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故郷から逃げ出した僕が、新しい家族としあわせになるはなし  作者: 紅緒
第1章『少年と令嬢とやさしい時間』
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眠りに落ちて

 食事のあと、ぽつりぽつりとこれまでの経緯を話したアルヴィー。

 それを聞くにつれ、だんだんと険しい顔になるテオドールと、黙って頷きながら話を聞いていたサフィール。


「話してくれてありがとう」


 サフィールがそう言うと、アルヴィーは「いえ……」と気まずそうに下を向いた。


「今日は疲れただろう。二階に空いている客間があるから、今夜はそこでおやすみ」

「はい……」


 自分はこれからどうなるんだろう、という不安があったが、サフィールの優しさが有難くて嬉しくて、何も言い出せないままアルヴィーは案内された部屋のベッドに横になった。

 大きなベッドは温かくて柔らかくて、アルヴィーは疲れと満腹感からすぐに眠りに落ちていった。


「よほど疲れていたんだろう。今はとにかく休ませないと」

「そうですね……」


 アルヴィーの寝顔を見て、静かにそう言うサフィールに、隣でテオドールも頷く。

 そんなテオドールの頭にぽん、と手を置いて「テオ、着替えありがとう」とサフィールが微笑んだ。


「いえ、そもそもオレの服はサフィール様が与えてくれた物ですから」


 と、被りを振るテオドールに、サフィールは相好を崩しふふ、と笑った。


「それでも、やっぱりありがとう」


 もう一度、サフィールがそう言うと、テオドールは「……はい」と、頬を赤らめて素直に呟く。


「さあ、そろそろお前も寝なさい」

「はい、おやすみなさいサフィール様」

「うん、おやすみ」


 自分を見上げる銀髪の子供に両手を広げてやると、それを合図にテオドールがサフィールに一歩近付く。そんなテオドールを抱き締めて、サフィールは彼のおでこに軽く口付けた。

 おやすみの時のテオドールとの習慣だ。

 おやすみのキスを終えると、テオドールはぺこりと頭を下げて部屋を後にする。

 それを見送って、サフィールは部屋に置いてあった椅子をベッドの側に持って来て腰を下ろした。

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