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第一部 第六章 師匠との出会い


三日、寝込んだ。


起きる。


動く。


倒れる。


また寝る。


その繰り返し。


さすがに、体が言うことを聞かない。


「……休むのも、修行か」


誰に言うでもなく、呟いた。



昼過ぎ。


体を引きずるように、ギルドへ。


マリンさんが、目を丸くする。


「顔色、悪いですよ」


「ちょっと、無茶しました」


苦笑。


依頼は、受けない。


掲示板を眺めるだけ。


その時。


後ろから、声。


「坊主」


振り返る。


小さな老人。


背中が曲がっている。


杖。


ぼさぼさの白髪。


「……俺ですか?」


「他に誰がいる」


目が、鋭い。


年寄りの目じゃない。


獣みたいな目。


「オークを、ソロで倒したのは、お前か」


心臓が、跳ねる。


「……はい」


「剣も魔法も、使ったな」


「……はい」


老人は、ニヤッと笑った。


「面白い」



ギルド裏。


誰もいない空き地。


老人が言う。


「剣、構えろ」


言われるまま、構える。


次の瞬間。


視界が、ひっくり返る。


地面。


「……え?」


いつの間に。


投げ飛ばされていた。


痛い。


起き上がる。


老人は、さっきと同じ場所。


動いた気配すら、ない。


「遅い」


心が、折れそうになる。



「名前は?」


「カインです」


「俺は、ロンドだ」


その名前に、覚えはない。


だが。


雰囲気が、ただ者じゃない。


「教えてやる」


「条件がある」


「逃げるな」


「死ぬほど、きついぞ」


即答する。


「お願いします」


ロンドは、満足そうに頷いた。


「よし」



修行開始。


まず、走る。


街の外周。


十周。


倒れる。


ロンドは、杖で地面を叩く。


「まだだ」


這って、進む。


吐く。


意識が、遠のく。


「立て」


鬼。


完全に、鬼。



次は、剣。


型。


ひたすら、型。


一万回。


数えない。


気が狂う。


腕が、上がらない。


「振れ」


「……はい」


声が、かすれる。



夜。


動けない。


地面に転がる。


ロンドが言う。


「才能は、並以下だ」


胸が、痛む。


「だが」


「根性は、一流だ」


少しだけ、救われる。



三日目。


変化。


ロンドが、俺の剣を受け止める。


初めて。


「……ほう」


それだけ。


だが。


嬉しい。



五日目。


「今日から、魔法も混ぜる」


「え?」


「剣だけじゃ、死ぬ」


「両方、使え」


俺は、笑う。


きつい。


でも。


楽しい。



ロンドが、ぽつりと言う。


「俺は、昔」


「剣帝と、呼ばれていた」


一瞬、言葉を失う。


剣帝。


伝説級。


「……本当ですか」


「信じるかどうかは、勝手だ」


だが。


俺は、信じた。


体が、そう言っている。



夜。


星空。


俺は、空を見る。


「……強くなります」


ロンドは、背を向けたまま言う。


「当たり前だ」


師匠との出会い。


俺の道は。


ここから、加速する。



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