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【11/26、4章開始!】傷ついた僕と、風変わりな公爵令嬢のしあわせな家族の記録  作者: 紅緒
第3章『はじめてのお城、新しい出会い』

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50話・調査報告【前】

「あ、そうだ」

「今度はなんだ?」


 何かを思い出したらしいノアにサフィールが尋ねる。


「アルくんのこと、報告がきたんだ。それを今日伝えようと思って」

「!」


 その言葉にサフィールは笑顔を引っ込め、ノアの顔を見て頷いた。

 それを見届けて、ノアが口を開く。


「まず、捜索願いはやっぱり出されていなかったよ」

「……想像通りだな」


 想像通りのクソ親だ。そう言いたくなるのを、当事者であるアルヴィーが傍で寝ているのを思い出しサフィールはなんとか堪える。


「まったく、想像通りのクソ親だよねえ」

「おい、私が言おうとして自重したことをあっさり言うな」

「だって事実だもん」

「まあそうなんだが……」


 ちら、とアルヴィーが寝ているのを確認して溜息を吐く。


「よくそんなクソからこんないい子が生まれたな」

「サフィーもクソって言ってるじゃない」

「もういい。クソはクソだ」


 開き直ったサフィールに、ノアが「で、そのクソ親の詳細なんだけど」と続けた。


「母親は実の親みたいだけど、父親は再婚相手だね。本当の父親はアルくんが生まれてすぐに病死している」

「病死?」

「そう」


 聞き返すサフィールにノアは頷いて見せた。


「それから間を空けずに今の父親と再婚したみたい。でもその男が酒も女もギャンブルも大好きな、まさにロクデナシのクズ野郎だったみたいでね」

「うわ……、なんでそんなヤツと結婚するんだ、」


 サフィールがその愛らしい顔を歪めて当然の疑問を口にする。

 そのサフィールの表情に「すごい顔になってるよ」と笑いながらノアが答える。


「そういう男は、実際深く付き合ってみないと本性が分からないものらしいよ。母親も、最初は仲良くしてたみたいだし」

「……」


 その【仲良く】の中に、アルヴィーは含まれていないんだろう。

 それを察してサフィールは押し黙り、寝ているアルヴィーの髪をさらりと撫でた。


「母親は元々散財癖があったみたいで、再婚してからは浮気する旦那への仕返しなのか知らないけど、自分も若い男に貢ぎ始めたみたい」

「いや待て、仕返しして何になるんだ……?」

「私に聞かないでよ」

「アルに使えよ、その時間と金を……」

「そんな考えしてたら、アルくんは今ここにいないでしょ」

「そうだが、やっぱりやり切れないだろ……」

「まあね……」


 ノアもまたアルヴィーへと視線を落とす。


「しかもさ、妙な噂も出回ってて……」

「噂?」

「そう。アルくんの本当の父親に関する噂」


 アルヴィーを見詰めたまま、ノアがその【噂】について話し始めた。


「アルくんの父親は【病死】ということになってるけど、本当のところは【殺された】んじゃないかって……、彼らを知る人達が語ってるみたいなんだ」

「殺された? って、まさか……」

「サフィーの考えてる通りだと思うよ。……母親とその再婚相手が犯人だって、噂になってる」

「どういうことだ? なんでそんなマネを、」


 サフィールは自分で声に出しながら、おおよその判断がついてそこで言葉を切った。


「……浮気相手と一緒になるのに、邪魔になったのか」


 間を空けてぽつりと言ったサフィールにノアは無言で肯定を示した。

 少しの時間、二人の間に沈黙が訪れる。

 視線はアルヴィーに注がれたまま。

 当のアルヴィー本人は、気持ち良さそうに眠っている。


「……しかし、それだけの理由で人を殺すか?」


 サフィールは自分で出した答えを否定したくて、言葉を探した。

 しかしノアはサフィールの気持ちを汲んだ上でゆっくりと首を振る。


「女性が不倫の上離婚したなんて、今のご時世外聞が悪いからね」

「だからって、」

「それだけじゃない」

「え?」


ここまで読んで頂き、ありがとうございます!


とうとう、アルの両親についての報告が。

案の定な内容にサフィールもノアも辟易しているようですが、どうやらそれだけではないようで……?

次回もお楽しみに!


☆やブックマークで応援頂けると、とても嬉しく励みになります。よろしくお願いいたします!

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