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【4章開始!】傷ついた僕と、風変わりな公爵令嬢のしあわせな家族の記録  作者: 紅緒
第2章『明日への希望と迫る影』

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26 話・迎撃を控えて

 孤児院のプレイルーム……、アルヴィーがマッシュに絵本を読んでもらっていた部屋に騎士を含む数人が詰めていた。


 といっても目立っては元も子もないので、昼間の内に業者を装って、装備を荷物に紛れさせ潜入している。

 怪しまれないよう人数も絞り、各施設内には騎士が二人ずつ配備されていた。


 ノアは孤児院側におり、シスターも安全の為こちらに来てもらっていた。目隠しの為、全てのカーテンは閉め切っている。


 そして外には見廻りと警備の名目で、騎士と役人数名がノアの指示通り、わざと手薄な場所を作るように動いていた。


「子供達はもう寝ましたか?」

「ええ、マッシュが面倒を見てくれているので、そこは問題ないかと……」


 ノアがシスターに尋ね、それに対しシスターは不安そうな様子を見せながらも頷く。

 そんな時、部屋の中央に突如赤い光の輪が浮かび上がった。


「やあ、こんばんはサフィー」

「ええ、こんばんはノア様。それにシスターや皆様も」


 赤い光は一瞬で消え、その代わりに円があった中心にサフィールが立っていた。


「サフィール様、本日もよろしくお願い致します」

「シスター、こちらこそですわ。ご心労をお掛けしますがよろしくお願い致します」


 転移魔法で現れたサフィールに最初こそ皆驚いていたが、五日目の今となってはそれを自然なこととしてほとんどの者が受け入れている。


 しかし、その中で毎日変わらず驚きの声を上げる人物が一人だけいた。


「やっぱりサフィール様はすごいっす! 転移魔法をあんなに簡単にしちゃうなんて!」

「だから、そんなに簡単にしてるわけじゃないって言ってるでしょう、ローガン」


 尻尾をぶんぶん振っているのが幻視出来そうな勢いでサフィールの元に駆け寄って来た青年。

 ノアが面白くなさそうに眉を顰めたが、本人は何も気付かずサフィールの前まで来て尊敬の眼差しで見詰めている。


「ローガンがこちらにいるということは、今日はゾーイが教会なのね」

「はいっす! 今日のジャンケンは俺の勝ちでした!」


 嬉々として胸を張るローガンにサフィールも思わず笑みを浮かべる。隣のノアの機嫌が益々急降下していくがそこは無視した。


「どうやったら俺もあんな風に転移魔法使えるようになりますか!?」


 ローガンはここに詰めている他の騎士と違い、鎧などの装備は身に付けていない。代わりに黒いローブを纏っている。

 彼はサフィールが連れて来た、魔道士協会の人間だった。


「私だって、どこへでも転移出来るわけじゃないわ。ここみたいに良く知っている場所だと飛び易いけれど」

「でも転移魔法自体、普通そんなにホイホイ出来ないっすよ! 何かコツとかないんすか?」

「うーーん。やっぱり場所をよくイメージすることと、あとは……まあ、繋がりが強い相手がいる場所だと飛び易いかしら」

「繋がり?」


 ちら、とサフィールはノアを見遣ったが、すぐに視線を戻し笑顔で誤魔化した。


『ローガン、毎回同じこと聞いてサフィール様を困らせないで』


 ふいに、静かな女性の声がローガンを嗜めた。


 その声は、ローガンが首から下げたペンダントから聞こえる。緑の石が淡く光り、そこから声がしていた。

 これは風魔法の応用で、この魔道具を使えばある程度距離の離れた場所でもこうして会話出来る優れ物だ。

 これを使って孤児院と教会、お互いに通信をしている。


「なんだよゾーイ、こっちに来られなくて羨ましいだけだろ〜〜」

『羨ましいのは事実だけど、サフィール様に迷惑かけないで。兄妹として恥ずかしい』

「なんだよ、その言い方〜〜!」


 見えない相手に向かって「イーーッ!」と歯を見せるローガンに苦笑したサフィールが「まあまあ」と割って入った。


ここまで読んで頂き、ありがとうございます!


今回は文字数の都合で一度区切りとさせていただきましたが、物語はこれから初めてのバトルへと大きく動き出します。


皆様からの応援がとても励みになっています!

いつもありがとうございます。


☆やブックマークで応援頂けると、とても嬉しく励みになります。よろしくお願いいたします!



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