表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

台風の思い出

作者: 音乃 響

 私の生まれ育った地域は台風が毎年来ることで全国的にも有名な所でした。

 ここ暫く大きな被害にはあっていませんが、幼いころは毎年台風の影響で学校が休校していた思い出があります。

 小学校低学年まで住んでいた家は川の傍で、雨台風だと床下床上浸水当たり前でした。


 台風というとカニを思い出します。

 高級なカニではなくて小さなカニなんですが、川に住んでいた黒灰色? な色見のカニです。詳しくないのでなんていう種類かは知らないのですけれど。


 川の近くであるのですが普段は家の近くでカニは見かけません。

 カニをみかけるのは台風が近くなってからです。

 カニを川の近くの小道で見かけるようになるとその夜とか翌日辺りにはニュースで台風が発生、数日中に日本近海へって話題があがるようになっていたので、台風予報のように感じていました。


 家の前をカニがうろちょろしだすとあぁ台風はこの県の近くを通るのだなと感じ、カニが家の中に入ってくると浸水があるのだと判断できました。

 その頃住んでいた家は土間があり、そこに台所がありました。段があって和室になるのですが、その畳の上をカニが歩くと床上浸水です。


 床上浸水するなとなると、ポットにお湯を入れてお鍋いっぱいお味噌汁をつくりおにぎりを作って母は私や弟妹の手を引いて近所のもうちょっと頑丈なお家に避難させてもらっていました。

 幼いころなのでピクニック気分で台風が少しだけ楽しみなイベントでした。

 雨戸をがたがたと揺らす風も、時折何かが飛んで割れているらしい音も、停電になって電気が点かなくなったら灯す蝋燭の明かりも子供にとっては遊園地で遊んでいるかのような心地でした。


 カニ予報は私の感覚では百パーセントの確率で当たっていました。

 もしかしたら当たった所しか覚えていないのかもしれません。

 床下浸水ですめば楽なのですが、床上浸水になると濡れた畳の運び出しなど大変で、大人の男手の無い我が家は近所の人に手伝ってもらって片付けです。

 私は手伝いにもならず大人しくしていなさいと言いつけられて弟妹を見ているしかありませんでした。


 どうせ浸水するなら床下が良いなぁと台風が来るたび思い、カニを見かけたら土間までですませてねと睨みつけてました。


 引っ越しをしたらカニ予報は出来なくなりました。

 川からの距離はそんなに違いは無かったのですが、謎です。

 

 高校生位になって友人にカニ予報の話をしたら、カニが家の中に入ってくるの? と凄く驚かれました。

 社会人になって話をしても、そんな予報は聞いたことが無いと言われました。


 でもまぁ野生生物の自然災害に対する退避行動はあるあるでしょうし、どこかの地域でも似たような事があるのではないかと思うのですが、あぁカニ予報って当たるよねー っと、同意を得たことはありません。


 今回の台風、同じ県内で被害にあったところも多いのですが私の住む地域は静かに終わりました。

 大変な思いをされた方の一日でも早い復興を祈りつつ思い出語りを終わります。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ