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【11/26、4章開始!】傷ついた僕と、風変わりな公爵令嬢のしあわせな家族の記録  作者: 紅緒
第3章『はじめてのお城、新しい出会い』

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42 話・ティータイムの訪問

 城へ戻った頃には、ランチには遅くディナーにはまだ早い時間だった。


 通された部屋には大きな丸いテーブルがあり、シワひとつない花柄のクロスが掛けられている。

 そのテーブルを囲むように置かれた椅子に座ると、傍の大きな窓からは城の庭園が見下ろせるようになっていた。


 美しく剪定された花々、フラワーアーチ、ガゼボが見え、ここから見える範囲だけでもかなり広いことが窺える。


 テーブルの中央には美しい色とりどりの薔薇が花瓶に活けられており、残りのスペースには所狭しとサンドイッチやスコーン、マドレーヌにドーナツといったものが紅茶とともに並べられていた。


 朝から色んなところへ移動してランチを取り損ねていたサフィール達へ、ノアからの言いつけで用意されたものらしかったが、当のノアは見当たらない。

 まだ仕事が片付いていないようだ。


「あとで夕食もあるから、あまり食べすぎないようにしてね」


 部屋にはアンナ以外にも城のメイドが何人か控えている。

 そのためサフィールは猫を被ったままアルヴィー達に声をかけた。


 朝食を食べてからお菓子しか口にしていなかったアルヴィーとテオドールは、真っ先にサンドイッチに手を伸ばす。


「あ、テオドールくん」

「ん?」

「これ、キュウリ入ってるよ。僕食べようか?」

「うん、ありがとうアルヴィー」


 アルヴィーはこれまでの期間と経験でテオドールの偏食を理解したようで、今ではこうやってテオドールの食べられないものを率先して代わりに食べてやっている。アルヴィー自身には特に好き嫌いは無いようだった。

 テオドールがペロンとめくったパンから、アルヴィーがキュウリを取り除いて自分の口へ放り込む。

決してお行儀がいいとはいえないが、微笑ましいのでサフィールは何も言わないようにしていた。

 メイド達も気にした風はない。むしろサフィール同様、微笑ましげに見守っている。


 というのもこの城の第三王子が偏食で、幼い頃からこうしてサフィールに嫌いなものを食べてもらっていたからだ。

 今でもそれは変わらないので、この光景は彼らにとって見慣れたものであって、咎めるようなものではなかった。


「みんな、お待たせ」

「ノアさま!」


 そこに、ノアがメイド達を引き連れてやってきた。


「ノア様、お仕事はもうよろしいんですか?」


 てっきり夕食時に合流するものと思っていたサフィールが、向かいに腰を降ろすノアに声をかけた。

 その言葉の中には『サボったんじゃないだろうな』という疑いの念が多分に含まれている。

 それを察したノアが「ちゃんと仕事してきたよ」と前置きし、ぐぅーーっと伸びをした。


「あらかた片付けて、宰相殿に行ってきていいって言ってもらえたんだ」

「そうでしたか」


 そう言ってサフィールがノアの周りに控えるメイド二人に目をやる。

 彼女達は二人とも両手に何かを抱えていた。

 その彼女達を見ていると、ノアの合図でメイド達はテーブルにスペースを作り、持っていたものをそこに置いた。


「あら、これは……」


 サフィールと一緒に、アルヴィーとテオドールも置かれたものを覗き込む。


「これ、アルくんにどうかなと思って」


 テーブルに積まれたひとつを手で指し示してノアが言う。


「僕に?」


 それを見てアルヴィーがノアを見上げる。

 そんなアルヴィーに「そうだよ」と笑い、ノアが「見てごらん」と促した。

ここまで読んで頂き、ありがとうございます!


長くなったので、このお話は三つに分けることにしました。

分けると、1話あたり大体1500文字程度です。

この章が終わったら、自分の中で整理するのも兼ねて人物紹介のページを作ろうかなあ、と思っています。

人物も結構増えて来ましたし。


リアルな生活ではうちのにゃんこが去勢手術して、もうすぐ術後検診です。

何も問題がないことを祈っております。


☆やブックマークで応援頂けると、とても嬉しく励みになります。これからもよろしくお願いいたします!

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