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【水曜・土曜21時更新】傷ついた僕と、風変わりな公爵令嬢のしあわせな家族の記録  作者: 紅緒
第4章『目覚めの時』

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52話・少年の悩み


 城から帰った次の日、アルヴィーは自室の机に向かい頭を悩ませていた。


 今日は三人で昼食を済ませたあと、サフィールは魔道士協会に顔を出すために出かけており、テオドールは勉強をすると言って自分の部屋に篭っている。


 サフィールは『夕方までには戻る』と言っていた。


 それまでに、アルヴィーにはやらねばならないことがあった。


 お城での出来事は、最初緊張していたのが嘘みたいに全部楽しかった。

 でも、ひとつだけ、アルヴィーの心に影を落としたことがある。


 それは、みんなでベッドへ入っていた時、サフィールの両親について聞いてしまったこと。


 サフィールは『かまわない』と言って優しく笑ってくれたが、一瞬寂しそうな顔をしたのをアルヴィーは見た。

 あれから、その表情が忘れられない。

 いつも慈愛に満ちた顔で、優しく微笑んで見守ってくれる彼女の表情を曇らせた自分が許せなかった。


 無神経なことを聞いてしまったのだ、と子供ながらに自覚した。


 だから、アルヴィーは自分の力でサフィールに笑顔になってもらいたい、喜んでもらいたいと考えついたのだった。


 でも、どうすれば喜んでもらえるのか……肝心なところが分からない。


 何かプレゼントをしよう、というところまで考え付いたが、そこからぴたりと思考が止まってしまった。


 これまで、誰かに贈り物なんてしたことなかったから。


(……僕、みんなにもらってばっかりだ)


 思えば、ここに来てからサフィールを始め周囲の人々からたくさんのものをもらってきた。

 形のあるもの、ないもの、全部含めてアルヴィーにとってとても大事で嬉しい贈り物たち。


 それに比べて、自分は何も返せていない。


 もらってばかりの自分がみっともなく思えて、アルヴィーはすん、と鼻を鳴らした。


(だから、今度は僕がサフィールさまにプレゼントするんだ)


 テオドールに相談しようかとも思ったが、せっかくなら内緒にしてサフィールにもテオドールにも驚いてもらいたい。

 そんな考えから、アルヴィーはひとり何をプレゼントするかに頭を悩ませていた。


 でもアルヴィーはお金を持っていないので何かを買うということが出来ない。その時点でかなり候補が絞られてしまう。


(お金がなくても手に入れられて、サフィールさまによろこんでもらえそうなもの……)


「あ」


 そこでアルヴィーは机の端に置いていた図鑑に目をやった。


 ノアにもらった植物図鑑だ。


 もらった図鑑の中でも植物図鑑が気に入ったアルヴィーは、時間があればそれを眺めていた。

 分からない文字はサフィールやテオドールに教えてもらい、草花について学んでいる最中だ。


「お花なら……、サフィールさまよろこんでくれるかな?」


 綺麗な花を持つサフィールを想像する。

 花を手に『ありがとう』と、あの優しい笑顔で言ってもらえたら……。そう思ってアルヴィーは花を贈ることに決めた。


「どんなお花がいいかな……」


 花ならこの家の庭にもいくつか咲いているが、見慣れたものよりサフィールが驚いてくれるような物珍しく……且つサフィールに相応しい美しい花が良い。

 ペラペラとページを捲り、描かれた花の絵を目で辿る。

 まだ読んだことのない後ろの方のページへ差し掛かった時、アルヴィーは思わず「あっ!」と声を上げた。


「これ……、サフィールさまみたい」


 大きなラッパ型の、青い花弁を持つ美しい花。

 それは、そのページの中でもひときわ大きく描かれていた。


「このお花って……」



ここまで読んで頂き、ありがとうございます!


このお話から第四章開始です。

この章ではアルを中心にお話が進む予定です。そしてテオの掘り下げもあります。

子供たちにスポットを当てた章になるかと思います。

これからも楽しみに読んで頂けると幸いです。


☆やブックマークで応援頂けると、とても嬉しく励みになります。よろしくお願いいたします!

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