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【水曜・土曜21時更新】傷ついた僕と、風変わりな公爵令嬢のしあわせな家族の記録  作者: 紅緒
第4章『目覚めの時』

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54話・遭遇ピンチ!


 家を出たアルヴィーは、青いリリーを探し王都の街を歩き回っていた。

 キノコが生えるのは日が当たらない、湿度の高そうなところだというのは知っている。

 母親が男を連れ込んでいる時、アルヴィーは一人で時間を潰さないとならなかった。だけど一緒に遊ぶ友達もいなかったので、誰にも見られないよう近くの林や山で探検ごっこをしていた。

 だからキノコが生えていそうな場所の目星は付く。

 

(夕方までに探して帰らないと)


 アルヴィーはそう決意して、跳ねるように木陰から木陰へと移動した。

 けれどなかなか青いリリーは見当たらない。

 時間が経過するのに焦りを覚えて、更にアルヴィーは街のあちこちへと小走りで移動する。

 自分が今どこにいるのかも分からない状態で、既に知らない場所に足を踏み入れていることにも気付かず、アルヴィーはただ下を向いて青い花を求めて進んだ。


 しばらく彷徨っているうちに、アルヴィーは街の端の方へ来たことにようやく気付く。

 山の麓まで来て、自分が知らない場所まで来てしまったのだと知り急に不安に駆られ足を止めた。


(帰れなかったらどうしよう……)


 そんな恐怖が、アルヴィーの胸にじわりと影を落とす。

 サフィールやテオドールに心配をかけるかもしれない……。アルヴィーにとってそれは絶対に避けるべき事態だ。

 今日のところは花は諦めて、今から引き返そうか……。


「ん?」


 そう思ったアルヴィーの視界の端に、ちらりと何かが映り込んだ。


 「あっ!」


 それを見た瞬間、アルヴィーが歓喜の声を上げる。


 山の麓……、長い草が生い茂ったその中に、埋もれるようにして青い色が見えた。

 アルヴィーが慌ててそこへ近付いて茂みを見上げると、そこには図鑑に載っていたのと同じ青いリリーが一輪だけひっそりと咲いていた。


「あった!」


 やっと見付けた嬉しさと安堵に、ぎゅっと拳を握りガッツポーズを取るアルヴィー。

 あとはこれを持って、家に帰るだけだ。

 サフィールの喜んでくれる顔を想像して、自然とアルヴィーの表情も緩む。

 自分の背丈より高い傾斜に咲く花を手折ろうと、アルヴィーが更に足を進めたその時、急に後ろから首根っこを掴まれ引き倒された。


「うわあっ!?」


 ドシャッ! と、地面に背中から倒れ込んだアルヴィーが目を白黒させ何事かと顔を上げる。


「おいボウズ、子供がこんな所に一人で来たら危ねぇだろ?」

「……何を見付けたのかと思ったら、貴族のガキじゃねえか」


(だ、だれ……!?)


 視線の先には見知らぬ若い男二人が立っていた。

 決して身なりが良いとはいえない格好の男達は、一人はにやにやと品のない笑みを浮かべ、一人は呆れたように溜息を吐き、尻もちを着いたアルヴィーを見下ろしている。


 目の前の男に引き倒されたのだと理解したアルヴィーは、久しぶりに向けられる悪意にたちまち身を竦ませ動けなくなった。

 サフィールと出会ってからというもの、誰からも暴力を振るわれることが無かったので忘れかけていたこの……【恐怖】。


「あ……」


 は、は、と息が浅く短くなる。

 最近は思い出すことが少なくなっていた両親の顔、怒声、そして痛みが一瞬にしてフラッシュバックした。


「なんだコイツ、震えすぎじゃね?」

「おい……、もういいだろ。貴族に手を出したらコッチがタダじゃ済まない」

「ビビってんじゃねえよ。チクられないよう脅せば良いいだけじゃねえか」


 男は連れの男の静止を無視し、震えるアルヴィーを見てぎゃははと大きな声で嗤う。

 その声にまたアルヴィーは身を竦ませ縮こまった。


(どうしよう……、街が遠い……)


 きょろきょろと周りを見渡すが、通りには自分達以外の人はいない。

 少し離れた場所に民家らしきものがいくつか見えるが、完全に力の抜けたアルヴィーはそこから走って逃げることも、大声を出して助けを求めることも出来なかった。


ここまで読んで頂き、ありがとうございます!


目当ての青い花を見付けたアルですが、見知らぬ男に絡まれてしまいます。

このピンチからどうやって抜け出すのか……?次回も楽しみにして頂けると幸いです。


☆やブックマークで応援頂けると、とても嬉しく励みになります。よろしくお願いいたします!

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