第二部 第四章 別大陸からの使者
研修三日目。
朝から、騒がしかった。
王都冒険者ギルドの入口。
騎士。
騎士。
騎士。
物々しい。
バルトとダニエルが、何やら話している。
空気が、張り詰めている。
訓練場。
ギルド長クラスの男たち。
王国高官。
見慣れないローブの集団。
その中央。
銀色の髪。
褐色の肌。
赤い瞳の少年。
年齢は、俺と同じくらい。
十五、六。
だが。
圧が、違う。
バルトが、前に出る。
「紹介する」
「別大陸・ゼノスからの使者だ」
少年が、名乗る。
「レオン」
短い。
それだけ。
模擬戦。
友好試合。
レオン対、王都Dランク冒険者。
開始。
一瞬。
文字通り、一瞬。
Dランクが、吹き飛ぶ。
地面に、転がる。
気絶。
会場が、凍る。
レオンは、無表情。
次。
ランドが、出る。
「面白そうだ」
開始。
ランド、全力。
剣。
魔法。
連撃。
レオン。
避ける。
一歩。
拳。
ランド、吹き飛ぶ。
壁に、叩きつけられる。
「……負けた」
ランドが、笑う。
だが。
目は、真剣。
レオンが、俺を見る。
指を差す。
「お前」
心臓が、跳ねる。
「来い」
断れない。
開始。
空気が、重い。
《マルチ》起動。
剣士。
魔術師。
同時。
突っ込む。
レオン。
動かない。
距離、ゼロ。
俺が斬る。
止まる。
剣を、指でつままれる。
理解不能。
腹に、蹴り。
吹き飛ぶ。
だが。
空中で、火球。
当たる。
煙。
レオン、無傷。
「……ほう」
初めて、表情が動く。
俺は、立つ。
足が、震える。
それでも。
前に出る。
「まだだ」
剣。
魔法。
同時。
全力。
レオン、少し下がる。
ほんの一歩。
だが。
それだけで。
嬉しい。
数合。
最後。
レオンの拳。
避けきれない。
意識が、飛ぶ。
目を覚ます。
医務室。
ミレーヌが、そばにいる。
「生きてますよ」
苦笑。
「……負けました」
ミレーヌが、首を振る。
「いいえ」
「可能性を、見せました」
夜。
レオンが、俺の前に立つ。
「お前」
「管理者の匂いがする」
やっぱり。
「だが」
「まだ、人間だ」
言い残し、去る。
俺は、拳を握る。
負けた。
悔しい。
だが。
折れない。




