますぅぅっ!」

真新しい丸太の防壁を背にして、ひっくり返した木箱(お立ち台)の上で、人魚姫リーザが満面のアイドルスマイルを振り撒いていた。

彼女の頭上には、ルナが魔法で作り出した『光の球(簡易スポットライト)』がピカピカと輝いている。

「さぁさぁ皆様! 土の神様の御使い(優也様)を応援するなら、こちらのヘルメットにお心付けをお願いしますぅっ! 頂いたお布施スパチャは、御使い様のエネルギー(私のおやつ代)になりますぅぅっ!」

リーザは、優也が置いておいた黄色い安全ヘルメットを逆さに持ち、完全に『集金モード』に入っていた。

感動で財布の紐がガバガバになった村人たちが、シワシワの紙幣や、水路復活で取れたばかりの泥付き野菜を次々とヘルメットに投げ込んでいく。

「御使い様バンザイ! アイドル様バンザイ!」

「俺のへそくりも持ってってくれ!」

「はい! 五円! 御縁! ハイッ! 絶対無敵のぉ~スパチャアイドルぅ~♪」

リーザは投げ込まれた大根をマイク代わりに握りしめ、オリジナル曲を熱唱しながら、ちゃっかり村の富を吸い上げていた。

「……あいつ、本当にブレねぇな」

ユンボのエンジンを切った優也は、タオルで汗を拭いながら、呆れ半分でその光景を眺めていた。

「あらあら、リーザったら楽しそう♡ 村の人たちも元気になってよかったわね」

ルナが、村人から貰ったお茶をすすりながらニコニコと笑う。

「でも、水が来ただけじゃお腹はいっぱいにならないわよね。……ふふっ、明日の朝には、私がこの村を『緑豊かな楽園』にしてあげるわ♡」

「おいルナ。お前、何かヤバいこと考えてないだろうな」

優也がギロリと睨むが、エルフの王女は「内緒よ♡」とウインクするだけだった。

「優也君、お疲れ様。冷たいお水、飲む?」

丸太運びで少し汗ばんだキャルルが、水筒を差し出してきた。

「ああ、サンキュー。お前も良い働きだったぞ、キャルル。おかげで予定より早く防壁が完成した」

「ふふん、私の月影流の足腰を舐めないでよね」

誇らしげにウサギ耳を張るキャルル。

村は活気を取り戻し、水路は潤い、強固な防壁が完成した。

たった1日で、ポポロ村は限界集落から『要塞』へと変貌を遂げたのだ。

優也の現場監督としての初陣は、完璧な大成功に終わった……かのように見えた。

だが、彼らはまだ知らない。

『ポポロ村が謎の力で豊かになり、屈強な防壁を築いた』という噂が、風に乗って三国緩衝地帯に潜む『ハグレ兵や野盗の連合軍』の耳に届いてしまったことを。

そして、空を覆っていた分厚い雲が風でゆっくりと流れ――。

明日の夜が、キャルルにとって最悪のバイオリズムである『満月』であるということを。

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